漫画原作ドラマ、成否を分けるポイントは? 『タラレバ娘』と『逃げ恥』の違いから考察

漫画原作ドラマ、成否を分けるポイントは?

 実に30年を超えるキャリアを持ついくえみにとって、意外にも初の連続ドラマ化作品となる『あなたのことはそれほど』(祥伝社「FEEL YOUNG」掲載)。本作が描くのは、二組の夫婦の混線するマリッジライフと、四者四様に揺れる恋愛感情だ。その「プロット」だけ取ってみれば、ありがちなジャンルに括られてしまいそうな本作を、人気漫画たらしめている大きな理由のひとつに、漫画家としての彼女が持つ「テイスト」がある。端的に言えば、繊細な心理描写と秀逸なモノローグ。「登場人物の誰ひとりとして共感できない」という声が上がりながらも、その行く末に熱心な関心を寄せている人が多いのは、そんな彼女の「テイスト」のたまものと言えるだろう。

 すでに確固たる「テイスト」を持ち、読者の支持も高い、いくえみ作品。それを果たして今回のドラマ版は、どのように映像化していくだろうか。その「テイスト」を前面に押し出すのか。あるいは、その「モチーフ」そのものから、実写ドラマならではの現代的な「テーマ」を抽出していくのだろうか。ちなみに、今回のドラマ版の脚本を担当するのは、同枠で放送された深田恭子主演『ダメな私に恋してください』(中原アヤ/集英社「YOU」掲載)など、漫画原作ドラマの経験もある吉澤智子。演出陣には、『カルテット』にも参加していた金子文紀が名を連ねている。本作で、これまでとは異なる役柄で新境地に挑むことになるであろう波瑠と東出昌大の共演も含めて、その仕上がりに注目したい。

※吉澤智子の「吉」は「つちよし」が正式表記
※『あなたのことはそれほど』の情報について一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「smart」「サイゾー」「AERA」「CINRA.NET」ほかで、映画、音楽、その他に関するインタビュー/コラム/対談記事を執筆。

■番組情報
火曜ドラマ『あなたのことはそれほど』
毎週火曜22:00〜 TBS系列
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
原作:いくえみ綾「あなたのことはそれほど」(祥伝社 「FEEL YOUNG」連載中)
脚本:澤智子
プロデューサー:佐藤敦司
演出:金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介
編成:池田尚弘、中島啓介
出演:波瑠、東出昌大、仲里依紗、鈴木伸之
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/anasore/

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