SMエンターテインメント発、EXOは“演技ドル”新時代を拓くか? 出演作の役柄から考察

新世代“演技ドル”を次々生み出すEXO

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D.O.ことド・ギョンス

 もちろん、演技ドルの名前をほしいままにしているD.O.は2015年も俳優として引っ張りだこだ。6月にはドラマ『君を覚えている』にカメオ出演、危険人物というこれまた難しい役を演じた。また、映画『純情』への出演も決まっているほか、チョ・ジョンソクと兄弟を演じる『兄貴』の撮影もスタートし、2016年に公開予定だ。

 また、中国人メンバーであるレイが、中国で11月公開の映画『前任攻略2』に特別出演するほか、チャン・ツィイーが制作を手掛けることでも話題の映画『从天儿降』に主演することも決定している。SMエンターテインメントは中国のメディアアジアと業務提携もしていることもあり、今後も海外進出は続くだろう。

 だが、これまでのことを考えると、SMエンターテインメントは “演技ドル”後発の事務所のようにも見えた。国内でもトップのSMのアイドル達は、そのキラキラした特性がある故に、ファンタジックなラブ・コメディの主役を演じたり、カメオ出演で話題を集めるコースが求められ、その役柄が限定されているように感じたのだ。

 しかし、D.O.が『大丈夫、愛だ』で「誰しももろくて弱い」というテーマのもと、自身も深く傷ついたキャラクターを演じ、また映画『明日へ』では、非正規労働者の貧困と過酷な状況の中で生きる高校生を演じたことで、よりリアリティのある作品にも挑戦できる人材がSMにも存在するということを知らしめた。

 現在の“演技ドル”は主役でなくても演技さえうまければ十分に注目される。また、韓国では、ドラマ界も映画界も、非正規労働者の問題など、社会的なテーマの作品が増えている。演技をするアイドルたちも、そんな新たな需要の中で、次々と才能を開花させていくのではないだろうか。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■公開情報
『チャンス商会~初恋を探して~』
9月25日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次ロードショー
監督:カン・ジェギュ
出演:パク・クニョン、ユン・ヨジョン、チョ・ジヌン、ハン・ジミン、チャンヨル(EXO)
配給:CJ Entertainment Japan
(C)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

『明日へ』
11月6日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次ロードショー
監督:プ・ジヨン
脚本:キム・ギョンチャン
製作:シム・ジェミョン
キャスト:ヨム・ジョンア、キム・ヨンエ、キム・ガンウ、ムン・ジョンヒ、チョン・ウヒ、ド・ギョンス(EXO)
配給:ハーク
配給協力:アークエンタテイメント
(C)2014 MYUNG FILMS All Rights Reserved.

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