vistlip『UNLOCKED』インタビュー 「本当に素直になれる」――20周年に向けて駆け出すための3曲を語り尽くす

vistlip『UNLOCKED』全員インタビュー

『UNLOCKED』で描く“何かからの解放”

智(Vo)
智(Vo)

――海さんは「Code Number」でのギターのプレイにおいて特にこだわられたのは、どのようなところでしたか。

海:この曲に限らず、Tohyaの曲はシンセがしっかり入ってることが多いんですよ。なおかつ、Yuhは上から下まで満遍なく弦を鳴らすというか、いろいろな場所に動きながらいろいろなことをするタイプじゃないですか。今回もあらかじめ「こういうふうにギターを入れるよ」というガイドラインのような音を送ってきてくれたので、俺はそれと照らし合わせながら弾いていく感じで進めていきました。ただ、曲調の影響もあって、この曲は隙間が結構あったんですよね。うちのバンドの場合、ある程度の音域とか帯域で鳴らすべきだというふうに最初から自分の居場所が見えてるような曲が多いんですけど、隙間が多いと、そのぶんはこっちの出方次第で曲の雰囲気が変わる可能性もあるなと思っていて。普段の僕なら低音弦を中心に弾くことが多いのに対して、この曲ではしっかり上のほうまでちゃんと鳴らすことを意識しました。で、Yuhがテレキャスっぽい感じの音だったたから、僕はストラトで弾いたんですよ。

――ツインギターの利点をこれでもかと活かされたわけですね。

海:パワー感がありすぎると鬱陶しいけど、存在感がないのもそれはそれで困るし。細くちゃいけないけど、太すぎてもいけない。そういう音を出すにはストラトがいちばんかなということで、Yuhが与えてくれた隙間をうまいこと使いながら弾いていきました。

Yuh:僕って、激しくてゴリゴリな音で弾くギタリストっていうイメージがきっと強いと思うんですけど(笑)、テレキャスをかき鳴らす系もめっちゃ好きなんですよ。この曲ではそれを思いっきりできたのが楽しかったです。

――瑠伊さんが「Code Number」のベースプレイで留意されたのは、どのようなことだったでしょうか。

瑠伊:フレーズはTohyaが作ってきてくれたものを活かしてるんですけど、それがまさにさっき智が言ってたような、Tohyaからしかでてこないものだったんですね。自分ではまずやらないようなベースラインだったし、全体としては新たな引き出しを作ってもらえた感覚で弾いていきました。ライブでやっていても音運びがいい曲だなって感じたし、ここで作ってもらった引き出しは今後も使っていきたいなと思ってるんです。そのくらい、この曲のベースフレーズはとても気に入ってます。

Yuh(Gt)
Yuh(Gt)

――歌詞についてもお話を聞かせてください。Tohyaさんから曲を受け取ったのち、詞の方向性や内容については、すぐに定まりましたか?

智:まずはツアータイトル(『vistlip ONE MAN TOUR 2025 [CODE:SIX] -Unlocked-』)を決める時に、『UNLOCKED』というこの言葉が出て来たんですよ。というのも、前回のシングルが『BET』で、去年の七夕にやったアニバーサリーライブが『Bet On The Ouroboros』だったじゃないですか。“Ouroboros”(ウロボロス)の輪を脱け出して、解放していくミッションを自分たちに与えていくという意味で、“UNLOCKED”という言葉へとつながっていくことになったんです。だから、今回の作品の楽曲は、どれも“何かからの解放”を描いたものにしてあります。

――なるほど、そういうことでしたか。

智:あと「Code Number」では、前から使いたかったアイオライトとライオライトっていう言葉も対になるものとして使ってますね。

――アイオライトとライオライトは、それぞれ鉱物の名前ですよね。

智:ライオライトは火山石で、色が混じったマーブル状なんですよ。アイオライトは天然石で、見る角度によって色が変わる二色性。アイオライトのイメージは衣装でも表現して、ライオライトのイメージはメイクで表現したんです。

――歌詞としては韻を踏むかたちで使われてもいますが、それぞれの石はパワーストーンでもあるそうですね。智さんはそうした部分に対しての興味も強いほうだったりするんですか?

智:身に着けたりとか部屋に置いたりとかはしないんですが、石の持つ意味にはすごく興味あります。花言葉もよく勉強したりするし、石の意味もちょいちょい勉強してます。ライオライトは目標に向かう力を与えてくれる石で、アイオライトも目標達成へ導くような意味合いを持ってる石なんです。つまり、進むべき道を示してくれるのがアイオライトで、その道に向かって力を与えてくれるのがライオライト。

――またとない表現を選ばれましたね。

智:願わくば「Code Number」は、聴き手のみんなにとっての力にもなればいいなと思って書いたところもあるんです。

海(Gt)
海(Gt)

――ということは、「Code Number」のなかの〈僕にしか見せない君が愛しい。〉という一節は、ファンの皆さんに向けたものでもありそうですね。

智:ああ、そういう部分もありますね。それだけじゃなく、人が自分に見せてくれる本質的な部分というのは、やっぱり心を解いてあげないと出てこない部分で。そういうことを思いながら書いたフレーズでもありますね。

