KEY TO LITの5人から生まれる化学反応 “おもしれー男”猪狩蒼弥が引き出すメンバーの面白さ

10年以上の経験と付き合いが生む、KEY TO LITならではの化学反応

 そんな猪狩の周囲には、同じくキャリアも個性も濃厚なメンバーがそろっている。井上瑞稀、中村嶺亜、岩﨑大昇、佐々木大光、そして猪狩。全員が10年以上のジュニア歴を誇り、もとはそれぞれ別グループで活動していた。まったくカラーの違う道を歩んできた5人が、2025年2月に新たにKEY TO LITとして歩み始めたのだ。

 猪狩の言葉を借りるなら、「同じ教科書で生きてきた」仲。結成して真っ先に撮影したYouTube動画は5人旅、そしてバンジージャンプで絆を深めるというディープな内容になったのも、彼らの関係性があればこそだ。

 すでに遠慮のない“学友のような関係性”が息づいている彼らは、言いたいことはハッキリ言い合い、時に小競り合いを繰り返す。その裏表のない関係性が微笑ましく、羨ましいとすら感じさせる。

 実際に岩﨑と佐々木は、実際に高校のクラスメートだったこともあった。佐々木が岩﨑のいるクラスに転入してきたときのすれ違いエピソードをひとつ紹介したい。なかなか学校では友だちを作れずにいた岩﨑のために、転校生の佐々木が「クラスの輪を作るから、みんなでいっしょに友だちになろう!」と約束。勢いよく挨拶したものの大スベリ。

 岩﨑も佐々木ひとりにスベらせまいと「俺もやるから」と言っていたのだが、いざその場になると無難な自己紹介で終わったという。「記憶改ざんすんな!」「裏切りだ!」とやり合うふたりに、猪狩が「いろいろあった結果、お前らはふたりで教室の端でウジウジしていたんでしょ?」とツッコミを入れ、ふたりが素直に「うん」と認める光景も愛しい。それも、「この5人がクラスメートだったら誰が一番モテるか」というテーマで繰り広げられているのだから笑ってしまう。

 また、面白いと言えば、歌もダンスもドラマも舞台もこなす優等生アイドルでもある井上が、このグループに入るとなぜか追い込まれキャラに転じるのも興味深い。少食な井上のために少食克服企画が計画されて振り回されたり、岩﨑の巻き添えで高所恐怖症ながらバンジージャンプを飛ぶ羽目になったり。完璧なアイドル像を突き抜けたところに、人間味と笑いが生まれている。

 一方、中村はジュニアとして初となる個展の開催を控えるほどのアーティスト気質ながら、包丁を握るとなると、その手はおぼつかない。そこは料理上手な岩﨑がシェフとして叱咤激励する側に回るという、バランスの良さもまたKEY TO LITの魅力だ。

 そんな彼らの素をさらけ出させるのが、猪狩の存在である。メンバーそれぞれの人としての面白味を存分に引き出しながら、「この5人で国立競技場に立ちたい」と具体的な夢を語って士気を上げていくのだ。ギラギラしているように見えて、時折見せるメンバーへの甘々な対応も彼らの愛しいポイント。メンバーそれぞれの好みを考慮しておやつバッグを用意してきた佐々木に「嬉しい」「泣きそう」「愛しい」と言葉をかける純情さにも、ファンは胸をつかまれる。

KEY TO LIT【A•RA•SHI(嵐)】Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL より

 KEY TO LITのYouTube動画のコメント欄を見ていると、他グループのファンからの書き込みも目立つ。先日公開された嵐「A・RA・SHI」のパフォーマンス動画では、ファンから絶賛の声が届いていた。ドラマなどで先輩と共演した際にも、そのファンから好意的なコメントが寄せられる。「あとはデビューするだけ」という期待の声も少なくない。

 彼らのバラエティ的なわかってる感や、ステージに立つと一変するプロ根性、そしてプライベート感が滲み出る仲の良さ。いずれも、この事務所に脈々と受け継がれてきた“イズム”が、彼らにしっかりと継承されていることを感じずにはいられない要素だ。

 「『猪狩はいい波来てる!』と感じさせる70分にできたら」(※1)とソロラジオ決定を受けてコメントを寄せていた猪狩。このラジオをきっかけに猪狩の、そしてKEY TO LITの面白さに目覚める人が増えることを願ってやまない。

※1:https://news.1242.com/article/536561

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