Ado、XG、HANA、TOMORROW X TOGETHER、PUNPEE、レトロリロン……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はAdo「エンゼルシーク」、XG「HYPNOTIZE」、HANA「Cold Night」、TOMORROW X TOGETHER「SSS (Sending Secret Signals) (feat. HYDE)」、PUNPEE「Morrin'26」、レトロリロン「FAQ」の6作品をピックアップした。(編集部)
Ado「エンゼルシーク」
Adoの2026年最初のリリースとなる「エンゼルシーク」は橋本環奈主演の新月9ドラマ『ヤンドク!』(フジテレビ系)主題歌。尖りまくったギターと強靭なビートに絡みつく、〈失くしたヘイロウの代わり 蛍光ランプ〉という謎に溢れたラインが聴こえてきた瞬間、楽曲のなかに一気に引きずり込まれる。この問答無用の求心力こそがAdoのすごさなんだと改めて実感させられるロックナンバーだ。作詞作曲は煮ル果実。昨年末の『COUNTDOWN JAPAN 25/26』でも超アグレッシブなステージを見せた彼の楽曲をAdoが歌うのは2022年の「マザーランド」以来4年ぶりなのだが、鋭利なロックサウンドと爆発的な歌声によるケミストリーはやはり格別。混沌にこんがらがったまますべてを振り切って疾走するサビのスピード感は、まさに圧巻だ。(森)
XG「HYPNOTIZE」
ついに登場した1stフルアルバム『THE CORE - 核』のリード曲。アルバム全体を通して攻撃的なHIPHOPは控え目、抜群の英語発音と最高のフロウ、精緻な声質コントロールによって聴き手を快楽に誘うポップス/ダンスナンバーが多いが、この曲もまさしくその骨頂。キャッチーという言葉では追いつかない、最初から約束されていたダンスクラシックのような完成度に圧倒される。タイトルは「催眠にかける」「虜にする」の意で、夢と現実の境界を行き来するトーンを全員が心がけているのだろう。地声の熱唱はあまりなく、透明にスッと消える高音やウィスパーボイスの使い方がお見事。MVでも“かっこよさ”と“美しさ”がばっちり半々で表現されている。(石井)
HANA「Cold Night」
HANAにとって初めてのアニメ主題歌となる『メダリスト』第2期(テレビ朝日系)オープニング主題歌「Cold Night」は、ちゃんみなの作詞作曲(作曲はSANGWOOとの共作)によるポジティブソングだ。鮮烈にしてしなやかなビート、研ぎ澄まされたギターを軸にしたトラックは、「どこまでも進もう!」という爽やかな意思と、「諦められない」という切実な思いを映し出している。曲が進むにつれて高揚感を上げ、〈I’ll show you What I can do〉(≒見返してやる)というフレーズに結実する構成も見事。メンバーの歌声に宿る圧倒的な説得力の源はもちろん、先入観や常識を吹き飛ばしながら進んできた彼女たちのキャリアそのもの。迷いながらも夢に向かって突進する、HANAの行動原理と直結した楽曲だと思う。(森)
TOMORROW X TOGETHER「SSS (Sending Secret Signals) (feat. HYDE)」
ロックンロールの性急さ、ダンスミュージックとしてのしなやかさを併せ持ったサウンドのなかで描かれるのは、官能の匂いを振り撒くメロディライン――。昨年10月にリリースされた日本3rdアルバム『Starkissed』に収録されたHYDEの提供楽曲「SSS (Sending Secret Signals)」。密やかに行き交う“愛のシグナル”をテーマにしたこの曲はファンの間でも高く支持され、新たにHYDEが参加したニューバージョンが届けられた。最大の聴きどころはもちろん、TOMORROW X TOGETHERのメンバーとHYDEの声の絡み。緊張感と興奮がせめぎ合うスリリングな共演は、世界中のオーディエンスを刺激するはずだ。ジャンルや国境、世代を超えながら表現領域を拡張し続けるHYDEのスタンスにも、改めて敬意を示したい。(森)
PUNPEE「Mornin'26」
2月7日、東京ガーデンシアターでのワンマン公演を控えたPUNPEE。それに合わせて登場した新曲なので、新年一発目の前向きな所信表明と取るべきだろう。モダンとレトロが仲良く溶け合うビートに乗り、会話と歌唱の中間のような柔らかさで、しかし真似できないスキルを次々と叩き込んでいく。スタイルは相変わらずだが、分断されていく世界と父親になった現在地をさらっと混ぜ合わせ、厳しさではなくユーモアを派生させるところが2026年仕様。後半には今年やってみたいことが続いており、そのひとつに〈ちゃんと韻を踏んでRAPをします〉の一言が出てくるあたりが、彼の愛される理由、世代を問わずリスペクトされる理由なのだろう。(石井)
レトロリロン「FAQ」
アルバム『コレクションアローン』から未発表新曲のひとつ。涼音(Vo/Ag)のコメントによると、アルバムとは「ミュージシャンのエゴ」(※1)ではあるが、彼自身が今それを作ることに強い意味を感じていた、とのこと。つまり重要だったのはシングルにカウントされない曲たちであり、いつになくアップテンポなこの曲も今爆発させたかった欲求のひとつなのだろう。己の才能を疑ったり、苦悩に苛まれたり、時には自惚れてみたり。歌詞にはまだ若いアーティストゆえの感覚が溢れているが、あまりにも生々しいと感じないのは、くるくる表情を変えるアレンジの賑やかさと、最後に用意される肯定のニュアンスゆえ。正統派のイメージが少し変わる一曲でもある。(石井)
※1:https://realsound.jp/2025/11/post-2232526.html