【ライトノベル最新動向】『負けヒロインが多すぎる!』シリーズが続々ランクイン! ライトノベル週間ランキング

 Rakutenブックスのライトノベル週間ランキング(2024年8月12日~18日)は、アニメ化されるほど人気がある作品が並んだ。1位は甘岸久弥による「魔道具師ダリヤ」の最新巻で、11月30日発売予定の『魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~11 小冊子付き特装版』(MFブックス)。前世で過労死して転生した先で、良妻賢母でいようとしたら婚約を破棄されたダリヤ・ロセッティが、魔導具作りの才能を発揮して商会を立ち上げ成功してくストーリーだ。

 7月6日からTVアニメがスタートしたが、ランクインした最新巻では話はグッと進んで、発明によって多大な貢献をしたダリヤに男爵の位が与えられることになり、そのお披露目がどうにか終了。年末に向けて慌ただしい日々を送る中で、最愛のヴォルフとの関係も深まっていく。「冬祭」をヴォルフと屋台めぐりをして楽しむ過ごすダリヤの日々が描かれた本編に加え、特装版には「甘岸久弥先生書き下ろし短編」「公式4コマ『まどダリ』」「キャラクターデザイン」を収録した豪華フルカラー小冊子が付く。TVアニメから入って展開を追っている人も、熱いファンになる将来を見越して手に入れておきたい。

 2位は、7月3日からTVアニメがスタートした燦々SUN「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」シリーズの最新巻『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん9』(スニーカー文庫)。シリーズでは、アリサ・ミハイロヴナ・九条ことアーリャさんが、高校で隣の席に座っている久世政近に、意味が分からないという前提でロシア語の小言をつぶやきつつ、それが実は好意的な言葉だということを、実はロシア語が理解できる政近は分かっているというシチュエーションにゾクゾクさせられる。

 TVアニメでアーリャさんを演じているのが、ロシア語が堪能な上坂すみれで、キャストが発表された時から話題になっていたが、始まってみるとさすがの発音を聞かせてファンを喜ばせている。原作の最新巻は、周囲には幼馴染みで通している周防有希が実は政近の妹であることをアーリャさんに告白。複雑な事情を越えて歩み始めるストーリーが綴られる。シチュエーションを楽しむラブコメディから深い青春ストーリーへと深化し、読み応えのあるシリーズとしていっそうの人気を獲得しそうだ。

 TVアニメ化関連では、雨森たきび「負けヒロインが多すぎる!」こと「マケイン」シリーズの最新作となる『負けヒロインが多すぎる!7』(ガガガ文庫)が7位にランクイン。7月14日からスタートしたTVアニメは、八奈見杏菜という女子高生のフラれてからの食べっぷりや見せる表情と言動のユニークさが話題となって人気沸騰中。ほかにも焼塩檸檬や小鞠知花といった女子が、次々に意中としていた相手にフラれて“負けヒロイン”となるまでや、なってからも続くドタバタとした日々を、コミカルに描きつつ切なさも感じさせて観る人の心を引きつけている。

 TVアニメの人気が原作にはねかえるパターンにハマったようで、14位に第3巻、15位に第4巻、18位に特典などで配布したショートショートを集めた『負けヒロインが多すぎる!SSS』、20位に第6巻、22位に第5巻、26位に第2巻がランクイン。第1巻は44位とやや下がるものの、既刊すべてがランキングに顔を出してきており、アニメ人気の盛り上がり方によっては上位独占もありそう。原作の方でも次々に”負けヒロイン”が登場する展開が続いていて、次はどんなパターンかを想像する楽しみもあるシリーズだ。

 ランキングの3位は鴨志田一による「青春ブタ野郎シリーズ」最新作となる『青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない』(電撃文庫)。ネット上で人気を集めていた覆面シンガーの霧島透子の正体が、子役出身で人気女優となっている桜島麻衣だといった噂が広がる中、ライブ会場で麻衣がそのことを打ち明けるといった話題が浮上。麻衣と付き合っている梓川咲太も麻衣自身もそんなことはないと確信していたが、ライブ当日になって予想を超えた事態が起こり、そこから咲太の周囲の世界が変容してしまう。

 元に戻そうと咲太は走り回り、霧島透子の正体をつきとめるが、果たして元に戻すことが正しいのかといった迷いも生まれてくる。オーラス前に突きつけられたとてつもない展開にしばし翻弄されながら、完結編となる10月発売予定の『青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない』を待ちたい。

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