礼真琴&柚希礼音、愛の先輩後輩対談! 今向き合う“本当の自分”と『BOOP! The Musical』

元宝塚歌劇団星組トップスターの礼真琴が、ブロードウェイミュージカル『BOOP! The Musical ブープ!ザ ミュージカル』で新たな一歩を踏み出す。宝塚退団後、初めての舞台となる本作。世界中で愛されてきたキャラクターが紡ぐ、新たな物語だ。白黒世界のスターとして生きるのか、それともカラフルな現代社会で新しい人生を歩みだすのか――。スターでありながら“平凡な幸せ”を求めるベティーの姿は、舞台に生きてきた礼自身の想いとも重なる部分もある。
そんな礼にとって大きな転機となる本作には、彼女が敬愛する先輩・柚希礼音も立つことから、ファンのあいだでは喜びの声が上がっている。柚希に憧れて飛び込んだ宝塚の世界。そして、今再び新たな世界へと歩み出そうという礼を柚希が支える。
男役から一転、“ベティーちゃん”ことベティー ブープ™に挑む礼の揺れ動く思いと、そのすべてを受け止めるように見守る柚希のまなざし。歌稽古直前のふたりにそれぞれの本音を語ってもらった。(佐藤結衣)
ちえさんとご一緒できるのが、うれしくて仕方ない(礼)
――あらためて、おふたりの縁の始まりについて教えてください。
礼真琴(以下、礼):ちえさん(柚希)は、私をこの世界に導いてくださったすべてのきっかけです。中学生の時、国語の先生から「宝塚に向いている」と言われて、バレエを習い始めたんですが全然うまくならなくて。「舞台を一度観なさい」と連れて行かれたのが、ちえさんの出演されている作品だったんです。それが2005年のことで。その日から「この人と一緒の舞台に立つ!」と心に決めて、バレエの練習をものすごく頑張りました。バレエの先生もちえさんの写真を壁に貼って、「ここだけをずっと見て!」「ここに向かっていくのよ!」って(笑)。
柚希礼音(以下、柚希):当時、彼女のその熱い気持ちを綴ったお手紙もいただいていて。まだトップスターでもなかった私を見つけてくれて、そんなふうに思ってくれる子がいるなんて、本当にありがたいなと思っていたんです。そのあと音楽学校に受かったという知らせを聞いて。合格したのもすごいんですが、2009年に私がトップスター就任のお披露目公演のタイミングで星組にも配属されて。確率的にも本人の努力も本当にすごいな、と!
礼:もう奇跡なんです、これは! 自分で言うのもおこがましいですけど、本当にすごいことなんです(笑)!
柚希:それからもめきめき才能を開花させて、新人公演で私がやっていた役を演じましたしね。「手紙くれた子、めちゃくちゃすごい子だった!」って、驚きの連続でした。
礼:そのあとも、ずっとちえさんのお手伝いをさせていただいて。同じ学年の仲間に比べたら、現役時代からすごく近い距離でいさせてもらえたと思っています。
柚希:化粧前を拭いてくれたり、パフやクシを洗ってくれたり。もうそういうことしなくてもいい学年になっても、ずっと続けてくれて。
礼:それが生きる喜びだったんです(笑)。
柚希:本当に愛情をいっぱいいただきました。だから、もう教えることがないくらい上手だったんですけど、男役として何か伝えられるものがないかと頭を抱えながら教えていましたね。
――今でも心に残っている教えはありますか?
礼:ものすごく印象的だったのは、美しいリーゼントへのこだわりです。私の毛量が多すぎて、ちえさんからご自前のすきバサミを渡されて「今からすいてきたほうがいいで」って言われて。「はい!」ってそのまま洗面所に向かって、自分ですいたことがありました(笑)。
柚希:私自身もショーのあいだの休憩時間に、自分ですいていましたからね(笑)。ちょっと毛が伸びて量が多くなってしまうと全然違うんです、リーゼントの決まり具合が! 当時は1週間に一回くらい美容院に行っていたんですけど、それでも間に合わないくらい。「とにかくすきなさい、自分で!」って(笑)。
礼:あの時は「自分ですいていいんだ!」って目からウロコでしたね。もちろん舞台上で男役としての大切なかっこいい所作とか、そういうこともみっちり教えていただきました。そのうえで、髪型ひとつとっても気にかけていただいたという話で……毛量だけ教えてもらったみたいになっちゃってませんか? 大丈夫ですか(笑)?
