鈴木真海子、穏やかな時間の中で踏み出した活動再開の第一歩 STUTSとの2マンライブをレポート

鈴木真海子とSTUTSによる2マンライブが4月9日、渋谷WWW Xにて開催された。本公演は、鈴木にとって昨年5月の活動休止発表以来、約1年ぶりのステージであり、同時にライブ活動再開の第一歩となる特別な一夜でもあった。
先陣を切ったSTUTSは、卓上のMPCを中心に据えたセットで登場。キーボードに高橋佑成、サックス/フルートに武嶋聡を迎えた3人編成で、メロウかつグルーヴィなビートを紡ぎ出す。都市の夜に溶け込むような洗練された音像を奏で、中盤の「夜を使いはたして」で会場の温度が一段と上昇。ラストの「Seasons Pass」では3人だけの生の音で演奏し、その余韻がそのまま鈴木真海子へとバトンを渡すかのように機能していた。




ファンの期待が満ちる中、鈴木真海子がステージに現れる。「お久しぶりです。ただいま」という一言に、観客から「おかえり」という声が返ってきた。そのやり取りだけで、この日の意味は十分に伝わっていた。彼女を支えるバンドには、ドラムにRyo Takahashi、ベースに井上真也、キーボードに沼澤成毅とESME MORI、ギターにTiMTという実力派が揃う。
「Blue」で幕を開けたライブは、終始リラックスした空気に包まれていた。「judenchu」から「5月のうみ」「Lazy river」へと続く流れは、まるで穏やかな水面に身を委ねるような浮遊感を生み出し、観客の心をやさしく解きほぐしていく。張り詰めた復帰公演というよりも、日常の延長にあるような自然体の音楽。その佇まいこそが、彼女の現在地を物語っていたように思う。

中盤では、ヒップホップグループCBSからkyonとbashoの2人が駆けつけ、「sudori」を3人で披露。「本当に頼もしい」と語る鈴木の言葉通り、仲間との信頼関係が滲み出るパフォーマンスであった。
続く「雨と」「どっかの土曜日」「秘密の楽園」ではややテンポを上げ、ライブの温度もじんわりと上昇していくが、それでも全体の空気はあくまで穏やかで、どこか和やかだ。
MCでは「みんなの顔が見たい」と客席の照明を上げ、「あ、見慣れた顔だ」と笑顔を見せる場面も。「初めましての方も、改めまして鈴木真海子です」という挨拶には、活動再開にあたっての静かな決意が込められていた。また、所属ユニットであるchelmicoも活動休止中であることに触れ、「一旦それぞれパワーをつける時間」と語ると、観客からは温かな拍手が送られる。「なんか楽しいですねライブって」としみじみと語る姿からは、音楽と再び向き合う喜びが率直に伝わってきた。


「これからゆっくり、いろいろ活動をやっていきたいと思う」と未来への意欲を口にし、そのまま「in a bubble with u」「contact remix」で本編を締めくくる。どこまでも肩の力の抜けた、それでいて確かな芯を感じさせるステージであった。
アンコールではSTUTSとSIKK-Oが加わり、「愛をさわれたら」「0℃の日曜」「Summer Situation」を披露。STUTSの軽やかなビートに、鈴木とSIKK-Oのラップ/ボーカルが心地よく絡み合い、3人の相性の良さが際立つ。ふいにSTUTSが「(3人の相性は)すごく良いと思うんですよ」と語ると、鈴木はすかさず「(新曲を)作ることが決定しました」と応じ、会場は歓声に包まれた。最後は両者のバンドメンバーも加わり、全員集合。和気藹々とした空気のまま、この夜は幕を閉じた。




この復帰ライブは、鈴木真海子の静かな再出発であった。しかしその一歩は、確かに地に足のついたものであり、これからの歩みへの確かな予感を感じさせるものでもあった。穏やかな時間の中で紡がれたこの夜は、彼女が再び音楽とともに歩み出したことを、優しく実感させてくれた。

■セットリスト
1.Blue
2.judenchu
3.5月のうみ
4.Lazy river
5.sudori
6.雨と
7.どっかの土曜日
8.秘密の楽園
9.in a bubble with u
10.contact remix
En1.愛をさわれたら
En2.0℃の日曜
En3.Summer Situation























