UA、10年越しの結実『NEWME』が映す現在地 坂本龍一から託された光、息子・村上虹郎らと交わした魂の記録

UA、10年越しの結実『NEWME』が映す現在地

村上虹郎との「ZOMBIE」制作秘話、息子との信頼関係

――それぞれについてお聞きしたいんですが、その「ZOMBIE feat. 村上虹郎」では、あなたの息子さんである虹郎さんが参加されています。歌声が聴けるわけですが、ここで彼を抜擢したのはなぜだったんですか?

UA:とにかくここは男性の声がほしかったのですが、、私の滞在時間の制限や優柔不断なせいもあって、紆余曲折あったところで制作のリミットが来てしまったんです。そこで虹郎くんに折り入って相談してみたら二つ返事でOKしてくれました。まったく救われました! それに感化されて男性パートの歌詞を全部書き直して、よりメッセージ性の強い、POP感がアップデートされました。もともとこの曲自体がZ世代やミレニアム世代に向けたイメージはあったんです。サウンドとしては80年代オマージュをバリバリにやっているんだけど、今の若い子たちが80年代や90年代に憧れているのも面白いなと思ったし。だから結果として、この曲に虹郎くんが入ってくれたのはピントがすごく合ったんですね。

UA - ZOMBIE feat. 村上虹郎 (Official Video)

――僕は小さい頃の虹郎さんをお見かけしたことがあるんですけど、それはUAさんのライブでだったんですよ。

UA:ああ! はいはい、アニバーサリーのライブとか?

――そうです。デビュー10周年記念の日比谷野音だったから、今から21年前ですね。ライブ中に関係者エリアで走り回ってる男の子がいて、虹郎くんだろうなと思ってました。

UA:(笑)。野音には毎回連れてきていました。あの頃は同じ学校に通ってる友達の親子も観に来てくれたので、子供たちが楽しくなって暴れてくれてたんですね(笑)。

――前作の『JaPo』(2016年)では虹郎さんのことを歌った「あいしらい」という曲がありましたね。その子が今では立派な青年になって、役者として活躍されていて。そして、今回こうしてUAさんの作品に参加しているぐらいだから、母子の関係はいいんだろうなと感じました。

UA:はい、おかげさまで。我々ふたりの仲は、ずっといいですね。

あいしらい

――母親の目線になると思うんですけど、今の虹郎さんのことをどう思いますか?

UA:そうですね……彼は今28歳で、今年の3月で29歳になります。私が特に29歳から30歳の頃は自分が落ち込んでいたと思い出される時代で……それはホロスコープ的に土星が自分の生まれた時の位置に戻ってくるサターンリターン(29年周期)の時期で。厄年じゃないけれども、そういう意味合いがあったことも関係しているんだと思うんです。29歳の時、それまで見ないようにしてきた部分に向き合わされて、すごくしんどかったんですね。この話は彼にもしていますが、今年は彼がその年になるわけです。でも彼の場合は、ちょっと早くそういった時期がきていたようなんですよ。それでお仕事をお休みしていましたね。

――そうでしたね。虹郎さん、何年か前にしばらく俳優の活動を休んでいた時がありましたね。

UA:その間にもとことん話をして、ぶつかったりもしたんですけど、でも彼自身が私に心を閉ざすことはなかったので、それは幸いでした。彼は自分と同じ魚座ですし、なんとなく自分と似た、夢見がちな、ロマンティックすぎるようなところがあると思うんです。虹郎という名前は私がつけたんですが、今思うと、虹って、遠くからは確かに見えているけれども、触れるものじゃない。すごくシンボリックで、ピースフルなイメージのものなんです。もしかしたら彼にもそういう性分があるのかな。だけど、しばらくお休みしてから、今は、地方に暮らしながら、自分の着地点や現在地を彼なりに実感しながら自分を見せていってるように見えますね。

『ジャニス』で深まった藤原さくらとの関係、MFSのラップに隠されたスパイス

――なるほど……とても愛情を感じる話です。次に「まわるみらい feat. 藤原さくら」について聞きたいです。藤原さくらさんはかねてからUAさんの曲を歌っていますよね。「ミルクティー」だったり、「微熱」だったり。

UA:ああ、そうでしたか。「微熱」も歌ってくださってる?

藤原さくら - 微熱(秋)(HERE COMES THE MOON STUDIO LIVE)

――はい。YouTubeにもアップされていますよ。

UA:さくらさんは、ミュージカル『ジャニス』(2022年)で共演させていただいて、同じ時間を過ごせたことでグッと近づけました。レーベルが同じだったこともあって、それ以前にもライブに来てくれたり、楽屋でご挨拶はしていました。虹郎くんもさくらちゃんの存在を早くから知っていて「声がいいよね」という話をしていたし、私も注目していたんです。彼女の前作、『wood mood』(2024年)という石若駿くんがプロデュースしたアルバムに、私がプレイリストに入れるほど大好きな「星屑のひかり」という曲がありまして。その感動をご本人にも伝えてたんですね。それで、この「まわるみらい」のアレンジが進んでいく中で、女性とデュエットするイメージが湧いて、荒木くんと「どなたがいいかな」という会話の中で両方が一致したのがさくらさんだったんです。

――メロウな味わいがあるし、しかも可愛い曲に仕上がってますね。

UA:彼女は私より低音が出るので、低いところを担当してくださることになって。可愛い曲ですが、アンニュイな歌詞でもあり、そこがグッと深みにもなって。間奏でチェロのソロが入るんですが、そことも親和性が出て、大正解でしたね。

――藤原さんは、このアルバムへの自分の参加が発表になった時に「本当にすてきな曲なんです」と投稿されていました。

UA:そうなんです。彼女も新作のレコーディングが後半に差し掛かった大変な時期だったので、念のため、「ご無理ないところで」と書き添えたんですが、曲をすごく気に入ってくれて、無理を押してスタジオに来てくれました。

――素敵なコラボになってると思います。そして、先ほど話に出たHIPHOPに挑戦してるのが「WAKEUP feat. MFS」です。MFSさんは女性のラッパーですね。

UA:私がもともとMFSさんのファンで、ご本人と面識はなかったんですけれども、自分のラジオ番組でも曲をかけたりしていて。荒木くんは男性ラッパーのイメージが強かったんですが、実はこちらも紆余曲折ありながら、私の本命であった彼女にお声掛けしたことからスーッと驚くほどスムースに進んだんです。それもとても面白かったですね。

UA - WAKEUP feat. MFS(Official Audio)

――なるほど。スムーズな制作だったんですね。

UA:これはもう、ドンピシャなものがきた、という感じです。ひとつだけリクエストさせていただいたのは……私が好きな彼女の楽曲が、笑いのセンスが入ってる曲だったので、ダジャレ的なプッと吹き出すような、ファニーな感じを入れたいということで。曲の主題としてはマジメなことを歌っているけれども、サビで「笑いを忘れるな」ということを強調してるので。そこだけリクエストして、本番でバッチリ加えて入れてくれました。

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