GANG PARADE THE LAST ROAD Vol.4:キャ・ノン「ギャンパレの亡霊として生きていくしかない」 意志と覚悟、“本物”のなり方

空白の2年間、WACKから受けたカルチャーショック
――アイドル活動の楽しさとは、どのようなことだと思っていました?
キャ・ノン:ステージに最初に出た時の感覚が今でもずっと残ってるんですけど……なんて言うんだろうなあ。自分が客席側からしか見てなかった景色をステージから見た時に、「こんなにキラキラしてるんだ」と思ったんです。「こんなに嬉しくなるものなんだ」というのも感じて。アイドルってその瞬間しかないから輝いてるのかなとも思うし。ステージから見える景色、お客さんからもらえる声がすごく嬉しくて、もともとアイドルに憧れがあったわけではないのに、そう思えるのもすごいことだよなと感じていました。
――前の事務所を経てWACKに所属するまでは、どれくらい空いたんでしょうか?
キャ・ノン:2年です。前の事務所にいる時に『WACK EXHiBiTiON』(2017年4月2日、神奈川・横浜赤レンガ倉庫イベント広場で開催)を観て、「こんなにかっこいいアイドルがいるんだ!」って思ったんです。振り付けを自分たちでやって、歌詞も自分たちで書いて、お客さんがあんなに踊っていることにカルチャーショックを受けました。初めて「これになりたい!」と思ったんですよ。何かになりたいと思ったことが今までなかったから、「これは絶対に信じたほうがいい」と思って。それからWACKのオーディションを受けたいと思うようになりました。
――初めての「なりたい!」を実現するために、何か行動したことはありましたか。
キャ・ノン:「自分の存在を知ってもらわなきゃ」と思って、一度だけEMPiREのオーディションに応募したことがありました。メールだけ送って、面接には行かなかったんですけど。それからかなり経ってから渡辺(淳之介)さんと面接でお会いした時に、「あ、あの時の!」ってなったから、応募してよかったなと思います。
――空白の2年間は、どのように過ごしていました?
キャ・ノン:その頃は学校にも通っていて、それまでバイトをしたこともなかったのでバイトをしたり、普通の学生として過ごしてました。
――授業が終わった後に、友達とカフェでおしゃべりしたり?
キャ・ノン:そうですね。まあ、あんまり友達はいなかったんですけど(笑)。
――WACKはそういう学生生活の人がなぜか多いですよね(笑)。
キャ・ノン:「私は絶対にWACKのアイドルになるから、部活やサークルには入らないぞ!」みたいな。ちょっとダルい考え方だなとも思うんですけど(笑)。でも、私はそういう気持ちで学校に通ってたから、あんまり人と関われなくて。
――でも、今後のことを考えてそうまでするくらい、WACKに惹かれていたんですね。
キャ・ノン:アイドル業界のなかでも、WACKは全然違う感じというか。私はそういうのを全然知らなかったんですよ。「BiSHというグループがある」と、ふわっと知ってたくらいだったので。2017年の『WACK EXHiBiTiON』に連れて行ってくれた友達は第1期のBiSが好きで、カミヤサキさんが推しだったから「観に行きたい」と言って、一緒に行くことになったんです。WACKのグループはお客さんも一緒にできる簡単な振り付けをみんなやってるじゃないですか? それも新鮮でした。ギャンパレの「FOUL」で、みんなが手を挙げて左右に振ってるのを観て、「こんなにひとつになることってできるんだ!」って。あと、曲がめちゃくちゃいい。「羨ましいなあ」と思いました。
――『WACK EXHiBiTiON』ではいろいろなグループがライブをしましたが、ギャンパレの印象が特に強かったんですか?
