【座談会】Def Class、童子-T&HI-Dによる新曲「君を忘れない」に込めた平成の感覚 三者で語る“切ない”の再定義

【座談会】Def Class×童子-T×HI-D

 ヒップホップを軸に、ダンス、ラップ、ボーカルを武器に活動する6人組 Def Class。彼らの新作EP『Mellow & Tuff』に収録される「君を忘れない」は、これまでのタフなイメージとは異なる、“歌”を前面に押し出した切ないラブソングとなっている。その制作を手掛けたのは、2000年代から数々の楽曲で共作/共演し、表立った形では十数年ぶりとなる童子-TとHI-Dのタッグだ。

3rd Digital EP「Mellow & Tuff」”君を忘れない” Music Video

 タイパが求められ、楽曲も短くなっていく時代に、あえてイントロや大サビを備えた“平成的”なバラードを作ること。リズムやフロウの技巧を磨いてきたDef Classに、あえて「歌いすぎないように」「手紙を読むように」と求めること。そこには、単なる懐古ではなく、かつて培われた“言葉を届ける”ための方法を現在の感覚で更新しようとする試みがあった。

 “エモい”ではなく、“切ない”。童子-T、HI-D、そしてDef Classの6人に、「君を忘れない」の制作を通して見えてきた歌と言葉へのこだわり、世代を越えて受け継がれていく歌について、たっぷりと語ってもらった。(高久大輝)

童子-T&HI-Dの関係性 ふたりから見たDef Class

――今回Def ClassのEPに収録される「君を忘れない」は童子-TさんとHI-Dさんが十数年ぶりにタッグを組んで書き下ろしています。まずは2000年代に多くの曲で共作/共演してきたおふたりの関係性について教えていただけますか?

HI-D:曲を売るために一緒にやるみたいな、ビジネスライクな関係ではなかったですよね。

童子-T:そうだね。俺らの時代はシーンがすごく狭かったから、仲間だったり、友達だったり、付き合いがあるのが前提で、「じゃあ今度曲やろうぜ」みたいな流れが絶対にあった。

HI-D:最初に会ったのはDJ YUTAKAさんのスタジオでしたっけ?

童子-T:全然覚えてない(笑)。でも覚えていないくらい前のことだよね。とにかく当時HI-Dは、いちばんヒップホップ寄りなシンガーだった。

HI-D:鮮明に覚えていることがあって。当時はR&Bシンガー自体も珍しかったですし、僕がダンスをやっていたことや、英語を話せることだったりも含めて興味を持って声を掛けてくれる人が多かったんですけど、そんな状況で童子-Tさんは作詞の部分をすごく評価してくれたんです。当時そんな先輩はいなかったんで、めちゃくちゃ嬉しかった。

童子-T:彼はシンガーだし、ラッパーと一緒にやるときは一般的にはサビだけを担当することが多かったと思うんだけど、歌詞も良かったから、2005年の「男一匹 feat.HI-D,AKTION」ではヴァースを蹴ってもらったりしたんだよね。それくらいHI-Dはラッパーに近い認識だった。

HI-D:マイクリレーしましたね。

童子-T:それから俺も作家として裏方で名前を出さずに活動していくようになって。そこでも一緒にやったりすることもあったんです。

――そうした関係性のなかで、長く共作を続けてきたんですね。そんなおふたりが久々に曲を書き下ろすことが決まったとき、Def Classの皆さんの心境はいかがでしたか?

JJ:正直、おふたりのヤバさを認識したのは最近のことだったんです。もちろん、2000年代におふたりの曲には触れていたんですけど、当時は誰が歌っているとかほとんど気にせず音楽を聴いていて。大人になってから、「あ、あの曲をやっていたのはこの方だったんだ! ヤバい!」みたいな。だからこういった機会をいただけて本当に光栄ですね。

K:僕もiPodで音楽を聴いていたときから、おふたりの音楽に触れていました。今日こうやってお話しするのもめちゃくちゃ緊張しています(笑)。

WON:メガヒット曲を作ってきたレジェンドのおふたりとご一緒できるなんて奇跡ですよ。おふたりの顔に泥を塗るわけにはいかないので、いつも以上に気合が入りましたね。

――童子-TさんとHI-DさんにとってDef Classはどのように見えていましたか?

童子-T:ダンス&ボーカルグループのなかでも、かなりヒップホップ要素が強い子たちだよね。

HI-D:僕も童子-Tさんもダンスから始まってるんで、そういう点ではシンパシーもあるし、見ていてすごく楽しそうだなって。“レジェンド”とか呼ばれるのはこそばゆいんですけど、自分たちがやってきたことを少しでも渡せるなら嬉しいですよね。

――今回のコラボレーションには、Def Classをフックアップする意味合いもあったのでしょうか?

