『ドロメ』内藤監督が語る、Jホラーとアメリカンホラーの融合「主人公の成長物語でもある」
「その人にしか語れない形で物語を撮ること、そこに監督する意味や意義がある」
ーー川那小春役の森川葵さん、星野颯汰役の小関裕太さん、それぞれキャスティングした理由を教えてください。
内藤:小春役はショートカットが似合う、すこし影のある女子をイメージしていたので、パッと思いついたのが森川さんでした。現場での彼女からは、すごく悩みながら手探りで演技をしている印象を受けましたね。舞台の練習をしている最中に小春が泣くシーンがあって、そこが本人的に上手く演じることができず、もうできないって撮影中に座り込んでしまうこともありました。引っ張り起こしてもう一回やってもらいましたが(笑)。小関くんは、女性の幽霊に取り憑かれそうな中性的な雰囲気がハマっていたと思います。撮影では、事前にきちんと作り込んできますが、その場での柔軟な対応やアイデア出しもできる方でした。
ーー今回の『ドロメ』も含め、内藤さんの作品には鑑賞者を驚かせようとする仕掛けがいつも用意されていると感じます。今後もそういった方向性で制作を続けていくのでしょうか?
内藤:おそらく他の作り手も同じだと思いますが、自分が面白いと思うものじゃないと作れないだけです。恋愛ならこういう形、ホラーならこうあるべき、といった既存のフォーマットにあてはめられた作品が一番つまらないと思っていて。抽象的な言い方ですが、そこに魂を感じないというか。自分の視点を通した映画は、描写にその人の資質が滲み出てくるだろうし、そうすると必然的に既存の形からもずれてくると思います。その人にしか語れない形で物語を撮ること、そこに監督することの意味や意義があるのかなって。僕から見た幽霊ホラーやモンスターホラーは、今回の『ドロメ』でしっかり形にできたと思います。
(取材・文=泉夏音)
■公開情報
『ドロメ【男子篇】【女子篇】』
公開中
監督:内藤瑛亮
脚本:内藤瑛亮、松久育紀
主演:小関裕太、森川葵
出演:中山龍也、三浦透子、大和田健介、遊馬萌弥、岡山天音、比嘉梨乃、菊池明明、長宗我部陽子、木下美咲、東根作寿英ほか
製作:「ドロメ」製作委員会(日本出版販売、TCエンタテインメント、TBSサービス、是空、レスパスビジョン)
2016年/カラー/5.1ch/ビスタ/【男子篇】92分/【女子篇】98分
配給:日本出版販売
宣伝:太秦
(c)2016「ドロメ」製作委員会
公式サイト:dorome-movie.com