SWAY、アルバム『PSYCHO JUNK』――アイデンティティを探す旅を語る 40代の自分に渡したいバトンとは?

40代を楽しく過ごすために今のうちにやれることはやっておきたい

――今回は個性的なトラックがたくさんありますが、新しいスタイルを掴めたんじゃないかと思う曲はありますか。

SWAY:「テキーラ」ですかね。あのサビは30分くらいでできたんです。スタジオでNAKKIDがトラックを作り始めた時に、〈シャンパンよりもテキーラがいい〉というフレーズがパッと出てきて。トピック的にもそうだし、あのラップのスタイルも好きなんです。

――あのラップがSWAYさんの新味だと思ったんです。フックで声を張って歌わない。トーンを落とすことによってクールな感じを出すっていう。

SWAY:歌わないというのは、だいぶ意識したかもしれないですね。気張らない感じ。

――ラップにダル着のかっこよさがあるんですよね。ダル着はダル着でもオシャレでラグジュアリーですよっていう。そういう感じが今回のアルバムにはあって、1曲目の「テキーラ」がそれを特に印象づけていると思うんです。

SWAY:それはありますね。ただ、「テキーラ」が1曲目になった理由は、ほかのどこにもハマらなかったんです。曲順を決める時にいろんな場所にあの曲を置いてみたんですよ。言い方が悪いけど、あの曲だけが邪魔だったんです(笑)。 

――クセが強いという(笑)。

SWAY:そう。個性が強すぎて流れが悪くなる。それで1曲目にきたんですけど、結果、新しいSWAYが出せてよかったです(笑)。

――話は変わって、「ちょっと強えエモーション」の歌詞に“真似できないMr.TPO”というフレーズが出てきますよね。SWAYさんは、ラッパーで役者でデザイナーでビートメイカーで、フェスも演出して、番組MCもやって、パパでもある。いろんな顔を持っていますが、そのことについてどう考えていますか?

SWAY:それについては、少し後悔した時期もあるんです。憧れの人を見ていると、ラッパー一本とか、そういうのがかっけえなとも思うんですよ。ただ、僕は10代の時から自分のスタイルはブレていると思っていたんです。当時は、ラップで先輩のイベントに出てもギャラがもらえなくて、でも先輩のイベントのフライヤーを作ると5000円もらえたから、それでデザインを始めた。その時点で二刀流だし、そのあとには役者もやり始めて。やがて、「これが自分のやるべきスタイルなんだろうな」と考えられるようになったし、ここまできたらそのスタイルを思い切りやっちゃおう、と。生まれ変われるならラップ一本でやってみたいなと思うくらいコンプレックスですけど、今は胸を張るべきスタイルかなと思ってます。

――器用貧乏という言葉はネガティブな印象がありますが、由来は「Jack of all trades is a master of none, but oftentimes better than a master of one」という英語の格言で「なんでも屋の器用貧乏、だがひとつに秀でた者よりも優れている」という意味なんですよね。

SWAY:そういうマルチなところをStaxxがめっちゃ褒めてくれて、「SWAYってさ……」と熱く語ってくれたんですよね。今回Staxxと作った曲で、また彼に背中を押してもらった感じがありますね。

――「ちょっと強えエモーション」は、そのことをトピックにして書き始めたんですか?

SWAY:「KINDA LIT」と似てるんですけど、“猪突猛進”からきてるんです。最初はかっこいい感じのタイトルをStaxxが並べてきたんですけど、今回のアルバムは着飾ってないから、この曲もできるなら面白いタイトルがいいのかもという話をして。そこから、「猪突猛進」、「ちょと、つえ、もーしょん」、「ちょと強えエモーション」――みたいな。

――語呂合わせだったんですね。

SWAY:Staxxと僕は同い年で今39歳だけど、ヤングでいたいという思いが共通であるんです。猪突猛進はふたりのスローガンでもあるよね、って。そこからこの曲名になったんです。

――その気持ちは前作の「Stay Young and Wild」というコンセプトとも繋がってくる。

SWAY:そうなんです、まさしく。

――〈真似できないスタイル Mr. TPO〉のあとには、〈今日もパーリーって寝る暇ないじゃん/明日は STUDIO 4時には解散/TESLA でお迎えに行くmy son〉と出てきますが、こんなライフスタイルはたしかに真似できない。

SWAY:嘘ナシなんですよ、そのリリック。実際にStaxxにそう言ってたんです。「子どもを迎えに行く時間があるから、4時には終わりたい」って毎回言ってて。

――テスラという高級車を自分で運転して迎えに行くわけですよね。セレブ感と庶民感が同居してるのがSWAYさんのひとつのアイデンティティでもあると思います。

SWAY:テスラと言ったら、最近気づいたびっくりなんですけど、1stアルバム『UNCHAINED』のジャケ写に映ってるのはテスラXなんですよ。その時は撮影のために借りたんですけど、まさか3枚目を作った時に自分が同じ車に乗っているとは思ってなかったです。ストーリーがちゃんと描かれてました(笑)。

――(笑)。来年6月で40歳になりますが、30代ラストイヤーはどのように過ごしたいですか?

SWAY:30代ラストだからアルバムを絶対にリリースしたいという気持ちが強かったんです。「やり残したことは何だろう?」とか、「40になる自分にどんなバトンを渡せるか?」っていうのがずっとテーマにあって。今、クラブイベントをやっているのも、30代後半だからやりたかったんです。もっと若かったら、イベントもやってないと思う。

――40代の自分に渡したいバトンというのは?

SWAY:このアルバム自体がそうですね。今回のアルバムの音楽スタイルというか。1枚目、2枚目で「SWAYはこういうアーティスト」みたいなイメージがついたと思うんです。ファンの方にお会いした時に、「『Perfect Love』を聴いてます」とか、やわらかい曲のイメージが強かったりする。だけど、自分としてはもうちょっと自分の生活感だったり、自分本来のキャラクターを打ち出しておきたい気持ちもあったんです。それは40代でもできると思うんですけど、40代を楽しく過ごすために今のうちにやれることはやっておきたいな、と。それでイベントを始めたり、アルバムを出したりしたかったんです。40代の自分へのレールを作っておくみたいな作業が多い、ここ1、2年でしたね。

――40歳になったらやりたいことはありますか?

SWAY:t-AceくんとかStaxxとか、自分のまわりにはトラックを含めて曲を作る人がすごく多いんです。そういう人たちと手を組んで、自分たち以外のアーティストに向けて曲を作ってみたいですね。たとえばStaxxと一緒にLDHアーティストに曲をプレゼンしてみたりとか。

――プロデューサー的な立ち回りということですか?

SWAY:でも、プロデューサーになりたいわけじゃないんです。最近、DOBERMAN INFINITYでWATWINGに「YO MA SUNSHINE」という楽曲を提供させてもらったんですけど、プロデュースというよりは、「自分たちの作る曲を若いグループに歌ってもらうとどんな感じになるんだろう?」というような感覚で。WATWINGが日本武道館で自分たちが提供した曲を歌ってるのを観た時に、「気持ちいいな、これ」っていう感覚があったんですよね。そういうことをやれたら面白いだろうな、って。僕がこれまで生きてきて、もうひとつ得意なのは人と人とを繋げるということなんです。

――それは今回のアルバム制作でも十分発揮されていますね。

SWAY:だと嬉しいです。そういう部分でミュージックコネクターになりたいなっていう気持ちはありますね。

■リリース情報
Digital Album『PSYCHO JUNK』
配信中

配信URL:https://sway.lnk.to/psychojunkIB

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