柚希:あははは!
――大丈夫です(笑)。今日のインタビュー前の撮影でも、笑顔が抑えきれない場面がありましたね。
礼:「クールな感じで」ってカメラマンさんに言われても、ニヤニヤが止まりませんでした。
柚希:かっこつけてもらわないといけないのにね。
礼:それくらいちえさんとご一緒できるのが、うれしくて仕方ないんです。
アメリカの舞台を観た時に「仁王立ちしていても全部女性なんだ!」って痛感した(柚希)

――今回、礼さんが演じられるベティー ブープ™は“平凡な一日”を求めて、1930年代の白黒のトゥーンタウンから現代のニューヨークへタイムワープします。礼さんご自身も共感するところはありますか?
礼:「本当の自分ってなんだろう?」と思うことは、ずっと男役を演じていた時には思うこともありました。そういう意味では共感できるところはありますね。
――柚希さんが演じられるのは、宇宙物理学者のヴァレンティーナ。ベティーの祖父のような存在であるグランピーとの40年ぶりの恋模様が描かれます。
柚希:ヴァレンティーナさんはNASAで働く女性で、ベティーちゃんの白黒アニメーションの世界と現実世界、その両方に関わる存在です。異なる世界に生きるグランピーさんとは40年前に出会っていながら関係を深められずに別れていました。そんなふたりが再び巡り合うんですね。その中で、「今を逃したらもう次はないかもしれない」という想いが描かれていて、年齢を重ねたからこその切実さが込められています。ベティーちゃんの幸せの選択に寄り添い、背中を押す役割でもあるので、短いシーンのなかでもその心情をしっかり表現していきたいと思っています。
――礼さんにとって退団後初のミュージカル作品となります。ベティーちゃんはコケティッシュなキャラクターですが、心境はいかがですか?
礼:これまで演じてきた男役とはかけ離れている役柄なので、ハードルの高さを感じています。ですが、ブロードウェイ版の資料を拝見した時、役としての個性がしっかり立っていて、特にどこまでも伸びるようなパワフルで深みのある歌声が印象的でした。演出のジェリー・ミッチェルさんとも相談しながら、日本版としてどう作り上げていくかを模索していけたらと思っています。
――ジェリーさんとは、どんなお話をされましたか?
礼:初めてお会いした時に「背が高いんだね」と言われて驚きました。宝塚にいる時は、そんなことを全然思ったことがなかったので。外の世界に出て初めて「私は背が高いほうなんだ」と気づいて(笑)。ただ今回、ベティーちゃんの衣装を着た時に、どうしても肩とか腕とか出るので「このマッスルは大丈夫ですか?」と自慢の筋肉をお見せしたんです。そしたら「大丈夫だよ。それも素敵だよ」って言ってくださったので、安心しました。女性らしいラインを目指しつつも、自分らしさもちゃんと活かしていけたらいいなと思っています。
柚希:そうそう、それがいいんだから! 私も宝塚を卒業したばかりの頃は、細くて華奢なボディラインが女性らしさだって思っていたところがあったんですけど、アメリカの舞台を観た時に「仁王立ちしていても全部女性なんだ!」「かっこいい!」って痛感した覚えがあります。なので、本当に“らしさ”を活かして、のびのびやってほしいです。
礼:本当に何もかもが初めてで。男性の方と舞台に立つというのも経験がないので、全体で合わせた時のコーラスの圧もどうなるんだろうって楽しみにしています。ただでさえ緊張しいで、人見知りなんですけど、ちえさんが近くにいてくださるので、その懐の広さに甘えてのびのびとできるように頑張りたいです。



















