櫻坂46、“再生”からの5年間を肯定するステージ 初のMUFGスタジアム(国立競技場)に刻んだ熱狂と決意表明

櫻坂46、初“国立”で開催した5周年ライブ

 櫻坂46にとって5周年という大きな節目であると同時に、ひとつの集大成/到達点であり、またここから先の未来を占う上でも重要な通過点となるMUFGスタジアム(国立競技場)での単独ライブ『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』。坂道グループにとって初の同会場でのライブであることはもちろん、2019年12月に新装オープンしてから初めての同会場での女性アイドルグループ公演(その後、TWICEや=LOVEも公演を開催)とあって、4月11日、12日に開催された櫻坂46の公演はさまざまな側面から注目に値するライブとなっていた。

 メンバーが常々、櫻坂46の強みはライブにあると語ってきた結果、2024年&2025年と2年連続で東京ドーム公演を実現させ、昨年は東京ドーム3DAYSに加えグループ初の京セラドーム大阪2DAYS公演も成功させたばかり。ライブを通じて人気を確かなものとし、その結果として今回のMUFGスタジアム2DAYS公演が実現したと言っても過言ではない。そんな彼女たちが活動5周年の節目に、日本を代表する大規模会場でどんなステージを展開するのか。期待を胸に会場へと足を運んだ。なお、本稿では12日公演について記していく。

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

 筆者は改築前の国立競技場には何度も足を運んだことがあったが、現在の形になってから櫻坂46でのライブが初めて。まず会場に入り、その広さ・大きさに改めて圧倒された。味の素スタジアムや日産スタジアムもその大きさに毎回驚くが、国立競技場という名称もあってか、ほかのスタジアムとはまた違った緊張感が湧いてくるから不思議だ。

 ライブは線路の枕木に刻まれた「2020.10.14」(グループ結成日)を起点に、藤吉夏鈴がトンネルの中を走り出す映像から始まる。まるでここまでの5年間を駆け足で振り返るような映像は、櫻坂46が初めて東京ドーム公演を行った「2022.11.08」を超えていき、次第に今のメンバーたちが集まり始める。そして、ステージ上に桜色の新衣装をまとった藤吉が登場し、続いてほかのメンバーも合流。荘厳なSEが流れる中、二期生から四期生までの総勢32人が横一列に並び、広大な客席に目線を送る。心なしか瞳が潤んでいるように見えるメンバー、喜びを噛み締めながらじっくりとBuddies(櫻坂46ファン)を見つめるメンバー、ここから始まるライブに闘志を燃やすメンバー……さまざまな思いを抱える32人に対して、客席からは温かな拍手が送られた。

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

 記念すべきMUFGスタジアム公演の1曲目に選ばれたのは、現時点での最新シングル「The growing up train」。マイクスタンドを用いた演出も用意されたこの曲は、MV同様にペンライトの“海”が広がる景色をイメージしていたが、17時スタートということもあってまだ日が落ちておらず、残念ながら完全再現とまではいかなかった。しかし、パワフルで華麗なパフォーマンスが目の前で展開され、気づけば彼女たちの一挙手一投足に夢中になってしまっていた。

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

 普段ならライブ終盤の畳み掛けに用意される森田ひかるセンターの「承認欲求」が2曲目に配置されたり、初日は4つ打ち仕様にアレンジされた「Make or Break」、2日目は「承認欲求」同様クライマックスに披露されることの多い「自業自得」が早くも3曲目にパフォーマンスされたりと、出し惜しみ感がまったくないのも頼もしい。特に「Make or Break」と「自業自得」はそれぞれ的野美青、山下瞳月と三期生がセンターに立つ楽曲だけに、「櫻坂46は藤吉や森田だけじゃない。すでに三期生もグループの“顔”なんだ」と7万人のオーディエンスに叩きつけるようにも感じられた。

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

 3曲終えたところでこの日最初のMCが挿入されたが、実はこのあと再びMCが登場するのはアンコールに入ってから。これも今やお馴染みといえるノンストップライブが、MUFGスタジアムという巨大な会場でも実践されることになる。もちろん、キャプテンの松田里奈が客席に向けて「(広い会場でステージまでの距離が)遠いかもしれないけど、心の距離はゼロ距離だと思っています!」と告げていた時点では、客席のBuddiesもインターネット生配信を観ていたBuddiesも想像できていなかったことだろう。

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

 その後、全メンバーがメインステージやアリーナ中央や後方のサブステージ、外周を囲む花道などに散って「コンビナート」からライブを再開させるのだが、メンバーの移動時間なども考慮して曲間にはダンストラックや次曲のセンターメンバーによるソロダンスなども多数用意。個人的に印象的だったのは、大園玲が「私たちにとってBuddeisと三期生と四期生はずっと大切で守りたい存在でした。でも、私たちは“永遠”とか“一生”とは、簡単には言ってはいけない立場だと思う……」と涙ながらに語る場面がフィーチャーされた「青空が見えるまで」を経て、守屋麗奈が華麗なソロダンスを披露してから「桜月」へと繋げる場面。大園の感情がストレートに露わになったことで、守屋も感化されたのだろう。その瞳は潤んでいるように見え、「桜月」での歌やパフォーマンスは初日以上に情熱的に映った。こうした流れも、もしかしたらMUFGスタジアムという特別な環境だからこそ生まれたものなのかもしれない。

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

 もうひとつ、四期生が披露した「マモリビト」も櫻坂46の未来を占う上で、とても重要なパフォーマンスだったと断言したい。本来は三期生のために用意されたこの曲だが、〈この聖地でみんなで誓おう そう 今度は私たちの番だ/若く 強い後人が次にやって来る日まで/誰一人ここを動かない〉という歌詞が示すように、今度は三期生の後輩である四期生がこの曲を引き継いで歌う。しかも、この曲のイントロダクションとして三期生の小島凪紗のピアノ独奏が用意され、「マモリビト」のメロディを奏でてから四期生のパフォーマンスへと繋げる。当然、パフォーマンスする側の四期生は感情を爆発させながら、この曲を全身全霊でパフォーマンスする。曲中、センターの勝又春は「先輩方にとっても、そしてBuddiesの皆さんにとっても大切なこの楽曲に、私たちの思いも込めさせてください。この桜をもっと太く、長くしたい。それまで私たちは声を届けます」と宣言したが、一期生や二期生が蒔いた種はしっかりと根を張り、大きく立派な桜の木へと成長したのだと実感できた瞬間でもあった。

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

 四期生へバトンを繋いだ三期生も負けていない。会場中の照明や観客のペンライトが一斉に消灯され、7万人が集まったMUFGスタジアムが静寂に包まれる中で披露された「静寂の暴力」では、パフォーマンスのたびに説得力が増し続けていることが確認できたと同時に、センターの山下を中心に一人ひとりの表現の豊かさ、それによる没入感の強さなど、さまざまな面で唯一無二の実力を手にしたのだと気づかされる。四期生がすでにグループにおける大きな戦力であると同時に、三期生はもはやグループを牽引する側の存在にまで成長したのだと、この2日間で確信できたことは大きな収穫だ。

櫻坂46『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』ⒸSeed & Flower LLC

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