童子-T:フックアップに対しては持論があって。もちろんダイレクトにフィーチャリングしたりするのはひとつの大きなフックアップであると思うんだけど、基本的にある程度は自分たちで頑張らないと大成しない。俺らの時代だと、例えばLITTLE(KICK THE CAN CREW)は俺のサイドキックをやっていた時期もあるけど、KICK THE CAN CREWにせよ、RIP SLYMEにせよ、あいつら自身の力で売れていった印象なんです。

 だからまず自分たちなりのスタイルがちゃんとあって、そのうえで別のテイストを入れることで、さらに広がっていくのがいちばんいいと思うんですよね。今回も、Def Classが持っているものを崩すんじゃなくて、そこに俺たちのやってきたことを足して、また違う魅力を出せたらいいなという感覚でした。

「ここまで突出したボーカルを持っているグループはなかなかいない」

――「君を忘れない」のデモを聴いて、Def Classの皆さんは何を感じましたか?

K:初めてこの曲を聴いたときは、これまでにないくらい心が震えましたね。どの世代にも刺さる感覚もあるので、この曲を自分たちがやれることがめちゃくちゃ嬉しいです。

FAL:これまでのDef Classはダンスやラップを軸にした曲が多めだったんですけど、この曲は歌にフォーカスしているじゃないですか。だから自分とWONがグループのメインボーカルとして、実力を試されているような気持ちで。人生経験の浅い自分がどうやってこの歌詞の世界観を表現するのか、今までにない大きな壁を感じましたね。でも、同時にそこに挑戦できるワクワク感もあって。こんな機会をいただけて、感謝の気持ちでいっぱいです。

――これまでにない挑戦だったんですね。

童子-T:本人たちが言ったように、Def Classはゴリゴリなヒップホップの曲が多い。でもそのなかでもWON、FALのボーカルとしての力はすごいと思ったんです。今のダンス&ボーカルのシーンを見ても、ここまで突出したボーカルを持っているグループはなかなかいないから、そこをもっと押し出したかった。

 それに、今はどうしても時代的にTikTokをはじめ、縦型動画でダンスを見せてバズを起こす方向に行きがちで。もちろん、それを否定しているわけじゃないけど、もう少し音楽として届けられないかなという想いがあった。それで、やっぱり歌なんじゃないかって。そのうえで俺らがやるわけだし、あえて平成の感覚に寄ったようなものを現代風にアップデートしてみようかっていうとこから始まったんです。

――あえて平成の感覚に寄せた。

童子-T:そう、そこは挑戦でしたね。タイパが求められて、イントロやギターソロが飛ばされてしまう時代に、しっかり大サビまで展開していくバラードを作るって。でも当時のノリのまま作っちゃうと5分半〜6分超になってしまって、さすがにそれは耐えられないと思ったので、どうコンパクトに、なおかつ妥協せず作るか。

HI-D:そこはかなり話し合って詰めましたね。

――その平成の感覚は、Def Classの皆さんにも伝わりましたか?

JJ:はい。懐メロを聴いたり、歌ったりするのが好きなのもあって、「あの頃ってよかったな」と思う瞬間ってたくさんあるんです。「嵐の素顔」(工藤静香)をリミックスしているのにもそういった理由があります。だからこそ、この曲を聴いた瞬間、この時代にこの良さを伝えられるのは僕らしかいないと思いましたね。

FAL:これまでの曲はヒップホップ要素の強いものが多いけど、ちゃんと歌詞を大事にして、言葉に魂を乗せて届けるというのは、自分たちが意識してきたことでもあるんです。リスペクトを込めて、時代をつないでいけたら嬉しいです。

TAO:僕も平成の雰囲気というか、哀愁や香りのようなものが大好きなので、僕らよりももっと若い、平成を知らない世代の皆さんにもその良さを伝えたいなと、この曲を聴いて強く思いましたね。これまでやってきたすべてをぶつけました。

SOLA:ダンスでもそういった感覚をどうやって表現するのかかなり考えました。エモい雰囲気の振り付けになるんですけど、若い子たちだけじゃなく、平成を知っている世代の方にも届けられるのがすごく楽しみです。

童子-T:SOLAがエモいと言っていたけど、“エモさ”と“切なさ”の違いも考えたかな。俺たちが若い頃も、RHYMESTERあたりが“エモい”って言ってたりしたけど、要はエモーショナルってことだよね。だから、ワイドな意味合いで使えるけど、“切ない”は結構恋愛にピントが合ってる言葉というか。

HI-D:そうそう、僕たち世代は特に“エモい”は、カジュアルなイメージがある。“切ない”は、もっと恋愛の胸の苦しさとか、そういうものですよね。

童子-T:だから、この曲で“切ない”を再定義したいって気持ちもあった。

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