ホラー映画の新たな恐怖表現が誕生 『ライト/オフ』は暗闇への怖れを逆手に取る
ホラーというジャンルは、映画だけに留まらず、これまでも短編小説やテレビ番組でも多く取り上げられるジャンルの一つだ。新人作家が最も作りやすいジャンルでもあり、かのモダン・ホラー界の巨匠スティーヴン・キングも、常軌を逸した大長編を発表する傍ら、無数の短編ホラーを発表(時に別名を使ってまで)している。
自主映画として製作され、世界的に大ヒットを記録した『死霊のはらわた』で一躍注目を浴び、今やハリウッドの重鎮となったサム・ライミ監督も、元々は約30分のホラー短編『Within the Woods』が話題になり、デビューにこぎつけた作家の一人。さらに本作同様、ネット上で話題になった短編『MAMA』をギレルモ・デル・トロに見出されたアンディ・ムスキエティ監督も、同名の長編作でハリウッド・デビューを果たした。そして本作を手がけたデヴィッド・F・サンドバーグ監督も、自身のサイトでホラー短編をいくつも発表しており、その中でも各賞を受賞している『Light out』を長編化するチャンスに恵まれた。
本作を観る前にオリジナルの短編を観るもよし、もしくは本作を観終わってからオリジナル版を視聴するのもお勧めだ。ジェームズ・ワンが何故サンドバーグ監督の才能に着目したのかが判るはず。しかし、いずれにせよ“閲覧注意”という注釈に相応しい短編ホラーなので、深夜の視聴には要注意だ。
■鶴巻忠弘
映画ライター 1969年生まれ。ノストラダムスの大予言を信じて1999年からフリーのライターとして活動開始。予言が外れた今も活動中。『2001年宇宙の旅』をテアトル東京のシネラマで観た事と、『ワイルドバンチ』70mm版をLAのシネラマドームで観た事を心の糧にしている残念な中年(苦笑)。
■公開情報
『ライト/オフ』
2016年8月27日公開
監督:デビッド・F・サンドバーグ
製作:ジェームズ・ワン、ローレンス・グレイ、エリック・ハイセラー
製作総指揮:ウォルター・ハマダ
出演:テリーサ・パーマー、ガブリエル・ベイトマン、ビリー・バークほか
公式サイト:https://warnerbros.co.jp/c/movies/lights-off/
(c)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT