『南国少年パプワくん』柴田亜美、パプワくんゲームで「ご当地キャラ」量産した過去を明かす
柴田亜美の漫画『南国少年パプワくん』といえば、1991年に創刊された「月刊少年ガンガン」の人気を牽引する存在となった傑作漫画である。絶海の孤島・パプワ島に漂着したシンタローが、パプワくんたち島の住人とドタバタ劇を繰り広げるギャグ漫画であり、今なお人気は衰える気配が見られない。
9月4日、柴田はXでリアルサウンドブックの記事をリポスト。人気キャラクター、東北ミヤギの写真を掲載し、「ご当地ブームを先駆けしすぎていたんだ。作品を愛してくださっている記事をありがとうございます」とコメントした。
この柴田のコメントには多くのファンが反応。「『パプワくん』を通じて、地方の方言やご当地の名物や名所を学びました」など、多くのコメントが寄せられていた。
そして、「スーパーファミコンのゲームでは、敵キャラが名産や特産品だったのを覚えています!」というファンのコメントに柴田が反応。「まごうことなきご当地ゲームですわ。当時のエニックス会議室にコンビニ弁当1個とお茶1本で監禁されて、全モンスターのキャラデザさせられました」と、衝撃の過去を明かした。
な、な、なんと。ゲーム『南国少年パプワくん』のオリジナルキャラクターも柴田のオリジナルデザインだったのだ。実はこのゲームは記者もプレイしたことがあるのだが、よくありがちな横スクロールアクションゲームと思いきや、スーファミ全盛期ならではのマニアックな内容なのである。なにしろそれぞれのステージの名前も、トットリ島、グンマ山などの直球ストレートで凄すぎるのだ。
そして、柴田がデザインした敵キャラなのだが、トットリ島の例を挙げると「鳥取名物砂袋」「20世紀ナシ」、グンマ島は「メカハニワ」「だるまオヤジ」「カモネギ」などなど、ご当地の名物や名所を知っていれば一層楽しめるマニアックすぎるキャラばかりなのである。
こうした設定にこだわり抜いたモノづくりができるのは柴田ならではだし、キャラデザの造形の多彩さは、柴田が『ドラゴンクエスト』の4コマ漫画出身の漫画家ということも影響しているのかもしれない。いずれにせよ、柴田独自の感性が爆発しているキャラデザといえる。
それにしても、『パプワくん』ほどご当地ネタ満載の漫画が、90年代の少年誌で連載されていたことは、改めて凄いことだと思う。東北ミヤギ、忍者トットリ、博多どん太、祇園仮面アラシヤマ、津軽ジョッカー、ドクター高松などのガンマ団の刺客は、名前からしてご当地感がよく表れているため、それぞれの地域の観光大使になってもいいほどだ。一癖も二癖もある個性派揃いだし、今なおファンから愛されている。
例えば仙台駅で「萩の月」の看板を見ると、ああ、植物にされた東北ミヤギは萩の月を実らせるんだったよなあ……などと思い出してしまう。こういった設定の細かさは、他のご当地漫画を凌駕している。柴田ならではのキャラ設定の作り込みの凄みと言えるだろう。