ここから新しい時代が始まるーー河原一久氏が語る『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の展望

「人それぞれのやり方で、これから始まる新シリーズを楽しんでほしい」

――では最後に、新シリーズの全体的な展望について、河原さんが考えるところを聞かせてください。

河原:新シリーズに関しては、何の不安もないです。冷たい言い方をするならば、期待もないです。なぜならば、新作を作ってくれるとは思っていなかったから(笑)。だからその分、これまでとは違う新鮮な驚きがありますし、できる限りニュートラルに受け止めようと思いました。「こうあって欲しい」と期待を膨らませても、その通りになるわけがないし、それはあまり意味がないじゃないですか。もちろん、この本に書いたように、いろいろと予想はしますけど。

――予想するのは楽しいですからね。

河原:ただ、ひとつ気をつけなきゃいけないのは、今世界中のファンが、「自分だったらこう作る」っていう自分なりの『SW』を考えているわけじゃないですか。で、実際観に行ったら、それとどう違うのかっていう採点になってしまう。すると、自分の理想とあまりにも違うと点数が低くなって、「この映画ダメだ」ってなりかねない。

――まあ、そうでしょうね。

河原:だから、ファンとして楽しむのであれば、ファンとしてのスタンスを守ったほうがきっと楽しいと思うんです。クリエイターではなく、自分はあくまでもファンなんだっていう。だけど、単なるファンを越えて、ものすごくマニアになっている人が多くて……そういう人は、いろんなことをジャッジしてしまうんです。あれは良い、これは悪いって。でも、そういうのって、あんまり面白くないんじゃないかなって思います。素直に「美味い、美味い」って食べればいいのに、どこのレストランに行ってもいちいち採点する、食事を楽しめないグルメ気取りみたいです。

――そういう人、たまにいますね。

河原:それって、傍迷惑な話だし、本人も不幸だと思うんです。もちろん、そこに専門家がいて、ここはこうで、ここはこうなんだって解説するのはありだと思うけど、全員が専門家である必要は全然ない。

――味わい方は、人それぞれでいいと。

河原:そう。だから、そういった意味では『SW』は映画なので、まずはビジュアルから入ってもいいですよね。それこそ、今回登場する新しいドロイドのBB-8は、コロコロしていて見た目も可愛いし……今、もう圧倒的に人気なんですよ。そういう入り方も、僕はありだと思うし、人それぞれのやり方で、これから始まる新シリーズを楽しんでほしいと思っています。

(取材・文=麦倉正樹)

■書籍情報
『スター・ウォーズ フォースの覚醒 予習復習最終読本』
発売中
定価:1512円
著者:河原一久
出版社:扶桑社

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