顔面に無数の洗濯バサミも! 松井玲奈が『笑う招き猫』で見せた熱すぎる女優魂
松井はAKBグループ卒業後に、数々のドラマや舞台で役者としてのキャリアを積んでいる。また、ドラマ『ニーチェ先生』(日本テレビ系)や、飯塚監督の『ランドリー茅ヶ崎』など、ギャグ系の作品にも挑戦しており、コメディエンヌとしても違和感のない女優に成長しているのは感じていた。しかし、まさかリアクション芸人顔負けのことまでやってしまうとは、正直驚きである。眉毛まで抜けてしまうその姿はもうSKE時代の面影を感じさせないほどだ。松井の新たな一面ではなく、松井が女優として限界突破した作品だと言えよう。
同時にこの作品を見て、改めて清水は自然な演技やリアクションがうまい女優だと感じる。何でもない会話や、仲間内で悪のりしている時の自然にかけ声を口ずさむような仕草などは、よくいる若者そのものだ。ちなみに2話では清水のターン。転がって来るボウリングを頭で受け止めたり、自分の自転車を駅前に放置し、誰かが持ち去るのを遠くからモニタリングしたりしていた。焦りやドキドキ感を表情のみで表現し、セリフ重視のリアクション芸を見せ、演技の中でも大げさでない本気を表現。女優として、かなり難しい演技が求められる回であったが、清水は見事にこなしていた。
そんな自然なリアクション演技を見せる清水と、女優魂を見せつけている松井という、魅力的なコンビが演じる本気の漫才がいかなるものか、映画が俄然楽しみである。見た目が対照的なコンビは、今後女優としても良いライバル関係にもなりそうだったので、やはり色々ともったいない。
今回の松井の演技はどうかと言えば、ドラマ版では一番重要な漫才は見れないし(練習風景はある)、ドラマ『火花』や映画『二人が喋ってる』のような漫才師としての葛藤を排除したライトな内容なので、正直未知数である。しかし、松井と相性の良い飯塚監督がハプニング的な映像を仕掛けることによって、彼女のアドリブを活かした演技を巧みに引き出している。髪を金髪に染めた若干ヤンキー風の出で立ちで、仲間たちと楽しそうに様々な動画を作り上げていく姿は、とても輝いており、映画版とはまた違ったひとつの青春劇だ。今後どんな過激な企画で笑わせてくれるのか、またふたりの漫才シーンはドラマでも見られるのか、映画に繋がるこれからの展開に注目したい。
(文=本 手)
■放送情報
ドラマ『笑う招き猫』(全4話)
MBS:毎週日曜24:50~
TBS:毎週火曜25:28~
■公開情報
『笑う招き猫』
4月29日(土・祝)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
出演:清水富美加、松井玲奈ほか
監督・脚本・編集:飯塚健
原作:山本幸久「笑う招き猫」(集英社文庫刊)
製作幹事・配給:DLE
制作プロダクション:ダブ
製作:「笑う招き猫」製作委員会
(c)山本幸久/集英社・「笑う招き猫」製作委員会
公式サイト:waramane.jp