つんく♂、日本に根付かせた“リズム”の意識 シャ乱Q、ハロプロ、リズム天国……音楽シーンに留まらない功績
8月29日スタートの『24時間テレビ49 -愛は地球を救う-』(日本テレビ)で、スペシャルドラマ『幸せはある』が放送。つんく♂と、彼を支えた家族にスポットを当てた実話が描かれる。
24時間テレビ49スペシャルドラマ
8月29日(土)夜9時30分すぎ放送/
できたてほやほや!
本編映像PR初解禁
\病気に立ち向かうつんく♂さんと
それを支える家族の復活劇!
実話をもとにした物語を
妻・加奈子さん目線でドラマ化明るく前向きな心温まるホームドラマ
『幸せはある』
ぜひお楽しみに pic.twitter.com/kgQKALcsMU— 24時間テレビ【公式】【日本テレビ】 (@24hourTV) August 17, 2026
つんく♂と言えば、モーニング娘。やハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)所属グループのプロデューサーとして、アイドルシーンに数多くの革命を起こしてきた。そのひとつが、アイドルソングにおける“16ビート”の導入だ。
山口百恵や松田聖子を代表に、王道アイドルポップスの多くが8ビートだった1970年代から1980年代。J-POPという言葉が浸透した1990年代は“アイドル冬の時代”と呼ばれ、台頭したのがSPEEDなどのダンス&ボーカルのグループであり、楽曲の基盤となっていたのが16ビートだ。しかしアイドル冬時代は、つんく♂のプロデュースで生まれたモーニング娘。の登場によって終わりを告げた。
モーニング娘。はデビュー曲「モーニングコーヒー」こそ、初期The Beatlesのようなシンプルな8ビートだったが、2ndシングル表題曲「サマーナイトタウン」から16ビートを導入、3rdシングル「抱いてHOLD ON ME!」で初のチャート1位を獲得、以降「LOVEマシーン」や「恋のダンスサイト」などミリオンヒットを生み出した。
16ビートがモーニング娘。にもたらしたものは、ノリ(グルーヴ)だ。たとえ同じメロディであっても、16ビートを感じながら歌うことによってノリが生まれ、ひいては楽曲にドラマ性や高揚感をもたらせる。16ビートの細かな譜割りによってメロディに抑揚が生まれ、歌にエモーションを乗せやすくなるのだ。日本の歌謡曲と比べ洋楽が、シンプルな構成とメロディであってもドラマティックに聴こえるのは、16ビートが体に刻まれているか否かの差による。実際「サマーナイトタウン」や「抱いてHOLD ON ME!」などのMVでは、メンバーが体を小刻みに揺らして、16ビートを感じながら歌っていることがわかる。
また16ビートを体に刻んだことで、ダンス&ボーカルグループにも引けを取らないダンスパフォーマンスも可能となり、本格的EDMを取り入れたナンバー「One・Two・Three」では“フォーメーションダンス”が大きな話題に。いわゆるアイドルの枠を超えたクオリティの高い楽曲とダンスパフォーマンスによって、アイドル以外の音楽ユーザーからも注目を集めるようになり、その後のアイドルの多様化と“楽曲派”の台頭を促進させる一因となった。
こうした16ビートの意識は、つんく♂が総合プロデューサーを退いたあとも、ハロプロを手がけるクリエイターやハロプロ所属の多くのグループに継承された。ハロプロ研修生の楽曲に「青春Beatは16」という、曲名に16ビートが盛り込まれた「まさしく!」な楽曲があるほど。ロージークロニクルの小野田華凜は、「今日はリズムレッスンでした」「16ビートをひたすら口で刻みました」(※1)とブログでコメントするなど、16ビートの意識は、研修生時代からデビュー後にいたっても、徹底して叩き込まれているようだ。
つんく♂は経験から16ビートの有用性を知っていたのだろう。つんく♂が在籍したシャ乱Qのヒット曲「ズルい女」は、歌謡曲に16ビートのファンクサウンドを取り入れることで、楽曲の世界にスリリングなドラマ性を生み出し、音楽シーンに新風を吹き込んだ。「シングルベッド」や「涙の影」といったミディアムバラードの楽曲でも、歌唱をはじめ随所に16ビートを感じさせる。その経験をもとに、アイドルソングに16ビートを持ち込んだのがモーニング娘。だ。
またつんく♂は、約11年ぶりのシリーズ最新作『リズム天国 ミラクルスターズ』が話題のゲーム『リズム天国』シリーズのプロデュースを手がけ、アイドルとは異なるフィールドでも“リズム”の意識を啓蒙してきた。いわゆる音ゲーとは異なり、楽曲ではなくリズムに特化しているのが特徴の『リズム天国』。つんく♂はハロプロのプロデュース経験から、日本人のリズムに対する苦手意識や、それを克服するための明確なメソッドが不在だったことに気づき、自身の音ゲー体験も踏まえたうえで、「リズム感は鍛えられる」をコンセプトに自ら企画書を書き上げたという。つんく♂のリズムに対する並々ならぬ思いが、『リズム天国』という人気ゲームを生んだ。
日本の音楽が海外でも広く聴かれるようになった現在。その背景にはSNSやアニメの人気はもちろん、世界の音楽でスタンダードである16ビートの楽曲が増えたことも一因だろう。その背景には、日本人のなかの16ビート、ひいてはリズムに対する意識の“根付き”があり、それに一役買っていたのがモーニング娘。や『リズム天国』、そしてつんく♂だった。『リズム天国 ミラクルスターズ』には、AdoやFRUITS ZIPPERの櫻井優衣も参加。海外では『Rhythm Heaven Groove』などのタイトルで発売され、親しまれている。
つんく♂がアイドルにかけた16ビートという魔法。普通の少女をシンデレラに変えたその魔法は、今も解けることなくアイドルたちを輝かせ、日本の音楽をさらに大きな舞台へと導いている。
※1:https://ameblo.jp/rosychronicle/entry-12933046348.html


























