プロレス愛に溢れたドキュメンタリー『俺たち文化系プロレスDDT』の面白さ

『俺たち文化系プロレスDDT』の面白さ

虚実入り混ざるプロレスの奥深さ

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マッスル坂井

 この映画はプロレスドキュメンタリーではあるが、プロレスのタブーとされる虚実の“境界線”をそのままに尊重している。どこまでが演出でどこまでが現実なのかは不明瞭なのだが、それで良いと納得させてくれるものがあり、プロレスそのものへの愛情を感じるのだ。変に気を張らず、ゆるゆるとリング外の姿を映し出し、それぞれの人柄を伝えていたのも効果的で、ドキュメンタリー作家である松江監督の手腕によるところも大きいだろう。長年のプロレスファンである私でさえ、「あの時の棚橋の発言はこの映画のラストを見越してのものだったか? 本音には違いないだろうけれど……」とわからなくなりながらも、最後には笑顔になってしまった。すべてをエンタメプロレスに昇華してしまうマッスル坂井は、やはり天才である。

(文=本 手)

■公開情報
『俺たち文化系プロレスDTT』
新宿バルト9ほか全国上映中
監督:マッスル坂井、松江哲明
音楽:ジム・オルーク
出演:マッスル坂井、大家健、HARASHIMA、男色ディーノ
高木三四郎、鶴見亜門、KUDO、伊橋剛太、今成夢人/棚橋弘至、小松洋平
撮影:今成夢人、福田亮平、中村祐太郎、松江哲明
編集:今井大介
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
カラー/74分/16:9/5.1ch
(c)2016 DDTプロレスリング

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