ロックバンド Blue Mashが夢を掴んだ熱狂の夜――革命の瞬間、魂の叫びが導いたメジャーデビュー
Blue Mashが、12月16日に全国ワンマンツアー『この街を出て -単独行脚編-』、『この街を出て -大都会終結編-』のファイナル公演を東京・恵比寿 LIQUIDROOMで開催した。
拳を振り上げながらの大合唱が広がる中にメンバーが登場すると、客席にお辞儀をして無言で挨拶したメンバー。しかしお行儀がいいのはここまで。「素直」の演奏が始まった途端、爆音で会場が揺れた。音源よりも遙かに熱くエモーショナルな優斗(Vo/Gt)のボーカル。「夢叶えに来たんだよ!」「リキッドルームのソールドアウトとかどうでもいい!」「誰も見向きもしなかった10代を肯定しにきた!」「革命を起こしにきた!」など、次々と吐き出される魂の叫びのような言葉。まるで暴れ牛のようなマサヒロ(Dr)のドラム。パッション漲る荒川ソラ(Ba)のベース。メランコリックさと荒々しさを兼ね備えたギターで魅了するげんげん(Gt)は、「2002」で客席に飛び込んでもみくちゃにされながらも演奏を続けた。
一気に5曲、ライブ終盤のテンションでまくしたてると、トークで息を整える。「今日ビジュいいな!」「(顔が)むくまないやつ2本飲んだから」という他愛のない話から、なりたかったアイドルの話に発展すると「とは言え俺たち“なにわ男子”やから。大きく分けたら」と言って、会場に笑いを巻き起こす。優斗から、ツアーでげんげんが8回すべったことがバラされると、「失笑もこれだけ集まったら大爆笑になる!」と上手い一言も。ただしゃべりすぎで怒られることもしょっちゅうとのことで、袖のスタッフから「早くライブやって!」と促されて、ようやくライブに復帰した。
歌詞に込められた原点のような思いと、口ずさみたくなるメロディが胸をギュッとつかんだ「このまま僕らが大人になっても」。跳ねたビートの「嘘つきの話」。曲間では、マサヒロによる熱く激しいドラムソロやバンドセッションでも沸かせ、中盤では新曲「泣くな東京」の披露に会場が沸いた。「22歳の今の自分だから書けた曲。けっこう名曲です!」と優斗。どこかフォークのエッセンスも感じさせる、ロックバラード調で始まる同曲。大阪の寝屋川から夢を描いて上京し、いくつもの悔しい思いを経て、それでも決して諦めなかった心ーー〈泣くなよ東京シティ〉と歌った歌詞は、東京という場所に打ちのめされそうになる自分に言い聞かせていたものだったかもしれない。
ライブ終盤は、ミディアムナンバー「マーガレット」や、キャッチーなメロディと歌詞が秀逸な「東京ラストティーン」を聴かせた。熱さと激しさは、決してサウンドの大きさやテンポの速さだけを言うのではない。あふれる感情を抑えることをせず、頭をかきむしりながら、思いの丈をぶちまけるように歌った優斗に、観客はその熱さと激しさに胸を射抜かれ、ただ呆然と立ち尽くすようにして聴き入った。また「ホワイトノイズ」を歌う際には、これまでのこと、メンバーとの出会いやそれぞれの好きなところ、チームのスタッフや観客への感謝などを歌に込め、時には涙をこらえるように歌い、鼻をすすりながら「Zeppでも武道館でも、どこへでも連れてってやる!」と宣言。「ラーラーラー」と歌う声に合わせて、観客の掲げる拳が揺れた。