ずっと真夜中でいいのに。が見せた“かつてない生々しさ” 殻を破ったACAねの覚醒 『ZOMBIE CRAB LABO』レポート

ずとまよ『ZOMBIE CRAB LABO』レポート

 2026年2月28日に日本武道館でスタートして、6月18日にGLION ARENA KOBEで大成功のうちに幕を下ろした、ずっと真夜中でいいのに。の『ZUTOMAYO INTENSEⅡ 坐・ZOMBIE CRAB LABO』。タイトルが『ZUTOMAYO INTENSEⅡ』と『坐・ZOMBIE CRAB LABO』の二段構えになっているのは、これがずとまよにとって2024年に台北、上海、香港、ソウルで開催した『ZUTOMAYO INTENSE』に続いて二度目のアジアツアーでもあり、国外での人気の高まりによってそれがそのままこれまで国内で行ってきたアリーナ規模のツアーと合体したことを示している。具体的には、東京(2回)、福岡(2回)、横浜(4回)、大阪(2回)、神戸(2回)での公演に、ソウル(2回)、シンガポール、バンコク、台北(2回)、香港での公演が組み込まれたかたち。筆者はそのうち2回の公演を目撃する機会があったが、以下、主に6月3日のKアリーナ横浜公演の印象を中心に綴っていく。

ずっと真夜中でいいのに。ライブ

 最初に驚かされたのは、ステージ全体の進化と洗練だ。これまでのずとまよの大きな会場での単独公演は、採算度外視としか思えないステージセットの物量の「圧」と、大所帯編成のバンドによる音響の「圧」による、マキシマリズム的な方向で拡大し続けていた。一方、LEDスクリーンを多用した今回のステージでは空間的にも音響的にも「抜け」が意識されていて、それは古今東西のカルチャーに文脈を張り巡らせていたツアーごとのコンセプトにおいても同様。タイトルにあるように未来(?)のゾンビ社会が今回のツアーの設定だが、これまでのヤンキーやコンビニやゲームセンターや喫茶店や万博といった日本ローカルのモチーフ(しかもそこに相当ひねりを加えていた)から、グローバルな共通言語でもあるゾンビを糸口に、映画やゲームやコミックなどのポップカルチャーとも接続可能なダークファンタジー的世界が展開されていた。

ずっと真夜中でいいのに。ライブ

 そして、そこに召喚されるACAねの使命は「考えることを諦めない。来ない夜明けも肯定する。神話カルキノスの化身であり、伝説のロリータ船長」として世界のズレを修正して再構築すること。つまり、ACAねは救世主としての役割を背負ってステージ上に出現するのだが、そのコンセプトはステージの進行とともに後景化していって、よりリアルな人間ACAねとして立ち上がっていく。きっと、実際に目の前のステージで起きていくことがそのまま、「我々が生きているこの世界」のズレを修正して再構築するものとしての、ずとまよの表現と完全に一体化しているからだろう。

ずっと真夜中でいいのに。ライブ

 それまでに築き上げてきたずとまよの表現スタイルを、楽曲フォーマット的にも、その歌唱やリリックでACAねが表出する感情面においても、より自由に発展させていた最新アルバム『形藻土』は、フルアルバムの単位でいうなら、ずとまよにとってデビュー以来最大の変化作だったと言えるだろう。そして、今回のツアー『JAPAN & ASIA TOUR ZUTOMAYO INTENSEⅡ 坐・ZOMBIE CRAB LABO』はーーまさに『形藻土』のリリースを挟んで開催されてきたわけだがーー現在のずとまよに変化の季節が訪れていることを、実体をもってより鮮烈に証明するものだった。一言で言うなら、こんな生々しいずとまよは初めてだった。

ずっと真夜中でいいのに。ライブ

 “ゾンビ”と並んで今回のツアーの二大モチーフとなっている“蟹”(=CRAB)は、最初のMCの後に演奏された「蟹しゃぶふぁんく」(『形藻土』収録)でも歌われているように、ACAねが自分を守ってきた硬い殻のメタファーでもあった。しかし、ステージ上をいつになくダイレクトに照らすライティング、完全武装スタイルからフェミニンなイメージも纏うようになった衣装のシルエットやディテール、そしてバンドだけじゃなく熱狂するオーディエンス全体を率いるリーダー然とした余裕さえ感じさせる立ち振る舞いを通して、ACAねの「殻」はいつしか破れていた。最初からそれをツアーの目標にしていたのかはわからないが、その過程を雷の一撃のように鮮烈に描き切ることができたことこそが、今回の『ZUTOMAYO INTENSEⅡ 坐・ZOMBIE CRAB LABO』最大の成果だったのではないか。

 「甲羅ありきの成功体験はもう十分、自分の中に記録されてるから。壊していってもいいと思う」。終盤のMCでACAねが語ったその言葉の真意を、やがて我々は知ることになるのかもしれない。

ずっと真夜中でいいのに。ライブ

◾️公演概要
ずっと真夜中でいいのに。
『LEGACY ZOMBIE LABO「文禍伝雷」奈良・平城京』
2026年10月10日(土)・11 日(日)
開場 15:30/開演 17:30
会場:平城宮跡歴史公園 中央区朝堂院 特設野外会場

<チケット>
・Standard Area ¥12,000(税込/ブロック指定スタンディング/整理番号付)オリジナルラバーバンド付き
・Premium Area Upgrade +¥3,000(税込/ブロック指定スタンディング/整理番号付)オリジナルラバーバンド付き
・後方 Free Area ¥6,500(税込)*一般発売日より先着販売(発売時期後日発表)
・後方 Free Area(奈良県民割)¥5,500(税込)*一般発売日より先着販売(発売時期後日発表)
※雨天決行/荒天中止
※未就学児入場不可

ずっと真夜中でいいのに。公式サイト

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