「あんかけ焼きそば」はいつ、どこで生まれ、広まったのか? 焼きそば研究家による驚異の徹底調査
たとえば第3章で著者は、アメリカの中華料理の歴史を調査している。巨大な歴史の流れの中で、十九世紀の中国系の移民により、中華料理がアメリカに持ち込まれた。それがどのような経緯で日本に渡ってきたかは、ぜひとも読んで確認してほしい。
それとは別に注目したいのは、もともと柔らかい麺だった広東の炒麺が、アメリカで揚げ麺になった理由を追究したところだ。著者は〝アメノカ人が、パリパリ、サクサクしたクリスピーな食感を好むからだ〟と考え、ポテトチップス、タコス。プレッツェル、シリアル食品を傍証として挙げている。実に説得力がある内容だ。
しかし著者は、あくまでも自分の考えであることも表明している。〝~~と私は考えている〟や、同じ意味の文章が何度も出てくる。徹底的に調べてたどり着いた結論でも、明確な証拠がなければ、自説であるというところに、著者の誠実な姿勢を見るのである。
なお、本書の「あとがき」で著者は〝機会があれば、カップ焼きそばの歴史も掘り下げてみたいものだ〟と記している。ぜひとも三冊目は、そのテーマでお願いしたいものだ。そしてカップ焼きそば(私は「ペヤングソース焼きそば」派)を食べながら、読みたいものである。