GANG PARADE THE LAST ROAD Vol.1:アイナスター「解散後は遊び人になります」 見つけた居場所、注がれた愛

GANG PARADE ラスト連載:アイナスター

 2026年、GANG PARADEは解散する。その事実を前にして、彼女たちは今何を思うのか――。「信じたくない」といまだに思っているかもしれない。もうずっと前から終わりを覚悟していたと思っているかもしれない。あるいは、ただ静かに、胸の奥に何かが積もっていくのを感じているだけかもしれない。その最後の心の機微をリアルサウンドは全力でキャッチしようと思う。最初で最後のGANG PARADEメンバーのソロインタビュー連載をここに始める。撮影のために、メンバーにはいちばんお気に入りの衣装、いちばん思い出深い衣装をそれぞれに選んでもらった。インタビューの最後には、GANG PARADEの衣装をすべて手がけてきた外林健太のコメントも掲載する。最後の道を歩く11人の声、思いをここに刻んでいこうと思う。

 第1回目はアイナスターである。2022年春にWAggから昇格し、GANG PARADEに加入。オーディションに応募したのは、ほんの衝動のようなことだったのかもしれない。でも、その衝動が彼女の人生を変えた。必死になれる何かをずっと探していた女の子が、ようやく見つけた場所こそが、自分のいるべき場所だったと気づけたのだ。彼女がGANG PARADEとして、WACKの一員として過ごした時間は意地でも根性でもなく、ただ「ここにいたい」というそれだけの、とても純朴な気持ちそのものだったのだと思う。その切実さだけが、彼女をここまで連れてきた。そしてこの切実さは、どこかGANG PARADEと重なる。GANG PARADEとはずっと、そういうグループだった。おかしな言い方になるけれど、GANG PARADEには“GANG PARADE的”なメンバーが奇跡的に集まった場所でもある。きれいごとではない世界のなかで、泥だらけで、傷だらけで、分断されても、走り続けてきた。意味がないとしても、無駄になったとしても、道さえあれば何も失わないという確信と実体験。それが、GANG PARADEの強さだった。

 「GANG PARADEが世界でいちばん最高のグループだった」と胸を張って終わりたいのだと、彼女は笑顔で話してくれた。すごくシンプルだけれど、いちばん大事なことだとあらためて思う。目一杯やりきって、余すところなく彼女自身がGANG PARADEと遊び人を愛して、GANG PARADEと遊び人に愛されること。それが今アイナスターがまっとうすべきことなのだ。アイナスターとは、愛の人である。

 始まりがあれば、必ず終わりがある。パレードとは本来、終わりに向かって進むものでもある。だからこそ美しく、だからこそ胸を打ち、だからこそ愛おしい。パレードは終わっても、行進した記憶と道は残る。その最後の道を、アイナスターはどうやって歩いていくのか。その言葉を、ここに刻む。(編集部)

WACKの子たちの映像を観て「ズルい!」って。悔しくて泣いたりしました

――北海道生まれ、神奈川県育ち。道産子ということになるんですかね?

アイナスター:北海道はお父さんの仕事の関係で3歳まで住んでいただけで、親戚とかがいるわけではないんです。横浜に引っ越してからはずっと横浜で育ったので、ホームタウンは横浜です。

――最初の記憶は何ですか?

アイナスター:北海道にいた頃の記憶はあんまりないんですけど、住んでいた家のドアがピンクだったのをやんわりと覚えていたり、家の近くの公園で仲良しの子たちとおっとっとを食べてた記憶とかはあって。でも、それが本当に最初の記憶なのかはわらかないです。引っ越す時、仲良しの子たちのお母さんたちが手作りのアルバムをくれたんです。そのアルバムを大事にしていて、何度も見ていたので、写真を「北海道に住んでいた頃の記憶」としてとらえるようになったのかもしれないです。

――どんな子どもだったんですか?

アイナスター:よく喋る子だったみたいです。仲良しグループのなかで誰かがお菓子を奪った喧嘩が起こって、お母さんたちが「どうしたの?」ってなった時に、私が早口で状況説明をしていたみたいです。イヤな子どもですよね(笑)。キャ・ノンにも「口から生まれた」ってよく言われるんですよ。

――(笑)。どんなことが好きな子どもでした?

アイナスター:母親がピアノの先生だったので、私も3歳からピアノを始めました。運動は一切できなかったです。3歳まで通ってた体操教室でも苦手な体操はサボってました。体育館に跳び箱、マット、平均台、網くぐりとかが並んでいるのを何周もするんですけど、イヤなものはこっそり飛ばす3歳児でした。やっぱ、イヤな子ですね(笑)。本はよく読んでました。

――どんな本を読んでました?

