大森元貴、M!LK、Number_i、[Alexandros]、ORANGE RANGE、千葉雄喜 & BABYWOODROSE……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は大森元貴「催し」、M!LK「アイドルパワー」、Number_i「Supa Bro」、[Alexandros]「Hallelujah」、ORANGE RANGE「ドラマティック平凡」、千葉雄喜 & BABYWOODROSE「曲 (Kyoku)」の6作品をピックアップした。(編集部)

大森元貴「催し」

MOYOOSHI

 今年1月に1stミニアルバム『OITOMA』を発表。収録曲「0.2mm」が映画『90メートル』主題歌に起用されるなど、充実したソロ活動を続けている大森元貴の新曲「催し」は、彼自身の創作の根源を照らし出すとともに、現代に生きる全ての人に「これは自分の歌だ」と思わせるであろう、強い共感性を備えた楽曲だ。軸になっているのは鋭利に尖ったギターリフ。エレクトロファンク的な要素も加わった、ミクスチャーロックの進化系と称すべきサウンドが実現している。切迫感と解放感が交互に訪れるメロディとともに伝わるのは、〈もうわかんないよ〉という感情。日々起こるニュースの真相はわからないまま、社会はどんどん混沌へと進んでいく。それでも我々は、〈世界を包んでいる/愛の形を〉を見つけるべきではないか? この曲はそう訴えている。(森)

M!LK「アイドルパワー」

アイドルパワー

 前シングル『爆裂愛してる / 好きすぎて滅!』がバズりにバズったM!LK。今作は夏にかけて展開されるリリース企画「モー烈モー進!リリースプロジェクト2026」第1弾となる配信楽曲。アイドルを応援するすべての人へのリスペクトと、「あなたもまた誰かのアイドルである」というメッセージを込めた一曲で、サビに来る〈日本を元気にするよアイドル〉のフレーズは、1999年にヒットしたモーニング娘。「LOVEマシーン」の令和バージョンといった趣か。大きな違いはBPM170台の高速ナンバーであることで、瞬間最大風速のなか、有無を言わせずドーパミンを発生させるテンション命の楽曲でもある。これだけで続くか? 次はどうなる? そのハラハラもまた楽しい。(石井)

Number_i「Supa Bro」

Supa Bro

 3rdシングル『3XL』に収録された「Supa Bro」は神宮寺勇太のプロデュース楽曲。00年代はじめに一大ムーブメントを巻き起こしたJ・ディラ系の揺らぎを感じさせるビートがまず印象的。ゆったりとレイドバックしたトラックのなかで、透明感のあるファルセットから、低音を響かせるラップパートまで、神宮寺、平野紫耀、岸優太の特徴的な声を堪能できることこそが、この曲のストロングポイントだろう。官能的な匂いを振り撒くリリックのテーマはおそらく、フィジカルな接触、経験の尊さ。〈AIに聞いたってわからない感覚〉が示唆するように、直接触れる、感じることでしか得られないものこそが本質なのだというメッセージがたっぷりと込められているように思う。(森)

[Alexandros]「Hallelujah」

[Alexandros] - Hallelujah (アニメMV) 『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』OPテーマ

 TVアニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』(TOKYO MX系)オープニングテーマとなる新曲。昭和生まれのメンバーにとって『北斗の拳』主題歌といえば「ユアッシャー」(〈YouはShock〉/クリスタルキング「愛をとりもどせ!!」)の叫びだったはずで、その「愛を取り戻せ!!」は今回エンディングテーマとなりToshIが歌っている。かかるプレッシャーは相当なものだったと思うが、今の時代の、ただ[Alexandros]らしい、艶っぽさを重視したロックナンバーを書き下ろすことで世界観を刷新。〈壊れた世界に遭難したみたいだ〉という歌詞には現在のリアルも入り込んでくる。現実とヒロイズムを巧みに重ねつつ、決めゼリフ〈明日生きられるなら/今日死んだって悔いはない〉が川上洋平らしいロマンを生む。(石井)

ORANGE RANGE「ドラマティック平凡」

ORANGE RANGE – ドラマティック平凡 (Music Video)

 仮面ライダー生誕55周年記念作品として作られた映画『アギト-超能力戦争-』主題歌。かつてライダーに憧れ、何にでもなれたはずの少年時代と、すっかりいい大人になって平凡に生きている今。本来ならグッと拳を握る中年応援歌になりそうなものだが、悔しさや諦念を滲ませず、キラキラしたポップソングを作れてしまうのがORANGE RANGEの奇跡的なポジションだろう。編成こそロックバンドだが、サウンドのアレンジとボーカルの処理はどこまでもテクノ/ダンスミュージック寄り。〈天秤 ぶち壊せ〉などのメッセージが、本来の言葉ほど強く響いてこないのも面白い。感情任せに突っ走らない、音響至上主義とも言えるバンドの姿が浮き彫りに。(石井)

千葉雄喜 & BABYWOODROSE「曲 (Kyoku)」

千葉雄喜 (Yuki Chiba) & BABYWOODROSE - 曲 (Kyoku) Official Music Video

 4月25日に突如としてリリースされた“千葉雄喜 & BABYWOODROSE”名義のアルバム『Documentary』に収録された「曲 (Kyoku)」は、J. コール、ジュース・ワールドなどの楽曲にも参加しているChaseTheMoneyのプロデュース楽曲。アメリカ・LAで撮影されたと思われるMVを観てもらえればわかるが、気持ちよく力が抜けたフロウはどこまでがアドリブなのかわからず、ときどきまともに芯を食ったリリックが飛び込んでくる感じが心地よすぎて何度もリピートしてしまう。一瞬だけKOHHに戻った雰囲気をまとう今の千葉のスキルの高さはもちろんだが、本格的な活動を始めたばかりのBABYWOODROSEがすんなり馴染んでいるのがすごい。ラップの技術と「そうきたか!」を更新し続けるセンスにおいて、やはり千葉は完全に飛び抜けている。(森)

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