ぼっちぼろまる×小西貴雄、平成/令和“すべてのJ-POP”を語り合う「わかりやすくて何が悪い!」 ヒット曲とは一体何なのか?

M!LK「好きすぎて滅!」が“死”でなく“滅”の理由、言葉で記憶されるヒットソング

――最近で言えば、「好きすぎて滅!」(M!LK)とかもそうですが、ああいう一言が社会を占有することもあります。ヒットソングって、メロディだけじゃなく“言葉”でも記憶されるんですよね。
ぼっちぼろまる:あれには本当に考えさせられました。「好きすぎて滅」に至る思考の過程とかまで想像して考察してみたんですよ。「好きすぎて死」だと、言葉として強すぎる。「消える」でも意図や意味が違うし伝わりにくい。その結果、僕のなかでも「滅」がいちばんしっくりきたんです。やっぱり、これだと思える言葉を探す作業は大事ですね。
小西:最近は、いわゆる職業作詞家という存在が少なくなっていますよね。昔の歌詞って、ものすごい大嘘つきじゃないですか。
ぼっちぼろまる:大嘘つき(笑)。
小西:たとえば、「TOKIO」。グループのTOKIOじゃなくて、沢田研二さんが歌っている曲ですけど、〈空を飛ぶ 街が飛ぶ〉ですからね。「そんなことないだろう」ということを堂々と歌っている。ピンク・レディーの「透明人間」も〈透明人間、現る〉ですよ。透明人間は現れても見えないだろう、と(笑)。
ぼっちぼろまる:たしかに(笑)。
小西:そういう「大きく出たな!」というような表現が、今は少なくなっている。今の歌は、すごくシリアスなんですよ。
ぼっちぼろまる:シリアスですよね。
小西:ユーミン(松任谷由実)が書いていたニューミュージックも、実体験のように聞こえるけれど、すべてが実体験だったわけではないでしょう。たとえば、彼の部屋にわざとピアスを落としていく、みたいな歌詞がある。それも誰かから聞いた話かもしれないし、想像して書いたのかもしれない。小説家のように物語を書く、ストーリーテラーとしての作詞家が少なくなっている気がします。阿久悠先生もそうですし、売野雅勇先生もそうでした。あれこそ言葉のパワーです。郷ひろみさんの「2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン-」だって、〈見つめ合う視線のレイザー・ビーム〉ですから。レイザービームは出ないだろうって(笑)。そして「ジャパーン!」がどうしようもなく耳に残る。音楽のなかに言葉のパワーがある時代だった。
――もはや理屈を超えていますよね。
小西:あのままのフォーマットではないけれど、ぼろまるくんも、うまくいけば“上手な嘘つき”の作家になれると思います。それを許されるキャラクターでもあると思うんですよ。
ぼっちぼろまる:頑張ります(笑)。
小西:楽しみですね。かつて日本の音楽には洋楽への強い憧れがあって、洋楽をお手本として追いかけてきた時代が長くあった。ただ、いくら追いかけても、どうしても自分たちの持ち味や手癖が出てくる。それを以前は、強い自信を持って出していたというより、「洋楽に憧れているけれど、どうしてもこうなってしまう」という形でアウトプットしていたようにも思うんです。でも、これからは「それを自信を持って出していいんだ」と思っていますね。
ぼっちぼろまる:逆に、僕はそれしかできないかもしれない(笑)。
すごく自由で、カオスで、いい時代だなと思います(小西)
小西:たとえば、高中正義さんが、海外で突然ブレイクしたようなこともあるじゃないですか。高中さんは海外向けに何かを狙ったわけではなく、普通に自分の音楽をやっていた。それが外から見たら、かえって面白いものに映ったんだと思うんです。日本らしさといっても、わかりやすく和楽器を使うという話ではないんですよ。リズムの取り方だったり、三三七拍子のような感覚だったり。Bon Joviの「Livin' on a Prayer」で盆踊りで踊っている姿を見ても、「これもアリだよな」と思える。海外にも、それを面白がる人たちがいるわけだから、きっと通じるんでしょうね。それに、さっきぼろまるくんが言っていた「楽しい」という感覚は、すごくわかりやすい武器になると思います。楽しいものは、世界共通で楽しいんじゃないかな。
ぼっちぼろまる:そうですよね。
小西:何が起きるかわからないですよ。時系列すら関係なくなっている。TikTokで、昔の曲が急にバズることもある。平成の曲も定期的にバズっていますよね。以前TikTokのチャートで僕がアレンジした曲、ブラック・ビスケッツの「Timing」と広瀬香美ちゃんの「ロマンスの神様」が1位と2位に並んだことがあって、そのとき(中西)圭三さんから「今の時代が求めているのは小西のサウンドだな」とメールがきたことがあって(笑)。
