Snow Man、なぜ日本から韓国への新たな架け橋に? “日韓国交正常化60周年”記念ゲストに選ばれた理由
12月13日、14日に東京・国立競技場で開催された『2025 MUSIC BANK GLOBAL FESTIVAL IN JAPAN』に、Snow Manが出演した。
『2025 MUSIC BANK GLOBAL FESTIVAL IN JAPAN』は、韓国の音楽番組『ミュージックバンク』(KBS)が手がける年末のスペシャルイベント。世界各国で開かれてきたグローバルフェスの日本公演にあたるものだ。K-POPイベントSnow Man、なぜ日本から韓国への新たな架け橋に? “日韓国交正常化60周年”記念ゲストに選ばれた理由としては史上初めて国立競技場で開催される今回は、Stray Kids、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、IVE、NiziU、RIIZE、ZEROBASEONEら約20組のアーティストが集結した。
そこに日本のアーティストとして出演したのが、&TEAMと、“日韓国交正常化60周年”を記念したスペシャルゲスト・Snow Manだった。“スペシャルゲスト”という肩書きとともにラインナップに名を連ねたSnow Manは、今回韓国という国から見た時の“日本代表”としての役割を託されたと言っていいだろう。なぜ、その役割に今Snow Manが選ばれたのだろうか。
⛄️本日のSnow Man⛄️
2025 MUSIC BANK GLOBAL FESTIVAL IN JAPAN@MusicBankJapan出演させていただきました🏟️
ありがとうございました✨#SnowMan #ミューバン国立 #ミューバン #musicbankjapan #MusicBank pic.twitter.com/sruZmlzZei— Snow Man / MENT RECORDING (@SN__20200122) December 13, 2025
2000年代以降の流れを振り返ると、東方神起や少女時代、KARA、BIGBANG、近年ではBTSやTWICE、BLACKPINK、SEVENTEEN、Stray Kidsらの活躍に象徴されるように、日韓の大衆音楽における動きは一貫して“韓国から日本へ”というベクトルで語られてきた。K-POPそれらのグループは、デビューから間もなく日本の音楽マーケットに本格進出し、ドームやスタジアムクラスを埋めるアーティストも増加の一途をたどっている。
一方で、日本発のグループやアーティストが、韓国で大規模なファンベースを築いた事例は決して多くはない。&TEAMは今年、ミニアルバム『Back to Life』で韓国デビューを果たし、同作は日韓ともにミリオン出荷を記録。日本発のアーティストにおいて偉業と言ってもいいだろう。そうしたなかで、『2025 MUSIC BANK GLOBAL FESTIVAL IN JAPAN』に招かれ、そして“日韓国交正常化60周年”という意味合いを背負う形でSnow Manがステージに立ったことは、ひとつの転換点とも言えるかもしれない。
今回Snow Manが選ばれた理由のひとつとして、彼らが現在の国内市場で突出した存在になっていることが挙げられると思う。K-POPボーイズグループ/グローバルグループの本格的な日本展開やその台頭によって、日本の男性グループシーンはここ数年で大きく構造が変わった。そのなかでSnow Manは、STARTO ENTERTAINMENTという“日本の事務所”から生まれ、J-POPを軸に活動してきた。現在のシーンにおける日本発のJ-POPグループの中心的な存在になっていると言っても差し支えないだろう。
チャート実績に目を向けると、その存在感はさらに明確になる。Billboard JAPANの2024年「Top Singles Sales」年間チャートでは、『LOVE TRIGGER / We’ll go together』と『BREAKOUT / 君は僕のもの』で1位と2位を独占(※1)。フィジカルセールスにおける年間の頂点を二重に押さえた。2024年の総合アルバムチャート「Hot Albums」では、4thアルバム『RAYS』が年間首位を獲得し、同チャートにおいてこの年唯一のミリオン突破作品に(※2)。今年1月にリリースされたベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』は、累計約163.9万枚を売り上げて年間「Top Albums Sales」1位となり、同ランキングの2位にも最新アルバム『音故知新』がランクインを果たし(※3)、J-POPシーンのトップを走るグループであることを数字でもはっきり示している。海外発のボーイズグループが群雄割拠する状況で、日本発のグループとしてここまでの結果を残している存在はそう多くない。“日韓国交正常化60周年”という節目の年に、日本の今を代表する存在としてステージに立ってもらうなら――そんな流れのうえでSnow Manが選ばれたのは、ごく自然な流れだと言っていいと思う。
そして、Snow Man自身がここ数年で積み上げてきた韓国との具体的な接点も、今回選ばれた大きな理由のひとつだろう。その中心にあるのが、冠番組『それSnow Manにやらせて下さい』(TBS系)と、そこで展開されてきたK-POP発のグループたちとのコラボレーションである。同番組では、Kep1erを迎えた“ダンス完コピ企画”や、ENHYPENらを招いたバトルなど、さまざまなグループと真正面からパフォーマンスで競い合う企画が展開されてきた。Snow Manは“J-POP代表”として高度かつさまざまなダンスに向き合いながら、自分たちの強みや個性をどう打ち出すかに挑戦してきたとも言えるだろう。
先日12月5日放送の同番組特番では、番組として初となる韓国ロケも行われた。ソウルの街を舞台に、渡辺翔太とMattの“美容旅”企画にKep1erのメンバーが合流するなど、街中で自然に交流する様子が届けられた。 Snow Manは、バラエティという日常的なフォーマットのなかで、日韓のポップカルチャーを伝える場所を作り出していた。
8月の『M COUNTDOWN』(Mnet)への出演も、カルチャーの国交という意味合いでは象徴的だった。英語詞バージョンの「CHARISMAX」(「カリスマックス」)を披露したステージ映像やメンバー別の“チッケム”(Fan Cam/一人のメンバーだけにフォーカスした映像)も話題となった。『それスノ』での共演や韓国ロケとあわせて振り返ると、彼らが少しずつ、しかし着実に韓国とのつながりを広げてきたことがわかると思う。
韓国国内での一般的な知名度は、K-POPのトップグループと比べれば当然ながらこれからの段階にあるだろう。だからこそ、今回の国立競技場という舞台、そして“日韓国交正常化60周年”を代表するアーティストに選ばれた事実は、Snow Manが“日本から韓国へ”の新しい架け橋をかけるためのスタートラインとも言えるだろう。
日韓国交正常化から60年。ポップカルチャーを取り巻く状況は、政治や外交とはまた別のスピードで大きな変化と進化を遂げてきた。そのなかで、韓国から見た時のSnow Manは、“日本を代表するグループ”としてはまだまだ道の途中だと思う。いまだ存在しなかったその存在をSnow Manは獲得できるのだろうか――。
※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/144032/2
※2:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/144284/2
※3:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/156096/2
























