レディー・ガガ&ドーチー「RUNWAY」バイラルヒット 『プラダを着た悪魔2』との共鳴と拡張
Viral Chart Focus
Spotifyの「DailyViralSongs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「SpotifyTopSongs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの5月6日付のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:モナキ「ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど」
2位:レディー・ガガ&ドーチー「RUNWAY」
3位:EL NAOYA「生き様」
4位:CORTIS「REDRED」
5位:INI「All 4 U」
6位:EL NAOYA「人生」
7位:Number_i「3XL」
8位:Rubikdice, Chilx, WAA「MONTAGEM PEGADORA (Slowed)」
9位:NOAHRI「This is who I am」
10位:サカナクション「夜の踊り子」
今週のSpotify「Daily Viral Songs(Japan)」は、引き続きトップを独走するモナキの「ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど」と、そこへ猛烈な勢いで肉薄するレディー・ガガとドーチーによる「RUNWAY」、極めて対照的な2曲が際立つ結果となった。前週3位のINI「All 4 U」や上位をキープしていたEL NAOYAらが順位を落とすなか、10位にサカナクションの「夜の踊り子」が再浮上するなど、SNSでのミーム化をきっかけにチャートに変化が見られる週となっていた。
今週のチャートで最も特筆すべきは、やはり2位に急浮上したレディー・ガガとドーチーの「RUNWAY」だろう。この楽曲がここまで急速に日本のリスナーをとらえた最大の要因は、言うまでもなく2026年5月1日に世界同時公開された映画『プラダを着た悪魔2』のエンドソングに同楽曲が起用されたことにある。
前作から約20年の時を経て制作されたこの続編は、現代におけるファッション業界を舞台に、メリル・ストリープ演じるミランダ・プリーストリーとアン・ハサウェイ演じるアンドレア・サックス(アンディ)の新たな相克を描き出し、公開直後から爆発的な話題になっている。熱狂を加速させている作品の最後、エンドロールで鳴り響く「RUNWAY」なのだ。
プロデューサー陣にはブルーノ・マーズをはじめ、アンドリュー・ワット、サーカット、そしてD・マイルといった、現在のポップス界の屋台骨を支える重鎮たちが名を連ねている。サウンドの核となるのは、90年代のヴォーグミュージックを現代のハイパーポップとして解釈した、攻撃的なハウスビートだ。地を這うような低音と、硬質でビビッドなシンセサイザーの質感は、まさに劇中でミランダが闊歩する編集部や、華やかなランウェイの緊張感と高揚感をそのまま音像化したかのようである。さらに注目すべきは、共同名義に迎えられたドーチーの圧倒的な存在感だ。TOP DAWG ENTERTAINMENTに所属し、「Persuasive」や「What It Is (Block Boy)」でシーンの最前線に躍り出た彼女は、今や次世代のクイーンとしての地位を揺るぎないものにしている。
「RUNWAY」において、ガガは重厚なオーラを纏ったボーカルを聴かせ、楽曲の“格”を担保する。一方で、楽曲の心臓部を担うのはドーチーのタイトでキレのあるラップだ。彼女のフロウは、まるで鋭利なヒールで硬い床を刻むようなリズムを刻み出し、リリックに圧倒的な説得力を与えている。この“プロのカリスマ”と“新進気鋭の技巧派”の対比は、映画におけるミランダと次世代のファッショニスタたちの関係性とも重なり合い、リスナーに二重の興奮をもたらしている。前作映画『プラダを着た悪魔』は、日本の働く女性たちにとってバイブルであり続けてきた。今回の続編の公開は、単なる懐古趣味を超えた「現代におけるプロフェッショナリズムとは何か?」という問い直しとして機能している。そんな作品テーマに、この「RUNWAY」の重厚なビートが完璧にマッチしているのだ。
映画という強力なプラットフォームを起点に、最高峰のプロダクションと次世代のスターが融合したこの楽曲は、流行歌以上の強度を持っている。劇場を後にした観客が、その余韻を抱えたままこの曲を再生し、日常の街角を自分だけのランウェイへと変えていく。「RUNWAY」のヒットは、日常を拡張するという音楽が持つ力を証明しているのである。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2026-05-06

