ぼっちぼろまる:リアルタイムでも流行して、何十年後かにもう一度流行っちゃう。ふたつの時代に届いているわけですから、すごすぎることですよ。
小西:今の時代のよさは、そこだと思うんだよ。CDがなくなった、レコードが聴かれなくなったと悲観的にとらえる人もいるけれど、一方では突然、海外で日本のフュージョンが発見されたり、シティポップが発見されたりする。今の若い世代が平成の曲を聴いて、「これ、いいよね」と感じることもある。すごく自由で、カオスで、いい時代だなと思います。
――これからのJ-POPは、アニメやサブスクを通じて世界へ届く機会がますます増えていきます。この時代だからこそ大切なことについて、おふたりはどう考えていますか。
ぼっちぼろまる:僕的には、もっと日本発信で明るい曲が流行ってほしいんです。今は少し暗い曲が多い印象がありますけど、僕自身はもともと明るい曲が好きだし、僕と同じ考えの人もたくさんいるはずで。それに、海外で流行っている音楽へ寄せていくんじゃなくて、日本ならではの音楽を、そのまま面白がってもらえる未来がきてほしい。いや、もうきているのかもしれない。自分が好きな音楽、作りたい音楽を認めてもらうために、まだまだ勉強していきたいと思っています。
小西:僕も同じかな。海外向けにローカライズするんじゃなくて、自分が育ってきた日本の音楽を、そのまま持っていけばいい。もちろん海外のいいところは吸収していく。でも、日本で育った音楽のよさは、そのまま世界へ届けられると思っています。ぼろまるくんは、アニメとの親和性が高いことも大きいですよね。
ぼっちぼろまる:ありがたいですね。
小西:そこでいいコンテンツと出会って、何か刺さるものを表現できたらいいよね。ただ、「海外に刺さるもの」を追いかけるより、自分が好きなものを出した結果、刺さったと考えるほうがいいと思う。
ぼっちぼろまる:そうしたいですし、そうあるべきだとも思っています。個人的には、今も好きなものを作らせてもらえているので。
小西:ワクワクして、楽しいことをやっていたらいいと思うんだよな。
ぼっちぼろまる:僕自身は好きなものを作っていたいけれど、それをきちんと形にして、結果にもつなげて、聞いてくれた人も僕のまわりの人もみんなをハッピーにできたらいいなとも思っています。
小西:「ヒット曲はこうやって作るんだ」と、僕もいうことはできないです。ただ、昔、筒美京平先生とお話ししたとき、「僕は曲を書くことには興味がない」と言われたことがあるんです。「えっ?」と思ったら、「ヒット曲を書くことに興味がある」と。
ぼっちぼろまる:うわー!!! めちゃくちゃかっこいい。
小西:すごいよね。せっかくこの業界で職業音楽家をやっているなら、そこを目指さなきゃいけないなって。
ぼっちぼろまる:今日も本当に勉強させていただきました! また一緒に曲を作りたいです。
小西:こちらこそ! いつでも僕が必要なときに呼んでね。また飲みにもいきましょう。

■リリース情報
Single『ロマンティックがほしいなら feat. 小坂菜緒, 正源司陽子, 藤嶌果歩 (日向坂46)』
発売中
TVアニメ『逃げ上手の若君』第二期エンディングテーマ
作詞/作曲:ぼっちぼろまる
編曲:ぼっちぼろまる、小西貴雄
販売URL:https://BotchiBoromaru.lnk.to/Ifyouwantromance_CD
配信URL:https://botchiboromaru.lnk.to/gSFZ8e
初回仕様&期間生産限定盤
2,500円(税込)/AICL-4932
・7inchレコードサイズアニメ絵柄描きおろし紙ジャケット仕様
・初回仕様限定CDサイズジャケットカード・オリジナルステッカー4種を封入
※初回仕様の在庫がなくなり次第、通常仕様に切り替わります。
<CD収録内容>
01. ロマンティックがほしいなら
02. 鎌倉STYLE (チョベリグ!Remix)
03. ロマンティックがほしいなら (Anime Edit)
04. ロマンティックがほしいなら (Instrumental)
ぼっちぼろまる オフィシャルサイト:https://www.boromaru.tokyo/
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