BUCK∞TICK、培ってきた自由度とスケールの“集大成” 『スブロサ SUBROSA』の凄みを最大限に放った武道館公演

BUCK∞TICK『ナイショの薔薇の下』レポ

 1年ぶりにBUCK∞TICKが日本武道館に戻ってきた。公演タイトルは1年前と同じ『ナイショの薔薇の下』。このタイトルの元となったアルバム『スブロサ SUBROSA』を2024年12月4日に発表して以来、「薔薇の下」でのナイショの集いは続いてきた。追加公演を含め全国22公演となった『BUCK∞TICK TOUR 2025 スブロサ SUBROSA』、そして全15公演の『BUCK∞TICK TOUR 2025 -ナイショの薔薇の下-』、そのファイナルを迎えたのが、2025年12月29日の日本武道館だ。ステージには大きな薔薇の花が浮かび上がる幕が降りていた。SEが流れるとそれはスルスルと上げられ、ステージの真上に落ち着き「ナイショの薔薇の下」が始まった。このライブは、全国33カ所の映画館でのライブビューイング(さらに後日、WOWOWでの放送・配信が決定している)が行われ、数多の人が目撃した。

BUCK∞TICK ライブ写真

“4人で前へ進む姿”がブラッシュアップされたステージ

 オープニングはアルバムの幕開けでもありツアーのスタートを飾ってきた「百万那由多ノ塵SCUM」。厳かな空気を感じさせるサウンドに乗り、1人スポットを浴びていた今井寿(Vo/Gt)の歌が場内に響いていくと、向かって右に星野英彦(Vo/Gt)、その後方に樋口豊(Ba)、今井の後方のヤガミ・トール(Dr)にもライトが当てられる。このフォーメーションがBUCK∞TICKのスタイルであることに、もう迷いはない。今井「アガって行くよ! Boys&Girls!」と叫んで「雷神 風神 - レゾナンス #rising」へ。軽快なビートにオーディエンスのハンドクラップが重なり小気味いい。サビの〈ハートに火をつけろ〉を歌いながら今井が自分の胸を叩く。そして次の曲「夢遊猫 SLEEP WALK」を弾き語りで歌い始め「ニャオス!」と合図すると猫の手が場内いっぱいに踊り出した。

「ハロー、トーキョーベイビーズ! ライブビューイングベイビーズ、WOWOWベイビーズ! BUCK∞TICKです。今夜も一緒に楽しもう、盛り上がろう、騒ごうぜ、ナイショの薔薇の下、スブロサだ!」

BUCK∞TICK ライブ写真
今井寿

 今井が呼びかけ「スブロサ SUBROSA」へ。今井のラップ調のボーカルと星野が叩くメタルパーカッションが祝祭感を盛り上げる。この1年、演奏し続けてきたアルバム『スブロサ SUBROSA』の曲はメンバーの体に染み込んでいるかのよう。もちろんオーディエンスも同様で、ダンサブルなテクノビートに体が揺れている。そのノリのまま星野が歌う「From Now On」に突入し、さらに幻想的な「Rezisto」へと続く。蠱惑的(こわくてき)なサウンドと今井のウィスパーボイスに、引き込まれずにいられない。「ストレリチア」ではステージ後方のスクリーンにアンリ・ルソーばりのカラフルな花が浮かび上がり、アブストラクトなサウンドが別世界へと誘う。

 「いい気分だ! じゃここで、ガッガッガッガッと、すっげえ遠くまでブチ上げていきましょう。嵐の夜だ、『冥王星で死ね』!」ーーこうMCをした今井は手にマイクを持って歌い、ステージを動き回る。ケチャ(バリ島の民族音楽)風に「ガッガッガッガッ」と星野も声を重ねて腕を振り上げ、盛り上げていると、2人の間を樋口が走り抜けた。星野が「腰を振ってもらえますかー!」と呼びかけた「paradeno mori」は、星野自身も腰を振りオーディエンスとダンス。そして樋口のベースがグルーヴィに響いて「遊星通信」が続き、「絶望という名の君へ」ではスクリーンは4人の映像に。星野が歌うこの曲はメロディの美しさや歌詞から、2年前に急逝した櫻井敦司が4人と共にいるように思えてしまう。けれど4人が表現したいのはそこではなく、現在4人が進んでいる姿を見せることだ。それは歌詞のように〈希望〉と呼ばれるべきものだろう。

BUCK∞TICK ライブ写真
星野英彦

 約1年前に『スブロサ SUBROSA』が発表された時、17曲も揃えたのは新曲だけでステージを構成するつもりだからなのだろうと思った。実際ほぼ新曲だけで彼らはライブをやり続け、4人でのスタイルをブラッシュアップしてきた。今ではどの曲もステージにふさわしいスケール感を持ち、時には自由度を増し、あるいはストイックに研ぎ澄まされている。この武道館公演は、そうやって培ってきたものの集大成だったのではないか。ステージ中盤となって私はそんな思いを強くしていた。

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