似ているようで似ていない!? 『ターザン:REBORN』と『ジャングル・ブック』を比較
連続物としての楽しみ方も可能!?
全く異なるストーリー。登場人物。それはよくわかっている。けれど、これら二作を一週間ほどの間隔を空けてそれぞれ試写した筆者の脳内では、面白いことに様々なシーンでデジャブが巻き起こった。それどころかこれまで抱いたことのない不可思議な感覚が呼び覚まされていくのを覚えた。
というのも、どちらの主人公もジャングルで生まれ、片や少年の成長物語、片や成人となった男の冒険譚。これらの内容が両者の人生の“描かれなかった部分”をうまく補完しあったせいだろうか、上映中は『ターザン:REBORN』と『ジャングル・ブック』がまるでひと続きの物語のように感じられたのだ。つまり、少年モーグリが成長して、成年ターザンとなって、再びジャングルへ戻るといったような具合に。
こんな見方が許されるのか、それとも邪道なのかはわからないが、 ただし、もともとエドガー・ライス・バローズが「ターザン」を執筆した際、その着想の源泉のひとつにキップリングの「ジャングル・ブック」の存在があったという。とすると、同じ遺伝子を有したこれらの映画を緩やかな連続物として勝手に脳内処理してしまうのも、100歩譲って“あり”なのかもしれない。
そういった意味では、この夏、二つの作品をどちらも鑑賞すると、トータル3時間36分に及ぶ壮大なジャングル絵巻を満喫できることとなる。どちらが先でも後でも構わない。一方はファミリーアドベンチャー、もう一方は大人向けのアクションムービーとして、ぜひ客席で自分の内なるネイチャーな部分を覚醒させ、日頃の感覚がリフレッシュされていくのを感じてほしい。きっと劇場を出た時、ワケも分からず走り出したくなること請け合いだ。
■牛津厚信
映画ライター。明治大学政治経済学部を卒業後、某映画放送専門局の勤務を経てフリーランスに転身。現在、「映画.com」、「EYESCREAM」、「パーフェクトムービーガイド」など、さまざまな媒体で映画レビュー執筆やインタビュー記事を手掛ける。また、劇場用パンフレットへの寄稿も行っている。Twitter
■公開情報
『ターザン:REBORN』
丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国公開中
監督:デヴィッド・イェーツ
出演:アレクサンダー・スカルスガルド、マーゴット・ロビー、サミュエル・L・ジャクソン、クリストフ・ヴァルツ
配給:ワーナー・ブラザース映画
原題:The Legend of TARZAN
(c)2016 Edgar Rice Burroughs, Inc. and Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
公式サイト:www.tarzan-movie.jp
『ジャングル・ブック』
8月11日(木・祝)全国ロードショー
監督:ジョン・ファヴロー
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
原題:The Jungle Book
(c)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:http://www.disney.co.jp/movie/junglebook