坂道グループで広がるセンターの選択肢 一ノ瀬美空、谷口愛季、大野愛実らが映す世代交代と楽曲表現の広がり

 櫻坂46の16thシングル『愛MUST BE』で、3期生の谷口愛季が初めて表題曲のセンターを務めることが発表された。これまで森田ひかる、山﨑天、藤吉夏鈴、山下瞳月らが表題曲の中心に立ってきた櫻坂46に、またひとり新たなセンターが加わった形だ。

 近年の坂道グループを見ていると、センターというポジションのあり方が少しずつ変化しているように感じる。これまでは、グループを象徴するメンバーが複数作にわたってセンターを務め、その存在がグループのイメージを形作るケースも多かった。しかし、直近の傾向を見ると、表題曲のセンターを務める新たなメンバーが相次いでいるのだ。

櫻坂46 『愛MUST BE』 MUSIC VIDEO

新しいセンターが広げるグループへの入口

 乃木坂46では、40thシングル表題曲「ビリヤニ」で6期生の瀬戸口心月と矢田萌華がWセンター、41stシングル表題曲「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」で池田瑛紗、42ndシングル表題曲「是非に及ばず」で一ノ瀬美空がそれぞれ単独でセンターを担当。ともに初センターであり、29thシングル表題曲「Actually...」のセンターを務めた中西アルノ、33rdシングル『おひとりさま天国』以降複数回にわたってセンターを務めてきた井上和に続いて、5期生から新たなセンター経験者が続けて生まれている。

乃木坂46『是非に及ばず』MUSIC VIDEO

 日向坂46でも、16thシングル表題曲「クリフハンガー」では5期生の大野愛実、17thシングル表題曲「Kind of love」では4期生の藤嶌果歩、そして18thシングル「イチャイチャ虫」では同じく4期生の正源司陽子がセンターを担当。3作連続で異なるメンバーが単独でセンターを務めた。

日向坂46『クリフハンガー』MUSIC VIDEO

 もちろん、ある特定のメンバーに固定せず、複数のメンバーがセンターを務めること自体は、坂道グループにとって珍しいことではない。ただ近年は、複数の“エースメンバー”を軸に据え、そこに続く形で新たなメンバーがセンターを経験するケースが増えている。ひとりにグループのイメージを集約するのではなく、複数のメンバーが表題曲の中心に立つことで、並行して育てていくような動きが、これまで以上にはっきりと見えてきたと言えるだろう。

 センター経験者が増えている事象に表れていることのひとつが、グループを知る入口をひとつに絞らないという選択だ。乃木坂46の5期生で言えば、中西、井上、池田、一ノ瀬は同じ期でありながら、そのキャラクターも強みも大きく異なる。井上をきっかけに乃木坂46へ興味を持つ人もいれば、中西の飛び抜けた歌唱力、池田のアートや知性、一ノ瀬の親しみやすいキャラクター……さまざまな面からグループを知る人がいるだろう。センターが変われば、そのシングルで最初に目に入るメンバーも変わる。ひとりのエースを大きく打ち出す方法とは違い、複数のメンバーを入口にすることで、グループに触れるきっかけを増やすことができる。

乃木坂46『最後に階段を駆け上がったのはいつだ?』MUSIC VIDEO

 そして、センターによって楽曲の見え方を変えられることも大きい。最も顕著なのは櫻坂46だろう。森田の力強い眼差し、山﨑のダイナミックな身体表現、藤吉の独特な空気感、山下の繊細さと鋭さ――。同じ櫻坂46の楽曲でも、誰が中央に立つかによってパフォーマンスの印象は変わってくる。楽曲の世界観をセンターに合わせるというよりも、その楽曲を最も印象的に見せられるメンバーを中央に置くことで、櫻坂46が持つ表現の振れ幅にもつながっている。

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