【漫画】“稼げる漫画家アシスタント”の特徴とは? プロ漫画家がSNSに投稿した短編で現場がよくわかる
“アシスタント不足”に違和感
――なぜ『漫画のアシスタントで常に不足している人材の話』を制作しようと?
大塚:“アシスタント不足”という話はネットでよく散見されますが、実際は不足している人材と足りている人材がいて、それらがごちゃ混ぜに話されていることが珍しくありません。「これは周知させたいな」と思って描きました。
――本作の内容は大塚さんの実話ですか?
大塚:実話と人から聞いた話をミックスさせました。「特定の誰かがこうだ」と伝えることが目的の漫画ではなく、「業界は大体こんな感じだよ」ということを伝えたい漫画なので、多少は内容を変えている部分もあります。
――「やみくもなリテイク」「作画の勉強会」以外に、漫画家が修羅場になった際に気を付けるべきことはありますか?
大塚:大前提として「原稿を完成させる」がゴールなので、リテイクは減らすことが大切です。例えば、実力のあるヘルプアシさんが描き上げた原稿は、多少作風が違っていても通します。修羅場に陥らせた自分が悪いので、変なこだわりは捨てなければいけません。
――その辺りの判断力も漫画家には必要なのですね。
大塚:はい。また、修羅場になりそうな時は初心者は呼ばない、呼んでも帰す、ということも重要です。時間に余裕がある時は初心者の育成も行いますが、修羅場の状況で戦力にならなければ帰します。
――コロナ禍をキッカケに、アシスタントもオンラインで参加するケースが増えました。オンライン化が一般化した昨今、“やってはいけないこと”も新たに生まれたのでは?
大塚:対面ではないため、「もう少し速くしてほしい」といったことを伝える時は具体的な作画方法と、明確なアップ速度を電話など口頭でしっかり伝えなければいけないと思います。また、その後もメールなどテキストでも伝えることが大事です。とにかくお互いが見えないため、意思疎通は対面以上にしっかり意識することが重要なのではないでしょうか。
――ちなみに大塚さんは“やってはいけないこと”をしないために気を付けていることを教えてください。
大塚:なにより怒らないこと、不機嫌にならないことが重要です。そのため、ランニングしたり、打ち合わせで外に出たりなどしています。また、体調を崩してしまい効率がめっちゃくちゃ落ちるため、徹夜は絶対しないように心がけています。
稼げるアシスタントの特徴
――「商業デビューしなくてもアシスタントで十分稼げる」という話をたまに耳にしますが、実際のところアシスタントは稼げるのですか?
大塚:今も昔もアシは実力主義です。有名な漫画家の現場にいる腕の良いプロアシ・ベテランアシなどはマイナー漫画家以上にもらってる人が大勢います。実際年収1000万円以上の人もいます。その一方で、ヒラ、つまり初心者は成長して腕がつけないと、どこの現場でも稼げません。有名な現場に入れてもすぐクビになると思います。
――具体的に稼げるアシスタントとはどういう人なのですか?
大塚:腕があることは当然ですが、稼げるアシさんの特徴は“人間関係が得意な人”です。同じ腕、場合によっては少し腕が劣っていても、人付き合いが上手な人は重宝されます。
――最後に大塚さんの今後の展望など教えてください。
大塚:ネット配信や自費出版を主軸に、唯一無二の漫画を描いていけたらと思っています。原稿生産量年間600ページ以上を目標にどんどん描いていく予定です。現在はDLsiteコミポで漫画創作漫画『漫画家トンデモ裏事件簿』を配信中です!こちらでは漫画家のさらなる裏側を描いています。また、自費出版で漫画創作ハウツー漫画『漫画の赤本』、危機回避雑学漫画『生還図鑑』など発表中です!
『漫画家トンデモ裏事件簿』:https://www.dlsite.com/comic/work/=/product_id/BJ01111994.html
大塚志郎さんのBOOTH:https://umihan.booth.pm/