本田翼、女優としてのイメージに変化? 映画『少女』で見せた新しい顔

本田翼、女優としてのイメージに変化?

 ことに、映画になると本田翼という女優は、転々とイメージを変えていく。世の中が持つ彼女のイメージが、2011年のダイドーコーヒーのCMで、「ぶれんじゃねーぞ」と自分に言い聞かせる前向きな彼女に端を発しているならば、これはもはや「ぶれている」とか「ぶれていない」とかではない。将来的に「ぶれない」ためのキャラクターをまだ模索しているかのようだ。

 『すべては君に逢えたから』で見せた、どこにでもいる普通の少女か、それとも『アオハライド』での突き抜けて溌剌とした姿か、とくに本田翼らしいイメージが出ているのはこの二本だろう。対照的に『ニシノユキヒコの恋と冒険』で見せたようなミステリアスな魅力は、前述の『起終点駅 ターミナル』でも発揮された。いずれも微かに明るさは残されていたが、今回はそれさえも封印して、静かに、かつ冷ややかで一定という、まったく新しい境地に挑んでいるとみてよいだろう。

 もっとも、中盤で彼女が突然海に飛び込むシーンだけは、冷めた表情とは打って変わって魅力的だ。そこでは活発さを通り越した、危うい魅力が放たれる。何の前触れもなく水に飛び込む場面というのは、冒険心に溢れた若気の至りを表すエモーショナルな芝居になるものだ。これまでもドラマやCMでプールに飛び込む彼女を見たことがあるが、やはりこういう芝居の方が、本田翼にはよく似合っている。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。

■公開情報
『少女』
10月8日(土)全国ロードショー
原作:湊かなえ『少女』(双葉文庫)
監督:三島有紀子
出演:本田翼、山本美月
配給・宣伝:東映
(c)2016「少女」製作委員会
公式サイト:www.shoujo.jp

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