KANA-BOON、9mm Parabellum Bullet、羊文学、Wienners……続く邦ロックシーンの脱退/加入 それぞれの新たな門出

 複数人が「せーの」で音を鳴らすバンドという共同体は、時にメンバーの離脱など、さまざまな理由をもってその在り方が変化することもある。そして残されたメンバーは、いくつもの選択肢のなかから、新しい活動形態を選択し、バンドを続けていくこともある。

 昨年12月31日、9mm Parabellum Bulletのドラマー・かみじょうちひろがバンドから脱退することが公式サイトで発表された。2004年結成、2007年に『Discommunication e.p.』でメジャーデビューした彼らは、オルタナティブロック、ハードコアやメタルなどを融合させたバンドサウンドと、J-POP由来のメロディで2000年代後半以降のロックシーンに旋風を巻き起こした。脱退したかみじょうは9mm Parabellum Bullet結成の発起人で、リーダーを務めていたこともあり、この報せにはバンドのファンだけでなくシーン全体に大きな衝撃をもって伝えられた。そんな逆境のなかでも、彼らは進み続けている。1月8日には3人体制で初となる『シークレットフリーライブ2026』を開催。滝 善充(Gt)がドラムを兼任し、熱いパフォーマンスを展開して会場を沸かせた。この先も日本各地でのライブの予定が控えており、9mm Parabellum Bulletの歩みは止まることなく続いていく。

9mm Parabellum Bullet「シークレットフリーライブ2026」2026.1.8

 昨年12月30日には羊文学のドラマー・フクダヒロアの脱退も発表された。シューゲイザーやポストロックの要素を取り入れたオルタナティブロックサウンドで大衆性と芸術性を両立させる無二の音楽性が確かな存在感を発揮している羊文学。フクダは、羊文学のオルタナサウンドの屋台骨の役割を果たしていたが、2024年5月よりコンディション調整を理由に休養期間に。そんななかでも羊文学は活動を継続。フクダの休養時からサポートドラムを務めていたYUNA(material club/ex:CHAI)が引き続きメンバーをバックアップし、1月7日、11日には東京/大阪で初のファンクラブ会員限定ライブ『羊文学FCライブ「猫が好き」』を開催。2月24日からは全国5都市のライブハウスを巡る『羊文学「SPRING TOUR 2026」』を開催予定だ。

羊文学 - いとおしい日々 [Live] Hitsujibungaku Asia Tour 2025"いま、ここ (Right now, right here.)" at 日本武道館

 バンドメンバーの脱退を経て、新メンバーが加入したことで新しいスタートを切ったバンドもいる。2013年にメジャーデビューして以降、現在も精力的に活動するKANA-BOONは、新メンバーが加入し新体制となることを今年の元旦に発表。今回加入したのはギターのヨコイタカユキ、そしてドラムの関優梨子。両者ともに2024年5月以降のKANA-BOONの全ライブでサポートを務めており、息の合ったバンドアンサンブルを見せている。昨年末の『COUNTDOWN JAPAN 25/26』出演時にはステージエリアの入場規制が発生するなど、新生KANA-BOONへの期待は右肩上がりに高まるばかり。そんなKANA-BOONは2月からツアー『KANA-BOON 47都道府県TOUR 「CRITICAL HIT PARADE」』を開催。7月まで続く全国ロングツアーは新生KANA-BOONがさらなる高みを目指す武者修行のような旅となるのだろうか。

KANA-BOON - シルエット New Go-Line ver. / THE FIRST TAKE

 昨年のヒットソングのひとつであるCANDY TUNE「倍倍FIGHT!」の作詞曲を担当した玉屋2060%がボーカル/ギターを務めるバンド Wiennersも、この2026年から新しいメンバーが加入。2015年よりボーカル/キーボード/サンプラーを担当していたアサミサエが昨年6月にバンドを卒業。同年7月には公式サイトでの新ボーカルの募集を開始させ、ゲストボーカルを招いてのライブ出演など、新体制への準備期間を経て、2026年元旦に新メンバーの加入を発表。新ボーカリストとしてWiennersに加入したのが、YUURIだ。加入発表に際した本人のX(旧Twitter)のポストには「ずっと玉屋さんの曲が大好きで、いつかその楽曲を歌うのが夢でした」(※1)と記されており、彼女自身の加入に対する並々ならぬ覚悟と思いが窺える。ハードコアパンクでありながら、キャッチーでポップな要素もふんだんに盛り込まれたWiennersのカオティックなサウンド。これを乗りこなすYUURIの姿に期待ができそうだ。Wiennersの新体制の初お披露目ライブは2月13日に東京・WWW Xにて開催を予定している。

「GOD SAVE THE MUSIC」「TOKYO HOLI」 in HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2025

 これまでもメンバーの脱退や加入などを経て新たな活動形態を模索してきたバンドは少なくない。どのバンドも与えられた逆境をバネにし、立ち向かってきただろう。なかには、むしろそうした逆境の場面で生まれた音楽が、リスナーの胸を打つこともあったと思う。諦めることを知らない、そんなバンドの姿を見届けてほしい。

※1:https://x.com/yuuri__0906/status/2006713302601310341

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