2025.12.21 21:00

『HAJIMARE Project』合宿審査で浮かび上がるチームの課題　24人が味わうプロの厳しさと最初の壁

　12月19日に配信された『HAJIMARE Project』#3では、前回に続いて合宿審査の様子が映し出された。3泊4日のうち、まだ初日とはいえ、レッスンが進むにつれて候補者たちの表情には疲れや焦りがにじみ始める。ダンスやボーカルの課題だけでなく、「グループとしてどう戦うのか」という視点がより強く求められていく回だった。

　コレオグラファーのYuiからダンス指導を受けていたのはグループC。教わった振り付けを確認するために、候補者たちは何度も繰り返し踊り、先生の前でパートを披露していく。その中で、前回の放送でも注目を集めていた臼井碧衣が、改めて評価される場面があった。レッスンを担当していたTAKUYAが、臼井の吸収力や踊り方を褒めるコメントを残しており、まだ不安そうな表情を浮かべることも多い彼女にとって、大きな自信につながるひと言になったはずだ。

　一方、コレオグラファーのeatから指導を受けていたのはグループB。「とにかく元気に踊ってほしい」というeatの言葉どおり、振り付け自体はポップでテンポも速く、全力でぶつかっていくことが求められる。全体としてダンススキルが高いメンバーが揃っている印象のあるグループBだが、本人たちは「不安」「自信がない」と口にする場面が多かった。それでもeatは「思ったより飲み込みが早くてびっくりしました」とポジティブな言葉をかけていた一方で、個人練習にこもりがちな様子を心配しているようだった。

　ボイストレーニングでは、課題曲3曲を事前に覚えきれていないメンバーに対して、厳しい指摘も飛ぶ。「音楽ファースト」という言葉とともに、「誰がどこを歌えば1番曲がよく見えるのか」をもっと考えてほしいというアドバイスが送られていた。単に自分のパートをこなすだけではなく、曲やグループ全体をどうよく見せるか。その基準が、審査の中でより明確に提示されたシーンだった。そんな中で、那須ほほみが「始まる前からキツいと思って、でも練習しないとって……」と涙を浮かべる場面もあった。合宿の厳しさやプレッシャーを真正面から受け止めながら、それでも踏ん張ろうとしている姿が伝わってくる。

　前回、歌割りの決定が遅れたことで厳しい指導を受けたグループAは、今回高難度のダンスパートに挑戦していた。複雑な振り付けに田上優海が苦戦しており、なかなか思うように身体がついていかない様子が映し出される。ボイストレーニングでも、ラップパートを任された田上は言葉数の多さとリズムに苦戦していた。ソロパートを託された安井泉紀も一筋縄ではいかないメロディに悩みながら、それでも必死に食らいついていたのが印象的だ。先週の配信で受けた厳しい指導を引きずるのではなく、課題と向き合いながら少しずつ前に進もうとしている様子が伝わってきた。

　そんな張りつめた空気とは対照的に、食事やバーベキューの時間に見せる候補者たちの姿は、年相応の無邪気な女の子そのものだ。お昼ごはんを前に笑い合ったり、外でバーベキューを楽しんだりしている様子からは、レッスンの厳しさを一瞬だけ忘れているようにも見える。短いリフレッシュの時間があるからこそ、またスタジオに戻って全力で向き合えるのだと感じさせられるシーンでもあった。

　合宿1日目の最後には、スタッフから各グループへのフィードバックが行われる。グループAには「緊張でガチガチになっていて、周りのことが見えていない」という指摘があり、現状の歌割りを見直すことも選択肢のひとつとして提示された。グループBには「チーム内の会話が少ない」、グループCには「仲の良さゆえに緊張感が足りない」と、それぞれの課題が具体的な言葉で伝えられる。どの言葉も決して優しいだけではないが、どのグループも今のままでは足りないという現実をはっきりと突きつけられた時間だった。

　ただ、そのフィードバックを受けて、各グループが自然と集まり、自分たちで「これからどうしていくか」を話し合い始めたのは、前向きな変化でもある。中でも印象的だったのが、グループCでの会話だ。先生からも評価されていた臼井は、同じグループの白石るりについて「同い年とは思えないくらいすごく上手」と語り、その分、自分ができていない部分に不安を感じていることも正直に打ち明けていた。一方の白石も、スタプラ研究生としてグループを引っ張ってきた経験があるからこそ、今のグループCの中でどう振る舞うべきか悩んでいると話す。同じ世代で、同じオーディションに挑む2人が、それぞれ違う形で責任や立ち位置を意識し始めている姿は、このプロジェクトならではのドラマのひとつだろう。合宿はまだ始まったばかりだが、厳しい言葉や失敗も含めて、候補者たちは少しずつ「自分はどうありたいか」を考え始めている。

　次回の配信では、予定になかった突然のパフォーマンス発表が待ち受けている模様。グループとしての課題をどう乗り越え、どんなパフォーマンスに仕上げていくのか。オーディションの厳しさと、その中で生まれる小さな成長の瞬間を、引き続き見守っていきたい。