木村拓哉×浅野忠信、いよいよ直接対決! 修羅場迎える『A LIFE』が最高視聴率を更新

『A LIFE』第8話レビュー

 木村拓哉主演ドラマ『A LIFEー愛しき人ー』第8話がシリーズ最高視聴率を更新した。2月19日に放送された第6話の視聴率15.3%を抜いて、シリーズ最高となる15.7%を記録。壇上深冬(竹内結子)の手術を巡り、壇上壮大(浅野忠信)と沖田一光(木村拓哉)のバトルが過熱していく模様が描かれた。

 第8話、榊原実梨(菜々緒)のカミングアウトによって、深冬の病気が壇上虎之介(柄本明)の知るところになり、彼女の病状を隠していた壮大はますます窮地に立たされる。一度壮大のもとを去ったと思われた実梨が、彼の元へ再び戻ってきたのはこの復讐を果たすためだったのだ。その後、実梨に胸の内の痛いところを散々指摘された挙句、ビンタと別れの言葉を浴びせられる壮大。実梨の強烈なビンタを黙って受け入れ、「あー」と発声した後に、無言で板チョコレートをかじり続ける。これまでも、職場の壁に拳で穴を開けたり、奇行を見せることは多かったが、さらに精神的に追い詰められていることがよく分かる。

 沖田(木村拓哉)は、父親の一心(田中泯)が心臓を患い入院。深冬の手術が控える中、父親の意向もあって、通常では行わない親族の手術を行うことになる(冷静な判断を欠くため、一般的には親しい間柄の患者の手術は行わないとのこと)。父親の処置中に初めてミスを犯した沖田に対し、「スーパードクターじゃなかった」「失敗しない医者なんていない」と病院のスタッフがどよめく中、羽村圭吾(及川光博)は「沖田先生だって人間だもの」とこぼす。冷静さを保ち一心の手術を成功させるも、父親から「相変わらず半人前だな。そんなんで人の命を預かれるのか?」と言われ、深冬の手術に一抹の不安を残すことに。沖田はここまで完全無欠の天才ドクターとして描かれてきたが、父親との会話や手術を通して、脆さや弱さといった人間らしい側面が映し出されていた。

 ここまで間接的に繰り広げられてきた沖田と壮大のバトルが、同話の最終局面でとうとう直接対決を迎える。それは、どちらが深冬のオペを引き受けるか、だ。沖田を深冬のオペに推薦していたはずの壮大だが、沖田のミスを見てから考えを改め、自らメスを握ると申し出る。沖田へのライバル心や嫉妬、深冬への愛憎、副院長としてのプライドなど、様々な感情が混濁する壮大の精神状態を、浅野は感情的に、時にミステリアスに演じてきた。その真意にはうかがい知れないところが多々あったが、ここにきて自分の中にある深冬への愛を確信し、これまでに見せたことがない優しい笑顔を深冬に向ける。そして決意を新たに、「深冬は俺の家族だ」と深冬の夫として沖田の前に立ちはだかる。

 一方沖田は、10年前のシアトル行きが壮大の提案だったことを虎之介から打ち明けられる。壮大は、自分から深冬を奪うためにシアトルへ向かわせたのではないか、もしシアトルへ行かなければ自分が深冬の家族になれていたのではないか、と疑問を抱く沖田。過去を語る一心の口ぶりからも、沖田は深冬にかなり入れ込んでいたことが想像できる。母親の死がきっかけとなり、大切な人を救うために医者になったという沖田も、深冬のオペを絶対に譲るわけにはいかない。父親の手術ミスで不安を覚えながらも、壮大の目の前で「深冬は俺の患者だ」と強く宣言するのだった。

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