【徹底レポ】『京都大作戦2026』、太陽が丘に広がった壮大なロック絵巻 10-FEETと“夢”を分かち合った名シーン尽くしの2日間

 『京都大作戦』は“夢”に満ち溢れた場所だ。土砂降りの中、たくさんの笑顔が溢れた2日間を太陽が丘で過ごして、強く実感したことである。

 ここ2年ほどは驚くべき快晴が続いており、灼熱のフェスというイメージに塗り替えられんとしていた『京都大作戦』。そこから一転、今年の空模様は両日とも雨。それもなかなかの大雨であった。だが、こうなってからが『大作戦』の真骨頂。どう頑張っても濡れるしかない状況下で、「今この瞬間を全身で楽しみ切ってしまえ」という至極プリミティブな気持ちが溢れ出た結果、ロックバンドの本質を突くようなアツくて最高のライブのオンパレードとなった。7月4日・5日、今年のサブタイトルは『夏フェスキックオフ!情熱のパスを繋ぎな祭』。本稿では出演バンドを順不同に取り上げていきたいと思う。

(写真=YukihideJON...Takimoto)
(写真=YukihideJON...Takimoto)
(写真=YukihideJON...Takimoto)

土砂降りだからこそ本領発揮! 太陽が丘を知り尽くしたベテラン勢の凄み

 とりわけ、初日トリの10-FEETはすごかった。「hammer ska」「スパートシンドローマー」「ハローフィクサー」と、冒頭から“ぬかるみ対策”とでも言わんばかりの重心の低いアンサンブルを繰り出し、NAOKI(Ba/Vo)とKOUICHI(Dr/Cho)のグルーヴが躍動。いっそ雨に流してしまいたいほどの悲しみをロックンロールでかき鳴らす最新曲「壊れて消えるまで」では、ツアーでも磨き上げられているバンドのソリッドな現在地を示し、この曲を軸にセットリストが組まれているのであろうことも十分に窺えた。Dragon AshからKj(Vo/Gt)を迎え入れた「RIVER」では太陽が丘一体の大合唱を煽ると、「第ゼロ感」では雨をものともしない観客たちがいつも以上に高く跳ね上がった。それを見て「お前らめちゃくちゃアホやなあ。モッシュピットから湯気出てたで!」と嬉しそうに言い放ったのはTAKUMA(Vo/Gt)。その言葉に呼応するように「goes on」のサビではとんでもない声量の大合唱が周囲を埋め尽くす。袖に下がることなく「4REST」で“勝手に”アンコールに突入すると、最後は「かしこもアホになる曲!」と言って「back to the sunset」でぶち上げた。日頃の鬱憤が大雨で洗い流されたかのように、観客と10-FEETの熱量がかけ合わさって、全員が“アホ”になって楽しんだ最高の瞬間。ロックの前で細かい言い訳は不要。生きてきた証である身一つもって臨めば、必ず胸に響くものがある。そんな想いに立ち返らせてくれる10-FEET初日のステージであった。

TAKUMA(10-FEET/写真=YukihideJON...Takimoto)
NAOKI(10-FEET/写真=青木カズロー)
KOUICHI(10-FEET/写真=HayachiN)

 とはいえ、雨天のロックフェスといえば少なからず不安になる人もいそうなところだが、それを払拭してみせたのが『大作戦』常連のベテラン勢たちだ。

 まずは5人ともサッカーのユニフォームをまとって登場したDragon Ash。バンドのターニングポイントになり得るようなエモーショナルなステージを太陽が丘でいくつも展開してきたDragon Ashだが、この日は楽曲本来の鋭さを突き詰めたストレートなライブで攻めた。どんな状況でも「Fantasista」が至高のライブアンセムであることを示しながら、雨にキラキラと反射する照明の下で「New Era」を叩き込み美しい景色を作り出す。飾らないDragon Ashがいかに強いか――『大作戦』皆勤賞バンドとしての矜持が垣間見えるステージだった。

Dragon Ash(写真=HayachiN)

