香川照之の顔芸はなぜ説得力があるのか? 『小さな巨人』、鍵となるのは“勘”と“匂い”

 しかし、「勘」や「匂い」とは一体何なのだろうか。

 渡部は「所轄は足しか使えません」と言うが、勘とは足を使って得た膨大な情報の中から導き出した答えなのかもしれない。香坂のように誰かの罠によって(まだそれは明らかにはなっていないが)陥れられた場合、冷静に足で情報を集め、状況判断をしてひとつひとつ解決することが、復活の糸口になる。それでも、香坂が敏感に感じないといけない「匂い」に蓋をされることだってある。このドラマでも、香坂が転落するきっかけになった出来事の裏にはひとつの事件が関係している上に、その事件は小野田たちによって隠ぺいされようとしている。香坂は蓋を開けて、その「匂い」を追及しなければいけない。

 香坂は1話の最後のシーンで小野田に「勘」で戦いを挑む。彼らの戦いの裏には、ひとつの事件がこれからも関わってくるだろう。香坂が足で稼いだ「勘」でその事件を解決するか、小野田が事件を解決させないために「匂い」を封じるのか、それが物語の肝になっていくのだろう。この物語は、匂い対匂い、勘対勘の戦いを描いていくのではないのだろうか。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
日曜劇場『小さな巨人』
毎週日曜21:00〜TBS系にて放送
出演:長谷川博己、岡田将生、芳根京子、安田顕、春風亭昇太、香川照之ほか
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/chiisanakyojin_tbs/

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