『真田丸』は壮大なラブストーリーだ! 結末を知りながらも見守りたい、三谷脚本の凄さ

壮大な恋愛ドラマとしての『真田丸』

 三谷幸喜さんの作家性が色濃く出た脚本だと思う。演劇として高い評価を得て、後に映画化もされた『笑の大学』(映画版/04年)もまた、思えば共通する流れがあった。第二次世界大戦の最中、喜劇の上演許可は出さないと決めていた検閲係が、とある作家の才能に魅せられていき、喜劇の面白さに目覚める物語だ。対立から始まり、その後は運命的に強く惹かれあったふたりだったが、最終的には別れを迎えてしまう。『コンフィダント・絆』(舞台/07年)や『国民の映画』(舞台/11年、14年)などの近作もそうであるが、史実を基にしたダイナミズムの中で、個々人の小さくも運命的な出会いと別れを描き出す。三谷さんの脚本は、歴史というものが、人々の営みが積み重ねられた結果として存在していることを教えてくれるのだ。

 大河ドラマが歴史物語である以上、私達は物語の結末を知っている。幸村ときりの恋の結末を知っているのである。けれど、だからこそ見守らずにはいられないと、『真田丸』は感じさせてくれる。

■登米裕一
脚本家・演出家。映画『くちびるに歌を』CX『おわらないものがたり』NHK『謎解きLIVEシリーズ』などの脚本を担当。大学時代に旗揚げをした劇団『キリンバズウカ』の主宰も務める。個性豊かな登場人物たちによる軽快な会話の応酬を持ち味としており、若手作家の躍進著しい演劇界の中でも、大きな注目を集める。また演技指導家としても評価を得ており、現在多くのワークショップ依頼を受けている。

■放送情報
『真田丸』
NHK総合にて毎週日曜20時〜放送中
作:三谷幸喜
制作:屋敷陽太郎
演出:木村隆文
出演:堺雅人、内野聖陽、大泉洋、長澤まさみ、黒木華、木村佳乃、草刈正雄、高畑淳子ほか
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/

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