Mr.Children、“永遠に未完成”なトップランナーが踏み出す新章 「Again」で小林武史と無垢な衝動を鳴らした意味
「Again」はMr.Childrenそのものを再定義する楽曲に
そして、特筆すべきは、そのボーカルの質感だ。積み重ねてきた経験に裏打ちされたテクニックに安住するのではなく、どこか危うく、それでいて初期衝動を感じさせる響き。それは、同曲を収録して3月25日に発売を控えるアルバムのタイトル『産声』に直結する、驚くべき初々しさである。
現に「Again」は、ニューアルバム『産声』への重要な伏線でもある。デビューから34年。普通であれば、これまでの作風をなぞるような作品を期待される時期かもしれない。しかし、彼らが選んだのは『産声』という、あまりにも無垢で、始まりを予感させる言葉だった。「Again」と『産声』。この2つのキーワードを横軸にすると、今のMr.Childrenのモードがくっきりと浮かび上がる。彼らにとってバンドを続けるということは、同じ場所に留まり続けることではない。昨日までの自分たちを自らの手で一度解体し、真っさらな状態で“もう一度”産声をあげること。その永遠の未完成こそが、彼らが時代を超えてトップランナーであり続けることができた真の理由なのだ。小林武史という盟友を懐かしむためではなく、新しい自分たちを刻むための最新の刺激として招き入れること。それ自体が、バンドとしてのリブートであり、再定義である。「Again」という曲が放つ、瑞々しくも圧倒的な説得力。それは、どんなに時間が経っても、僕らは何度だって生まれ変われるのだという、力強いメッセージとしてリスナーの胸を打つ。
Mr.Childrenは、バンド活動という“終わりなき旅”の中で、常に自分たちを疑い、壊し、再構築してきた。「Again」という楽曲は、その長い旅路における、ひとつの大きな到達点であり、同時に出発点でもある。彼らの決意を念頭にあらためてこの楽曲を聴いてみてほしい。そこには、栄光の歴史を背負ったベテランの余裕など微塵もない。ただ、今この瞬間に生まれた感情を、初めて手にした楽器で鳴らすような、切実な“産声”が響いているはずだ。
“ふたたび”歩き出すーーそれは、過去に戻ることではない。誰も見たことのない未来へ、今この瞬間から踏み出すということ。Mr.Childrenの新章は、今、最高に鮮烈な音を立てて始まったばかりだ。