『ドラゴンボール』サウジアラビアにテーマパーク誕生の衝撃 日本のIP戦略は国内に目を向けるべきなのか?

■日本人が日本の文化をしっかり評価すべき

  昨年、大手古書店「まんだらけ」の古川益蔵会長にインタビューを行った。ここ数年で、鳥山の原画や色紙が数百万円で取引されているほど高騰しているが、古川会長はその要因を「鳥山明のファンは世界中に満遍なくいる」ためだと語っていた。海外の富裕層の間でも鳥山の人気は非常に高いという証拠である。古川会長は「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として出演していた頃から一貫して、日本の漫画は世界に誇れると主張を続けているのだが、耳を傾けた人はどれだけいただろうか。

  日本の政治家や財界人は、日本のコンテンツは凄い、クールジャパンだなどと言い出している。その割には、日本の漫画の人気の高さをまったくと言っていいほど理解していないようだ。実際、今回の『ドラゴンボール』のテーマパークが発表されるまで、同様のアイディアをこれまで口にした政治家や財界人は誰もいなかった。ひょっとすると、ファンの間にもほとんどいなかったかもしれない。

  外国に評価されて、ようやく日本人が日本のコンテンツの魅力に気づく――。これは明治時代の頃から繰り返されてきた日本の伝統のようなものだが、同じ場面が令和の世でも再現されているようである。筆者は、鳥山明は浮世絵師の葛飾北斎などと並ぶか、それ以上の日本芸術史上最高のクリエイターだと思っている。しかし、その業績に対する評価はまだまだ低いと感じることが多い。日本はいつになったら、自国の文化を正当に評価できるようになるのだろうか。

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