『とと姉ちゃん』『重版出来!』『バクマン。』……出版業界の内幕描く物語はなぜ増えた?

「最近のアニメでは、登場人物が「すでに全12話中6話まできているのに、自分たちはなにをやっているんだ」といった台詞を口にするなど、自分たちが作者によって描かれている人物であることに自覚的だったりします。こうしたメタ的な演出は、視聴者もまたメタ視点で作品を鑑賞することに慣れているからこそ成立するのだと考えています。最近では『おそ松さん』が社会現象といえるほどヒットしましたが、この作品では第1話から登場人物たちがいまのアニメ界に馴染もうと慌てふためく様子が描かれていました。視聴者がメタ視点で鑑賞することを逆手に取ったギャグで、それが刺激的だったからこそ、同作は注目を集めたのでしょう。漫画家漫画などの出版業界を舞台とした作品は、漫画そのものや制作現場の内幕についても言及するため、自然と物語の枠を越えるメタ的な視点を持ったコンテンツとなります。それがすごく今日的で、いまの視聴者が求めるものとマッチしているのかもしれません」

 現在放送中の『とと姉ちゃん』と『重版出来!』が、それぞれどのように出版業界を描くのか。時代背景も含めてその差異を比較すると、さらに新しい視点も得られるかもしれない。

(文=松田広宣)

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