アイナスター:年中さんの時に、お父さんが童話の10冊セットみたいなのを誕生日にプレゼントしてくれて、それを繰り返し読んでました。小学校の時は、『5分後に意外な結末』(Gakken)というシリーズが好きでした。5分くらいで読み終わる短編がたくさん詰まってるシリーズで、全部のお話に意外な結末が待ってるんです。

――読書好きの賢い女の子だったんですね。

アイナスター:お父さんが学校の先生なので、それもあったのかもしれないです。小さい時、勉強頑張ってました。私、中学生の時は内申点が高くて、あの頃はすっごく頑張ってたし、ちゃんと勉強を頑張らないと怒られるような学校に入ったら、それと同じくらいにWACKに入って、大変なことになってしまいましたね。でも、WACKにいながらちゃんと学業をやらせていただいていました。

GANG PARADE・アイナスター(撮影=はぎひさこ)

――子どもの頃に好きだった音楽、アニメとかは?

アイナスター:アニメは『プリキュア』です。おばあちゃんに『プリキュア』のコスプレの服を買ってもらって、それを着て踊ったりしていました。あと、よく週末にお父さんと一緒に映画を観に行って、パンフレットを買って帰ることもよくしていました。テレビっ子だったので、音楽はもちろん、いろんなエンタメが好きでした。

――音楽はどんなのを聴いていました?

アイナスター:お父さんが車で聴くために用意してくれてたのをよく聴いてました。『2010年ベストヒット』みたいなヒット曲を集めたCDを借りてきて、それをCD-Rに焼いたのとかを聴いたり。特定の誰かというよりは、王道J-POPを一通り聴く感じ。あと、お母さんはJUN SKY WALKER(S)が好きなので、小さい頃からずっと一緒に聴いていました。ロックに触れるのも早かったんだと思います。

――音楽を聴くだけではなくて、ステージで歌いたいと思うようになったきっかけは?

アイナスター:中学生の時ですね。それまでは「アイドルになりたい」とかはなくて、漠然と「将来、学校の先生になるのかな?」と思ってたんです。アイドルという存在を意識し始めた最初は、中学生の時にドハマりしたエビ中さん(私立恵比寿中学)。私、初めて好きになったアーティストがエビ中さんなんですよ。

――そこからほかのアイドルにも興味が出た?

アイナスター:はい。そこからWACKにもたどり着いて、BiSHさんの映像を観たんです。中学生の頃くらいまでは「アイドル最高!」「汗だくになりながらこんなに全力でパフォーマンスをするかっこいい人たちがいるんだ!」っていう感じで観てたんですけど、高校生になってから変化しましたね。学校生活があんまりうまく行ってなかった時にWACKの子たちの映像を観て、抱いたのは「ズルい!」っていうような感情だったんです。「こんなにがむしゃらに頑張れることがあって、それを応援してもらえて、必死になれてることが羨ましいなあ」って。だから、ライブ映像を観て、悔しくて泣いたりしました。でも、それが自分がアイドルになることに結びついたというのでもなくて。「じゃあ私は何ができるんだろう?」「私ももっと頑張らなきゃ」と思ってたくさん本を読んだり、独学でギターの練習をしたりして。その頃に、ちょうどWACKの研修生グループのWAggのオーディションの情報がSNSで流れてきたんです。そこからはノリです。オーディションを受けるのに人生を懸けるとかではなかった気がします。

――夢中になれるものを探していたなか、たまたまオーディションを見つけたというか。

アイナスター:それまでは勉強も頑張ってきたし、小学生の時は委員会活動を頑張ってたし。中学校も3年間学級委員をやって、3年間吹奏楽部に入ってましたし、頑張ってることがある自分が好きだったんですよ。けど、高校生になったら委員会の活動とかあんまりなくて、部活も陸上部の女子長距離のマネージャーになったので、「あれ?」みたいな。なんか、それがすごく悔しかったんですよね。そこからいろいろ探して、たどり着いたのがアイドルで。WAggのオーディションを受けることにした時、自分の部屋でカメラをセットして、タイマーで全身写真を撮りました。パジャマで(笑)。親に内緒で送ったんですけど、「次は事務所にきてください」という連絡がきたので、「事務所に行くんだったらママに言わなきゃヤバいな」と思って。

――お母さまの反応は?

アイナスター:その頃、ママと一緒に趣味でランニングをしていたんですけど、走りながら「実は書類審査で受かったから2次面接に行きたいんだよね」と言ったら、「一回行ってみれば?」と。お父さんには受かってから言いました。親には反対されず、今もすごく支えてくれてます。

GANG PARADE・アイナスター(撮影=はぎひさこ)

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