土屋太鳳の“蹴り”は、なぜかくも美しいのかーー『お迎えデス。』名物シーンが生まれた背景

 そして2015年に、女優としてのターニングポイントとなる『まれ』に出演することに。その影響もあってか、以降は『図書館戦争』シリーズや『orange-オレンジ-』など可愛くて良い子のキャラが増えていった。女優業以外でも、アニメ『僕だけがいない街』で声優に初挑戦、シーアの楽曲「アライヴ」の日本版ミュージックビデオでダンスを披露、さらにはバラエティにも多数出演したりとお茶の間への露出が増え、以前のクールなイメージから、可愛くてハイスペックな女優というキャラを確立していくのだ。

 そんな中、ドラマ『お迎えデス。』では、感情むき出しで実直な女子大生役を演じている。本作は、阿熊幸(土屋太鳳)と、阿熊とは性格が正反対の堤円(福士蒼汰)がパートナーを組み、一緒に成仏できない幽霊をあの世に送っていくというバディもの。毎回、円に憑依した幽霊を払うために、土屋が福士の尻に蹴りを入れるのがお約束となっている。最近女優として丸くなっていた印象の土屋だが、『鈴木先生』以来の空手の猛者という設定で、クールな面持ちでキレのある演技を見せる姿はセクシーで魅力的だ。

 現在21歳の土屋太鳳。10代の少女がもつ神秘的な美しさや危うさは、成長とともに薄れていくのかもしれない。しかし、土屋が「努力をしないと、私は何もできないんです。それに、いっぱい考えてからじゃないと前に進めなくて」と語るように、女優デビューの頃に影響を受けた俳優たちのストイックな精神を継承し、今後も魅力的に成長していくのは間違いない。

(文=本 手)

■ドラマ情報
『お迎えデス。』
2016年4月16日夜9時スタート
出演:福士蒼汰、土屋太鳳、鈴木亮平、門脇麦ほか
脚本:尾崎将也
製作著作:日本テレビ

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる