対談:Omoinotake × チャンプ・ウィーラチット・トンジラー監督 映画『(LOVE SONG)』と音楽の極上の共鳴、感動を生む条件は?

Omoinotake&『(LOVE SONG)』監督対談

ソウタ(森崎ウィン)とカイ(向井康二)のストーリーと共鳴する「Gravity」

Omoinotake | Gravity 【Special Live Video】(映画『(LOVE SONG)』主題歌)

――監督は、「Gravity」を聴いた時にどんな印象を受けましたか?

チャンプ監督:とにかく映画に合っているな、と。自分だけではなく、タイのスタッフたちとも何回も何回もこの曲を聴きましたが、みんな曲からパワーをもらったと思います。それこそ、歌詞の意味はわからなくてもメロディが頭に残る曲なので、この曲を映画に使ったら絶対みんなの頭に残る作品になるなと思いました。

藤井:嬉しいです。メロディは僕が考えてたんですけど、タイアップがある時は作品をしっかりと受け止めて、その結果、自分のなかに生まれた感情から作るんです。今回は映画を観終わった時に、まず「映画の余韻を感じながらエンドロールが終わるまで、みんなを座らせ続けたい」と思って。曲を作る時の最初のテーマがそうだったので、エモアキ(福島)が言ったように、「エンドロールでみんなが立ち上がらなかった」という感想があると達成感がありますね。

チャンプ監督:聴きながら、終わったばかりの映画のシーンを思い出したりできるんじゃないかなと思います。タイの場合、映画が終わってエンドロールが流れ始めると帰ってしまう人が多いんですけど(笑)、でもこの曲だったら「最後まで聴きたい!」という気持ちが生まれるんじゃないでしょうか。

――歌詞の内容についてはいかがでしたか?

チャンプ監督:言葉遣いがきれいだし、伝えたいことを直接歌詞にするのではなくて、別の言葉を使って表現することが多いのが日本の個性じゃないかと思います。タイの曲の歌詞では何かに喩える表現をあまり使わないんです。たとえば、隣にいたかったらそのまま“隣”という言葉を使うと思うけど、「Gravity」では〈風になって 何処にだって 彷徨ったって いいから/もう一度 君に 触れたい〉と表現していたり。同じことを歌っているとしても、喩えを使うのは日本らしさだと思いましたね。あとは、〈ラブソング〉という言葉が入っているのもいいなと思いました。

福島:ありがとうございます。〈ラブソング〉という言葉がちょうどぴったりハマるし、意味も通るし、ほかの言葉を使うよりも強くなるなと思ったんです。

――劇中にカイ(向井康二)が作った「LOVE SONG」という曲が登場して、曲自体が重要な役割を担っています。ストーリーを考えるうえで、キーとなる楽曲や、音楽を演奏するシーンを盛り込んだのはどうしてですか?

チャンプ監督:私自身、音楽がすごく大好きなんです。人生にはいろいろな瞬間がありますが、ある瞬間にばっちりハマる音楽と出会う経験を、誰しも一度はしたことがあると思っていて。だから、映画のなかで音楽を使ったら、そういう瞬間の感動を伝えられるんじゃないかなと思っています。

LOVE SONG

――Omoinotakeのみなさんは、映画のなかの音楽の使い方に関していかがでしたか?

藤井:ライブのシーンが印象的でしたよね。カイの歌を聴いてソウタ(森崎ウィン)が泣きじゃくっている姿を見て、グッときました。あれは音楽があってこその心の動き方だなと思います。

冨田:ふたりのすれ違いのもどかしさと、それによって気持ちが大きくなることが、音楽によって強調されて描かれている気がしました。

――ちなみに、映画のなかでライブシーンが出てくると、バンドマンとして気になったりもします?

福島:いろんなところを見てしまいますね(笑)。この映画で言うと、ステージにストリングス隊がいるのがすごいなと思ったり。

冨田:「そこでペンライト振るんだ!」とかね。

福島:そうそう。

――監督は、ライブハウスのシーンでどんなことを表現したかったんですか。

チャンプ監督:あのシーンに監督として立って、あの曲が聴こえてきた時、キャストの気持ちが伝わってきたような気がしました。セリフはなくても、ふたりの気持ちをすべて伝えられるシーンになったんじゃないかなと思います。やっぱり、メロディから伝わるものは大きいと思うので。

藤井:「Gravity」は、具体的に「こういうメロディにしてほしい」みたいなリクエストがなかったので自由に作ったんですけど、劇中歌はカイの想いをよりダイレクトに伝えなきゃいけない曲ですよね。どういうリクエストであの曲ができあがったんですか?

チャンプ監督:特に何も言っていなかったんです(笑)。アーティスト側が細かいところまで理解していなかったとしても、心から作るだけですべて繋がれると思っていたので。Omoinotakeにも、メッセージがちゃんと伝わっているのがわかっていたから、ただ楽しみにして曲を待っていたんですよ。「Gravity」が届いた時、Omoinotakeと一緒に仕事ができたのもまさに引力なんじゃないかなと思いました。

藤井:嬉しいです! 劇中歌も印象に残る曲なので、その曲のあとにエンドロールでかかる曲というプレッシャーもあったので。

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――劇中歌「LOVE SONG」の歌詞はどういうふうに考えたんですか?

チャンプ監督:歌詞として何を伝えたいかをいちばんに考えました。ふたりが離れているあいだ、お互いに「すごく会いたい」という気持ちを強く持っていたので。その気持ちを大事にしつつ、引力があるからこそまた再会できるという部分を歌詞に込めました。

――「LOVE SONG」はカイが言えなかった言葉を歌にした曲ですが、作詞者側の目線として、自分の過去を曲にしたり、伝えたかったことを歌詞にしたりする部分は共感できますか?

福島:そうですね。僕は、歌詞は渡しそびれたラブレターみたいなものだと思っているんですけど、あの劇中歌はまさにその役割を果たしていますよね。やっぱり自分の経験や本当の気持ちから生まれた言葉じゃないと、歌詞にならないのかなと思います。

――映画を観ると、ラブソングというものの重みや尊さが伝わってきます。監督は、この映画に限らず、もともとラブソングを聴くのが好きなんですか?

チャンプ監督:ラブソングは大好きです。だからこそ、この映画が生まれたし、劇中曲やストーリーにも繋がっていると思います。

――Omoinotakeはラブソングをたくさん歌ってきていますが、ラブソングの難しさや面白さをどういうところに感じますか。

福島:多くの人が感じたことのある感情だからこそ、本当に細かい描写じゃないと刺さらないんですよね。ある意味、もう書き尽くされているジャンルですから。より個人的な言葉のほうが少ない人数に深く刺さってくれると思うけど、楽曲としては誰でも広く深く刺さる曲にしたい。そういうバランスの難しさがあるなとは思います。自分が聴く側としても、個人的な内容だったりするほうが好きですね。

――福島さんから歌詞を受け取って、藤井さんが歌う時に心がけてることや大事にしているこはありますか?

藤井:ボーカルの自分が歌詞を書かないぶん、エモアキが書いた歌詞を自分なりに解釈して歌う、という感じですかね。ちょうど映画にも、ふたりでお風呂に入りながら、ソウタがカイにそういう質問をしているシーンがありましたけど……。

――「誰を想って歌ってるの?」みたいなセリフがありましたね。

藤井:そうそう。そのシーンを観ながら、「俺はどんな気持ちで歌ってるのかなあ?」って考えてしまいました(笑)。あらためて考えたら、自分のなかで特定のイメージを持って歌うというよりも、どんな曲でも「ちゃんと音楽として届ける」ということを意識して歌っているのかなと思って。

――冨田さんは、演奏する時に歌詞の内容は意識しますか?

冨田:僕はあんまり意識していないですね。結局受け取るのは聴き手側ですし、こっちが熱い思いを乗せようが乗せまいが、届く人にどう届くかでしかないと思っていて。むしろ気持ちはあんまり乗せたりしないかもしれないです。

Omoinotake | Gravity Live Ver.(映画『(LOVE SONG)』主題歌)【Omoinotake ONE MAN TOUR 2012-2025 "Shinka"】

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