早くも生成AIの反動? 漫画家・ひな姫が語る、アナログ回帰の理由「心の底から感動できるのは手描きの絵」

CG、AIの今後について思うこと

――おっしゃる通りで、子どもがデジタル機器をそろえるのはかなりハードルが高い。対して、アナログは数百円で始めることもできるし、絵を描く醍醐味が味わえるということですね。アナログの需要は今後、高まっていくとお考えでしょうか。

ひな姫:需要というより、僕が感じるのは、アナログ作業はとにかく楽しいということですね。1人でYouTubeの解説動画を見ながら描いていると、1~2時間ずっと集中しているので、自分でも驚くくらい。友達で集まってみんなで描くのも楽しいです。先日、レンタルスペースを借りて水彩お絵描き会をやったのですが、4時間があっという間でした。

――そういう交流の場はいいですね。

ひな姫:ミニ色紙やATCというとても小さなカードに、オリジナルやアニメの絵を描いて交換したのですが、それをどうやって飾ろうかなんて考えるのもまた楽しくて。ありきたりな言い方ですが、こういう絵は体験も一緒に記録されている特別な一枚ですよね。これは、チェキ人気にも共通するものがあるような気がします。

ひな姫が友人とともに行った水彩お絵描き会。コミュニケーションのツールとしてアナログは極めて有効な表現手段であり、今後も需要は高まっていくものと考えられる。写真=まきびけいし

――この先、CGの鑑賞の仕方なども変わっていくかもしれませんね。

ひな姫:CGは、あれだけの緻密な作画はとにかく大画面で鑑賞したいです。駅のデジタルサイネージで推しの絵を見るような体験を、自宅でもしたい。100号の絵を6畳の自室に飾るのは難しいですが、例えばMeta QuestのようなVR機器で自分だけの空間に好きな絵を大きく飾って、好きな時に鑑賞したら……きっと、楽しいと思うんです。

――昨今話題のAIに関しては、ひな姫先生はどうお考えですか。

ひな姫:AIイラストに限らず、最近、動画生成AIというのを見たのですが、素直に凄いと思いました。ニュースにもなった岸田総理の映像ではなく、かわいい女の子がちょっと動くものです。これでRPGゲームのキャラデザができたら、無限に作ることができそうだなと思いました。

――マスコミでは、漫画家やイラストレーターがAIイラストを毛嫌いしているような論調で語られることが多いですが、実際は少数派ですよね。ひな姫先生も、AIの凄さには感心しておられることがわかります。

ひな姫:そうなんですよ。……ただ、絵を描く仕事に限っては、AIに頼り切ってしまうイラストはどうなのか? と思うことはあります。自分がアナログ絵に戻ってきたきっかけは、先ほどの色紙を描く企画で絵具の美しさに感動したことでした。この感動が相手に伝われば、絵が少々下手でも許されるのではと思いましたから(笑)。言葉が強いですが、AIイラストを見てまだ心の底から感動したことが無いので、読者の方にも伝えたい感動が無くて……感動すれば、ころっと態度を変えると思うのですが(笑)。

――創作には、楽しさや喜びが大事だということですね。

ひな姫:だから、自分は当分アナログを頑張りたいと思っています。アナログは沼ですね。しかも、楽しい沼だと思いますから、おすすめです。

■プレゼント

今回の取材中に、ひな姫が描いた水彩イラストを1名にプレゼント。

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