少女椿、ライチ☆光クラブ、南くんの恋人……ガロ系漫画が時代を越えて実写化される理由
『ガロ』作品の実写化とこれから
善し悪しは置いといて、アニメが完全にメインカルチャー化し、サブカルやアングラもファッション化しつつある時代だからこそ、従来的なサブカルの総本山である“ガロ”の作品群は、よりエッジの立ったものとして映るのではないか。一方、当時は先鋭的に過ぎて理解されなかった作品も、時代が変わったことで、その面白さや魅力が伝わりやすくなった面もあるだろう。例えば、『少女椿』や『ライチ☆光クラブ』のように、美少女や美少年が登場するエログロでアングラな世界は、現代のいわゆる“腐女子”が好むボーイズラブの要素がふんだんに取り入れられた漫画だけに、映画化するには絶妙なタイミングだった。
作家性を尊重して描かれた作品が、時代に左右されない芯の通った本物(変わりもの)であるからこそ、何十年経っても真新しいものとして受け入れられる。また、業界の中心にいるクリエイターが“ガロ”に影響を受けた世代ということも、少なからず映画化が増えた背景に関係がありそうだ。漫画原作が増えたいまのドラマや映画界において、他の少年少女漫画とは対極にあるガロ系作品は、今後も需要が増していくのではないだろうか。
(文=本 手)
■公開情報
『少女椿』
シネマート新宿ほか全国順次公開中
監督・脚本:TORICO
出演:中村里砂、風間俊介、森野美咲、武瑠(SuG)、佐伯大地、鳥居みゆき(友情出演)、深水元基、中谷彰宏
製作:太代眞裕 柏木登 奥田真平 エグゼクティブプロデューサー:前田伸一郎 プロデューサー:堀越大
撮影:曽根剛 美術:佐々木健一 美術デザイン・監修:宮下忠也 衣装デザイン:武田久美子
音楽:黒石ひとみ
主題歌:「あの子のジンタ」チャラン・ポ・ランタン(avex trax)
原作:丸尾末広「少女椿」(青林工藝舎)
2016年/日本映画/90分/R-15
製作:『少女椿』フィルム・パートナーズ 配給:リンクライツ
(c)2016『少女椿』フィルム・パートナーズ