キャ・ノン:はい。あの時、ギャンパレがいちばんよかったです。あと、BiSのアヤ・エイトプリンスさんがすごくかわいくて。そう思ってたらトレードが発表されて。
――そうか。ギャンパレのカミヤさんとBiSのアヤさんのレンタルトレードが発表されたのは、あの時でしたね。
キャ・ノン:そうなんです。びっくりしましたし、「ギャンパレにアヤさんが入るんだったら、ライブもっと観てみたいな」と思って、そこからBiSとギャンパレ、両方のライブに行くようになりました。『Beyond the Mountain』のリリイベにも行きました。
真似はできるけど、結局本物には入らないとなれない

――2017年の『WACK EXHiBiTiON』は、「FOUL」がギャンパレの新曲だったタイミングで。つまり、カミヤさんが坊主になった直後?
キャ・ノン:そうです。初めて坊主で人前に立たれたのが『WACK EXHiBiTiON』だったので。
――前年にマイカさん、SiSだったココ(ココ・パーティン・ココ)さん、ドクソン(ユイ・ガ・ドクソン)さん、ユユ(テラシマユウカ)さんが加入して、7人だった頃ですね。ますますアクが強い、個性派揃いのギャンパレになっていました。
キャ・ノン:濃くて、すごくかっこよかったです。すごく完成されてる感じもしていましたし。新メンバーが入ってからしばらく経った状態だったので完成形っぽくも見えて、すごく尖ってる印象でしたね。だから、当時は「ギャンパレに入りたい」という気持ちはなかった気がします。「完成されてるからこのままでいてほしい」みたいな気持ちだったので。
――あの時のギャンパレは、グループとしてすごく強力になってはいましたが、決して恵まれていた時期ではなかったですよね。インディーズでしたし、こう言ってはなんですが、当時のWACKのなかでいちばん知名度が低くて。
キャ・ノン:だからこそのギラつきがすごくかっこよかったんですよね。
――衣装も特攻服っぽかったり、ヤンキー色が強かった時期です。今、ノンさんが着ている『GANG PARADE takes themselves higher!!』の衣装もそうですね。「愚連隊行進」っていう文字が入っていて。
キャ・ノン:当時の衣装、ずっとこんな感じでしたよね(笑)。
――加入前の衣装を選んだ理由は?
キャ・ノン:自分がお客さんとしてギャンパレを観てた時の好きな衣装なので選びました。加入したあと、「衣装総選挙」のために作っていただいたのが今着てる衣装です。
――ファンが推しグループのメンバーになり、本物の衣装を外林健太さんに作っていただいた、ということですね。ファンの目線に立つと、ものすごいサクセスストーリーだと思います。
キャ・ノン:本当にそうですね(笑)。「なんでWACKに入りたいの?」みたいなことをオーディションの面接で渡辺さんに言われたんですけど、最近になって「真似はできるけど、結局本物には入らないとなれない」と感じるようになりました。当時はそういうことを聞かれても、ちゃんと答えられなくて。こう答えればよかったですね。
――前の事務所をやめてから空白期間を経て受けたオーディションは、2020年にコロナ禍が始まった直後の『WACKちん』?
キャ・ノン:はい。本当はオーディション合宿に参加したかったんですけど、当時はコロナ禍だったので、合宿があるのかもわからなかったし、ここで応募しておかないと「こいつ、そこまでの気持ちなんだな」と思われちゃう気がして。なので、『WACKちん』を受けました。オーディションはオンラインで、課題をいろいろ出されたんですけど、難しかったです。誰も経験したことがないコロナ禍のオーディションだったので、自分自身も何が正解なのかわからない状態でやってましたね。
――運も左右するオーディションでしたよね。
キャ・ノン:結局、そこでは落ちてしまったんですけどね。でも、「合宿にきてください」と言ってもらえて。
――どういう感じの合宿なのかは、知っていました?
キャ・ノン:はい。結構ビビりながら参加しました。デスソースも食べましたし。
――平気でした?
キャ・ノン:平気なことは何もないです(笑)。でも、「全部やるしかない」と思ってました。
――面談で、どこのグループに入りたいと言っていました?
キャ・ノン:「BiSに入りたいです」と言ってました。当時はギャンパレが分裂していたというのもあるし、私、第2期のBiSも好きだったんですよ。「なんでBiSなの?」と言われて、うまく答えられなかったんですけど。




















