『梨泰院クラス』原作の登場人物はドラマとどう違う? 日本語版『六本木クラス』ならではの面白さ

いまNetflixで爆発的な人気を誇る韓国ドラマ『梨泰院クラス』

 韓国JTBCにて2020年1月から放送、Netflixで全世界配信されて日本でも人気を呼んでいるドラマ『梨泰院クラス』。黒柳徹子や宮脇咲良、トレンディエンジェルの斎藤司をはじめ、芸能人にもハマった人が続出した。

 物語の導入部はこうだ。

 高校生の少年パク・セロイは、転校先の学校で、父が勤める韓国トップの外食チェーン「長家」(チャンガ)の創始者兼会長チャン・デヒの息子グンウォンがクラスメイトをいじめているのを見過ごせず、ぶん殴ったことで高校中退、父は辞職することになってしまう。そんな父に対してグンウォンが交通事故を起こし、代理の犯人を仕立てて逃れようとしたことを知ったセロイはグンウォンを暴行し、少年院行きとなる。出所したセロイは打倒・長家を胸に、韓国ソウルの繁華街・梨泰院にて「甘い夜」を意味する居酒屋「タンバム」を開く――。

 『梨泰院クラス』の魅力のひとつは、中卒の前科者セロイを中心に、元ヤクザ、トランスジェンダー、愛人の子、ソシオパスといった、社会からつまはじきにされやすい人間たちがタンバムに集まり、「仲間」として、行く手を阻む悪の大企業・長家を打倒していくというサクセスストーリー/復讐劇にある。

 もうひとつは、一見すると何を考えているのが表情が読めないものの一途なセロイと、セロイが高校入学直前に出会って惚れた美女のスア、暗い過去があるにもかかわらず折れずにブレずに大志に向かって突き進むセロイに惹かれたチョ・イソの三角関係だ。

 韓流ドラマって「出生の秘密」「入れ替わり」「記憶喪失」「貧富の差の極端な恋愛」みたいなやつでしょ? と思っている人もいるかもしれないが(今も人気のあるテンプレではあるが)、そういう20年近く前からあるパターンとはまったく異なる作劇・演出によって老若男女を問わず、『愛の不時着』『ザ・キング』とともにNetflix上で日本でも熱烈に視聴されている(週間視聴ランキングで長らくトップ5入りを続けている)。

原作ウェブトゥーンは日本語でも読める!

原作・韓国版「イテウォン クラス」(Daum WEBTOONより)

 『梨泰院クラス』の原作はマンガ(フルカラー縦スクロールの「ウェブトゥーン」)であり、日本語で翻訳されたものをマンガアプリ「ピッコマ」で読むことができる。

 ただしタイトルは『六本木クラス』(メイン画像)になっており、パク・セロイは宮部新、チョ・イソは麻宮葵という名前に日本ローカライズされている。

 韓国ウェブトゥーンを日本展開するときには名前を日本人名にし、地名も日本のどこかに置き換え、紙幣・貨幣も日本のものに描き変える、というのが通例だ。韓国人名・韓国の地名のままにしているのは『ゴッド・オブ・ハイスクール』や『未生』など、非常に限られている。

 たしかに梨泰院はもともと軍事施設があって外国人の出入りが多い繁華街という点で六本木に似ているから改題にはなるほどという気もするが、タイトルが違うせいでドラマからマンガにたどり着けない人もいるかもしれない(ドラマが放映されてしばらく経ってから「ピッコマ」上で「梨泰院クラス原作」と明記され、「梨泰院」で検索するとヒットするようになったが)。

 しかし、「長家」を「JGグループ」にするのはいいとして、「タンバム」(甘い夜)を「ハチミツザナイト」にするのだけはどうかと思う……。

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