市原隼人、“目が笑っていない”男の存在感 『リバース』の底知れぬ演技を読む
藤原竜也が主演を務めるドラマ『リバース』(TBS/金曜よる9時〜)の第三話が昨夜4月28日に放送され、市原隼人の存在感のある演技に注目が集まっている。同作は、“イヤミス(読んでイヤな気持ちになるミステリー)の女王”と呼ばれる湊かなえの同名小説を原作としたミステリー。10年前、大学のゼミ仲間5人とのスノボ旅行中に起きた事件の真相を巡り、社会人として生活を送っていた残り4人の日常が崩れていく様子を描く。第3話では、件の事件が交通事故ではなく、殺人事件だった可能性が濃厚になる中、市原隼人が演じる谷原康生にもスポットが当てられた。
藤原竜也が、これまで彼が演じてきた役柄から一転、頼りなくて泣き虫な“情けない男”を演じるなど、実力派の役者陣が新境地を切り拓いていることでも注目の同作。市原隼人が演じる大手商社マンの谷原康生もまた、非常に特徴的なキャラクターだ。谷原は快活な性格のスポーツマンだが、どこか軽薄なところがあり、四人の中でもっとも浮ついた人間に見える。しかし、単に能天気なタイプというわけではなく、勤め先の大手商社ではパワハラで閑職に追いやられるも、それを妻(門脇麦)に内緒にして良き父を演じるなど、笑顔の裏に感情を隠す人間であることも伺える。実際、谷原の笑顔は、“目が笑っていない”ことが多い。
第3話では、学生時代に仲間内でもいち早く大手商社の内定を勝ち取って調子に乗る姿や、脅迫状が送られた4人が久々に再開したにも関わらず、酒を飲んで楽しそうに過ごす姿を演じるとともに、閑職に追いやられている現実を苦味のある表情で演じた。その表面的なノリと、抱えていることの重みを同時に示す演技には、SNSなどで「こういう人いるよね」「良い人なのか悪い人なのか、わからないところがすごい」など、その底知れなさを称する声が多数挙がっていた。
市原は、『ROOKIES』(TBS/2008年)の安仁屋恵壹役や『WATER BOYS2』(フジテレビ系/2004年)の水嶋泳吉役など、スポーツマンで男気が溢れる役柄のイメージが強く、本作でもその雰囲気は変わらず出ている。しかし、その男気の裏に別の感情を漂わせることで、役柄にミステリアスな奥行きを与えているのが、本作での谷原役の面白いところであり、目を引くところなのではないだろうか。