 皆勤賞の常連組といえば、dustboxも忘れてはならない。『大作戦』では恒例となっている「ヒトリセカイ」のカバーで10-FEETの3人を呼び込むところまでは予測もできたが、なんと「思い出の曲!」と言ってもう1曲、10-FEETの「Trapped」までカバーしてみせたのだ。「めっちゃ懐かしい曲やん」と言って嬉しそうに一緒に歌うTAKUMAと、終盤にコーラスに参加して笑いを取るKOUICHI。ラストの「Jupiter」では、なぜかKOUICHIがトランペットを持って登場する(吹かなかったけれど)など、10-FEETと一緒に愛と笑いに溢れるdustboxならではのライブをやってみせた。

dustbox(写真=YukihideJON...Takimoto)

 マキシマム ザ ホルモンも凄まじいライブをやってのけた。ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)のMCによると、「(去年出演できなかったため)昔に戻った気持ちで、来年の『京都大作戦』の切符を手に入れるべく、精一杯頑張ります!」とのこと。なるほど、どうりで「ミノレバ☆ロック」や「falling jimmy」といった初期曲の衝動的な演奏が妙に効いてくるわけだ。中でも鬼気迫る迫力に圧倒されたのは「KAMIGAMI-神噛-」。スラッシュメタルやデスコアに独自の歌謡性を織り交ぜたマキシマム ザ ホルモンらしいミクスチャーメタルナンバーで、生で聴くと尋常じゃないファンクネスに満ちており、この曲自体がミクスチャーでロックの型を塗り替えてきた10-FEETへの挑戦状のようにも思えた。大雨も相まって今にも“あいつ”が降臨しそうな「F」を経て、最後は「恋のスペルマ」で大合唱。どんなに泥まみれになっても、ラウドに飢えた腹ペコたちは踊りをやめないのだ。

マキシマム ザ ホルモン(写真=浜野カズシ)

 ROTTENGRAFFTYなくして『京都大作戦』を語ることはできない。「AND HUG」(10-FEET)のカバーから始まるのは意表を突かれたが、どんな形であれ、毎年10-FEETへのリスペクトを絶対に欠かさないのがROTTENGRAFFTYという男たち。MCで「京都の一番のバンド」であると豪語するが、最強のバンドだと示すことこそが、最強の盟友への礼儀だと弁えているのだろう。「綺麗なまま帰るつもりちゃうやろ!」「ダイバーの数少なすぎるやろ!」と怒涛の煽りで大雨の太陽が丘を盛り上げ、「ハレルヤ」では狂乱のパーティ空間を、「響く都」では喝采のお祭り空間を作り上げた。「10-FEET!」でコールアンドレスポンスを交えるあたりも、強面なオーラとは裏腹に盟友への愛に溢れている。京都代表として10-FEETと袂を分かつROTTENGRAFFTYの言葉、さらには言葉にせずとも通じ合うような関係性に、積み重ねてきた時間の深みを改めて感じるライブだった。

ROTTENGRAFFTY(写真=かわどう)

 Dragon Ashの結成は1996年、マキシマム ザ ホルモンは1997年、ROTTENGRAFFTYとdustboxは1999年。1997年に結成された10-FEETと時をほぼ同じくして各地で産声を上げ、日本のミクスチャーやパンク、ラウドロックの畑を耕してきた猛者たちが、今も第一線で鎬を削っているのはすごいことだ。若い世代にとっても大いに刺激になったことだろう。また、特に興味深かったのは、同時期の1996年に京都で結成されながらも、10-FEETとはまた異なる文脈で日本のオルタナティブロックを開拓してきたくるりが、タイムテーブルの中で自然と溶け合っていたこと。さらに、そういった90年代からのロックのバトンを受け取りながら、ソウルやファンクへの憧憬を3ピースのパンクサウンドへ独自に昇華させた、2000年結成のサンボマスターも大きな存在感を放っていたことだ。くるりで言えば「東京」や「ロックンロール」、サンボマスターで言えば「青春狂騒曲」や「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。リリースから20年以上経っても不動のライブナンバーであり続ける名曲が続々と響くことで、フィールドは微妙に異なれど、10-FEETがどんな音楽と並走し、“夢”を分かち合ってきたのかが見えてくる。そんな日本のロック絵巻が太陽が丘一面に広がった。

くるり(写真=HayachiN)

サンボマスター(写真=YukihideJON...Takimoto)

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