――これは勝手な印象で申し訳ないのですけれど、智さんご自身は普段オープンマインドなタイプではないように感じていて。真摯に受け答えもしてくださいますし、MCでもフランクにお話しされている場面はあるけれど、どこかミステリアスで不可侵な領域も持っていらっしゃるというか。でも、表現者としては心を解放しなければいけない場面もあるはずで。とすると、自らの心を解きやすいのはいつなんでしょう。

智:それ、面白い質問ですね(笑)。メンバーにはもう全開放してますよ。なかなかそういうのはまわりの人たちが見れない自分だろうし、喜怒哀楽がしっかり出てると思います。たしかにプライベートな話を語ったりはあまりしませんけど、最近のステージとかイベントとかでは、だんだん鍵が開いてきている気がしてるかな。

――18年経ってやっと、というところがなんとも感慨深いです。

智:あははははは。

――「Bedtime Story」は、先ほどTohyaさんから「ライブを意識して作ってます」とのお言葉がありましたけれど、成り立ちとしてはどのようなプロセスを経て生まれたものだったのでしょうか。

Tohya:このシングルに3曲収録することはもとから決まってて、「Code Number」と「Principal」と、あと一曲はどれにするかとなった時、智から「ライブで武器になる曲がほしい」っていう言葉が出てきたんです。ただ、僕がそこを強く意識すると極端に偏った曲になりがちというか、ライブ映えだけするような曲になってしまう。それはイヤだったので、わかりやすいノリやすさも入れながら自分のこだわりも入れて、サビは絶対にキャッチーなのがいいし、Aメロだけは好き勝手にリズムでおかしなことをさせてもらって、いろいろと盛り込んだ構成になってます(笑)。

瑠伊(Ba)
瑠伊(Ba)

――かなり欲張りセット的な感じになっていますよね(笑)。冒頭とエンディングにはどこかエキゾチックな雰囲気まで漂っていて、そこも面白いです。

Tohya:あれもただ僕がやりたかったことを詰め込んだだけで(笑)。メインのリフはあるなかで、ひとひねりしました。

――「Bedtime Story」では、瑠伊さんのベースも躍動していますね。

瑠伊:僕もこの曲のフレーズはライブを意識して作っていて。「Code Number」とは真逆で、かなり自分流に壊させてもらいました。あえて、本来はベースであるべき部分をギターとシンベに任せてるんですよ。ライブで「自分だったらこういう立ち振る舞いをするだろうな」と想像しながら作っていったらこうなったんです。音色の面でも攻めてますね。楽しくノリノリで弾けたし、いろいろ遊ばせてもらえましたし、いい感じの棘が出せたかなと思ってます。

――棘という部分では、Yuhさんも「Bedtime Story」では「Code Number」と真逆
な質感の音を轟かせていらっしゃいますね。

Yuh:デモにサンプリングで入ってたカッティングみたいなフレーズはテレキャスっぽい音で鳴らしてて。バンドサウンドとして聴くとあんまりはっきりとは聴こえないと思うんですけど、曲調に対してミスマッチにも思える音をあえて織り交ぜていくことで、勢いだけじゃない部分も混在させていくことを意識することが最近は多くなってます。

――エンディングでの稲妻ソロといいますか、一撃必殺的な速弾きソロも素敵です。

Yuh:あれは頑張りました(笑)。あそこだけは繰り返し弾いて練習してから弾きました。

――海さんは、「Bedtime Story」とはどういうふうに向き合いましたか。

海:僕も「Code Number」とは真逆のアプローチでしたね。最初は7弦を使ったほうがいいのかなとも思っていたんですよ。でも、音程そのものが低いというよりは7弦っぽいエグみっていうんですかね。そういう、いわゆるちょっと品のない音が必要なんだなっていうことがわかって、そこから音色作りではちょっと試行錯誤しました。弦の鳴り方そのものに気を遣いました。個人的にはド頭と最後のエスニック調のフレーズも大好きです。

Tohya(Dr)
Tohya(Dr)

――智さんとしては、この曲で解き放ちたかったのは――。

智:命ですね。

――なるほど。

智:「Bedtime Story」で描いてるのは命の解放です。あとは、ファンのみんながvistlipのライブにきた時の何かから逃れてきてここにたどり着いたようなイメージというのかな? そこも描きたかったんですよね。

――曲タイトルからして「Bedtime Story」ですし、〈怪物〉というキーワードも出てきますので、ある種のファンタジー要素も感じられますが、根底の部分ではメッセージ性も強い歌詞になっている印象です。

智:あんまり重たくはしたくなかったんです。メッセージ性はあるとしても、絵本みたいな質感にしたくて。自分がこどもの頃に大好きで、毎晩読んでもらってた『ねないこ だれだ』みたいな感じにしたかったんですよ。

――歌う側からしてみると、「Bedtime Story」はどんな印象でしたか。

智:歌ってて楽しかったです。没頭しながら歌えるのがこの楽曲の答えだと思いましたね。ライブでも絶対に楽しいだろうなと思ったし、初日から感触もすごくよかったです。ここからのツアーでは、さらに楽しくやってけると思います。

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