山田涼介『カインとアベル』で国民的アイドルとなるか JUMPの未来を担う「月9」挑戦

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(C)タナカケンイチ

 Hey! Say! JUMPの山田涼介にとって初の月9主演となるドラマ『カインとアベル』(フジテレビ)が、本日17日(月)よる9時より放送される。同作は、親の愛を巡る兄弟間の確執を描いた旧約聖書の「カインとアベル」をモチーフにしたドラマで、脚本を務めるのは『マルモのおきて』や『残念な夫。』などのホームドラマで手腕を発揮してきた阿相クミコ。山田涼介演じる弟・高田優と桐谷健太演じる兄・高田隆一が、高嶋政伸演じる父・高田貴行が率いる大手不動産会社『高田総合地所株式会社』を舞台に、複雑な人間模様を描き出す。

 本作は、長らく視聴率が低迷しているフジテレビ月9枠にとってはもちろんのこと、山田涼介にとっても大きな挑戦であり、JUMPというグループにとっても重要な一歩となる作品であることは間違いない。第1話の放送に向けて、これまでの山田のキャリアを整理するとともに、本作への期待を述べたい。

Hey! Say! JUMP“国民的アイドル”への試金石

 Hey! Say! JUMPはここ数年、各メンバーそれぞれが活動の幅を広めてその知名度を上げている。特にドラマや映画での躍進は素晴らしく、主演級の抜擢も目立つ。中島裕翔は今年、映画『ピンクとグレー』で映画初主演を飾ったほか、『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジテレビ)ではゴールデン連続ドラマ単独初主演を務めた。知念侑李も10月22日公開の『金メダル男』で映画初主演を果たし、伊野尾慧は来年公開の『ピーチガール』にて映画初主演となる。岡本圭人、有岡大貴、高木雄也、八乙女光、薮宏太といったほかのメンバーも、映画・ドラマで順調にキャリアを重ねている。

 山田涼介は、そんなJUMPの中でもいち早く、ドラマ・映画界で頭角を現したメンバーだ。2006年7月、ジャニーズJr.のメンバーだった山田は、神木隆之介主演の『探偵学園Q』(日本テレビ系列)でテレビドラマ初出演を果たす。当時13歳だった山田の瑞々しい演技は、神木隆之介の好演とともに、同世代の中高生の支持を集めた。同作への出演が縁となったのか、山田は2014年に同じ世界観を共有するドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系列)シリーズで、四代目の金田一一役を務める。金田一一役はこれまで堂本剛、松本潤、亀梨和也が務めてきたことからも、次世代のスターの座を期待されての抜擢だったのは想像に難くない。

 そして2015年の映画『暗殺教室』および『グラスホッパー』への出演で、山田の俳優としての評価は大きく高まった。主演を務めた『暗殺教室』は興行収入が初週4億円を突破するスマッシュヒットを記録し、特にその観客層の約9割が10〜20代の女性だったことから、山田がその世代に対する圧倒的な“数字”を持つ俳優であることが証明された。一方の『グラスホッパー』では、ナイフ使いの美しき殺人鬼・蝉として、その高い運動能力と冷徹な芝居を見せつけ、映画ファンの関心も呼んだ。

 山田が俳優としていち早く芽が出たことによって、一時は世間的にJUMPが「山田涼介とその仲間たち」のように映ってしまった面があるのは否めないが、ほかのメンバーのその後の躍進は、山田の実績に牽引された部分も少なくなかっただろう。グループとしても、誰かが先陣を切る必要があったし、その役割は山田が適任だった。山田がアイドルとしての王道を行けばこそ、ほかのメンバーの個性もより際立ち、グループとしての強みをさらに発揮できるからだ。

 さて、そう考えたときに今回のドラマ『カインとアベル』は、JUMPというグループの存在をより幅広い世代にアピールするうえで重要だ。SMAPやTOKIO、嵐といった先輩グループは、国民的アイドルグループとして老若男女を問わず人気を博してきた。メンバーそれぞれの活動が充実してきているJUMPが次のステージへと向かうためには、女性ファンのみならず、より多くの人々の支持を得る必要がある。

 『カインとアベル』は、先述したように兄弟の確執を軸としたホームドラマであり、そのシリアスな作風は同世代の女性だけではなく、硬派な作品を好むドラマファンや、同世代の社会人男性からも共感を得そうだ。山田演じる高田優は、桐谷演じる高田隆一に強いコップレックスを持つ弟として描かれるため、自然と応援したくなる同性も多いだろう。兄役が、桐谷健太というのも良い。桐谷はこれまで、『69 sixty nine』(2004年)『クローズZERO』(2007年)『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)『GONIN サーガ』(2015年)など数々の作品で不良役を演じてきた、ハードなイメージを持つ俳優だ。どちらかというと中性的で柔らかなイメージを持つ山田と好対照であり、浅野忠信が『グラスホッパー』で殺し屋・鯨として山田と死闘を繰り広げたときのように、山田の内に潜む鋭利な存在感を引き出してくれそうだ。

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