乃木坂46 鈴木絢音が語る、“王道ではない写真集”を目指した理由「10年後に見返しても古くならない作品になった」
冒頭から、鈴木絢音がいない。そんな見開きに驚かされたのは、11月10日に発売された乃木坂46鈴木絢音の1st写真集『光の角度』だ。
「私は王道なアイドルではない」と彼女は自分を語る。その透き通った声音から感じたのは、卑屈さでも遠慮でもなく、自信だった。先輩、同期、後輩が写真集を出していくなかで、自分が写真集を出すと聞いたときは嬉しさもありながら、信じきれなかったという。けれどもこの写真集は、たくさんの個性が集まるグループのなかで、いわゆる「王道」ではない鈴木絢音の存在が唯一無二なものだと改めて実感できる素晴らしい作品に仕上がっている。今までのアイドル写真集とは違った角度で、彼女は彼女にしかない光を見せている。それは、彼女自身が望む、普遍的な輝きだ。
朝起きてから、夜眠るまで。そんな旅の一部始終のあらゆる瞬間を切り取った写真集は、見れば見るほど、彼女の隣を歩いて旅をしているような気持ちになる。そんな自身初の写真集について満足気に語る鈴木絢音の表情は、王道ではなくとも間違いなくアイドルだった。彼女自身が希望して実現したカメラマン・新津保建秀による撮影。写真集に込めた一つの大きなこだわりは、作品にどのような影響をもたらしたのだろうか。 写真集のページをめくりながら、さまざまな話を聞かせてもらった。(とり)【インタビューの最後にサイン入りチェキのプレゼント情報あり】
王道なアイドルではないからこそ、普遍的に
――1st写真集を出すにあたり、鈴木さんからはどんな要望を出されたんですか?
鈴木:私からお願いしたのは、カメラマンの新津保建秀さんに撮っていただきたいということだけですね。衣装や写真集のイメージなどはすべてお任せしました。
――新津保さんに撮ってもらいたいと思ったきっかけはあったんですか?
鈴木:以前撮影していただいた時に、凄く素敵に撮ってくださって。それが印象に残っていたのが大きな理由ですね。撮影は南国で行うことが決まったのですが、乃木坂46のメンバーも南国で写真集の撮影をした人が多くいますが、私は王道なアイドルではないので……。だから、他のメンバーとは違った写真集に仕上げたかったんです。そこで新津保さんなら、「王道」ではない、私らしい写真を撮ってくれるんじゃないかと思いました。新津保さんにお会いするのは今回の撮影が二回目だったんですけど、最初はお願いしても断られるんじゃないかと凄くドキドキしていました。
――確かに、過去の乃木坂46の写真集とは印象が違いますね。
鈴木:南国に行きましたけど、王道な海や砂浜ではなく、室内で撮った写真も多いです。また、写真集のなかでは、衣装に合わせて2種類の眼鏡をかけているのですが、普段家にいるときは、眼鏡は体の一部だってくらいずっと眼鏡をかけているので、眼鏡をかけているカットがたくさんあるのも私らしいポイントかなと思います。
――事前にスタッフと、どんな作品にしようかといった話はされたんですか?
鈴木:少しだけお話はさせていただいたんですけど、作品のイメージなどのお話はしませんでした。撮影中も、特に何かを意識することもなかったので……素の私が写っていると思います。
――「南国」「鈴木絢音」と聞いて、鈴木さん初のセンター曲『自惚れビーチ』を想像した方も多いと思います。私もその一人だったのですが、写真集を見たら世界観が全く違っていて驚きました!
鈴木:そうだと思います(笑)。最初の打ち合わせでも確かそんな話をしました。南の国で撮るから『自惚れビーチ』のようなイメージで、海で明るい感じの写真を撮るのかなと。そしたら、新津保さんがまったく違う感じで撮ってくださっていて。良い意味で、思わぬ方向転換になりましたね。
――写真集は鈴木さんらしくもあり、新津保さんらしくもあると感じます。ちなみに撮影中、新津保さんはどんな感じで鈴木さんを撮られてたんですか?
鈴木:隠し撮りしていました。クローゼットの中やカーテンの隙間から、こっそり撮るみたいな(笑)。下着のカットは、まさにそんな感じで撮っていただいてます。
――この下着のカットはちなみに何をされている時ですか?
鈴木:これは普通に着替えているところです。
――本当に盗撮みたいですね(笑)
鈴木:確かに(笑)。でもそのおかげで、ふとした自然な表情が写っていると思います。
――撮影前に乃木坂46のメンバーの写真集などは参考にされましたか?
鈴木:しましたね。メンバーの写真集は発売されるたびに見てきたので、どの作品をというわけではないですけど。でも、この子はこんな感じで撮っているなぁという印象はそれぞれにありました。そのなかで、やっぱり私は王道なアイドルではないので、やっぱり写真集も王道な感じは違うかなと。自分らしさのある写真集にできたら良いなと思いました。
――古くもないけれど流行りを意識したわけでもないという、不思議な印象を受けました。
鈴木:色褪せることのない普遍的な作品にしたいという話をしていたので、そう言っていただけて嬉しいです。私も、10年後に見返しても「古いな」と思われないような作品になったと思っています。
――冒頭20ページほど笑顔の写真がありません。それに景色だけの写真も多くて、今までの乃木坂46の写真集にはなかった新たな扉を開いた感じがあります。仕上がった写真集を見て「私の写真集、景色多いな!」とはならなかったですか?
鈴木:それは全然ならなかったです(笑)。新たな扉を、というのも意識していたわけではないですが、確かにアイドルの1st写真集としては珍しいかもしれませんね。